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SANSUI TU-S707X DECADE 修理調整記録2

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 ・2019年8月、TU-S707X DECADEの修理調整を承りました。
 ・DECADE は 07シリーズの10周年記念モデルです。
 ・以下、作業記録です。

S707xd09

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SANSUI TU-S707X DECADE ¥54,800(1984年発売)
 ・Hifi Engine TU-S77X Quartz PLL Digital Synthesizer Tuner (1983-84)

S707xd02S707xd11

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネル、ボディ、サイドウッドとも目立つキズは無い。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・周波数表示が点灯。文字痩せや輝度劣化は感じない。
 ・オート選局モードでは上り下り方向とも76MHz~90MHz間で周波数が変化するだけ。
 ・マニュアル選局モードで放送局周波数に合わせても受信不可。
 ・この状態でモノラル受信に切り換えてみると、、FM放送が聞こえました。
 ・シグナルメーター点灯しない。STEREOランプ点灯しない。
 ・IFバンド切換 WIDE/NARROWとも受信状況に変化なし
 ・RF切換 DX/LOCAL LOCALにすると感度低下し音声がノイズに塗れる。
 ・REC CALトーン OK。
 ・AMは手持ちの適当なループアンテナを接続して確認。
 ・オート選局で名古屋地区のAM放送を正常受信しました。
 ・問題点は、、
 ・FMフロントエンドの受信感度低下、同調点ズレが原因のような気がします。

S707xd01S707xd03S707xd04S707xd05S707xd06
S707xd08S707xd12S707xd13S707xd14S707xd10

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・DECADEモデルでは基準周波数を調整するTC1が省略されています。
 ・使われている部品が微妙に違いますが基本的にTU-S707Xと同じ。

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S707xd26S707xd27S707xd28S707xd29S707xd30
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S707xd36S707xd37S707xd38S707xd39S707xd40
S707xd41S707xd42S707xd43S707xd44S707xd45

■調整記録------------------------------------------------------------

 ・最近のTU-S707X調整記録に倣って各部再調整したところ、いきなりVT電圧に異常あり。
【VT電圧調整】
 ・フロントエンド内[VT-GND] → DC電圧計セット
 ・90MHz → TC5調整 → 23.0V ※実測 15.6V
 ・76MHz → L5調整 → 3.0V ※実測 3.0V
 ・TC5を調整してもVT電圧は変化なし。
 ・原因は TC5(OSCトリマコンデンサー)の容量抜けですね。

■修理記録:TC5交換---------------------------------------------------

 ・OSCトリマコンデンサーの容量抜けは定番の故障箇所です。
 ・フロントエンドユニットを外してOSCトリマコンデンサを交換
 ・新品の青色(10pF)に交換。
 ・以下の再調整作業により正常動作になりました。

S707xd51S707xd52S707xd53S707xd54S707xd58

■調整記録------------------------------------------------------------

【VT電圧調整】
 ・フロントエンド内[VT-GND] → DC電圧計セット
 ・90MHz → TC5調整 → 23.0V
 ・76MHz → L5調整 → 3.0V
【フロントエンド調整】
 ・IC3[HA12412] 13pin → DC電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83MHz受信 → TC1,TC2,TC3,TC4調整 → 電圧最大
 ※本来は76MHz → L1,L2,L3,L4ですが、調整困難のため83MHzのみで調整
 ・83MHz受信 → T1調整 → 電圧最大
【WIDE GAIN調整】
 ・IC3[HA12412] 13pin → DC電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・IF BAND=NARROWに切り替え → 電圧値測定
 ・IF BAND=WIDEに戻して電圧測定 → VR2調整 → NARROW時と同じ電圧
【FM同調点の調整】
 ・TP1~TP2 → 電圧計セット
 ・83MHz受信 → T2 IC側コア調整 → 0V±30mV
 ・83MHz受信 → T2 IC反対側コア調整 → 高調波歪最小
 ・上記作業を数回繰り返す
【FM LOCKED LEVEL調整】
 ・83MHz 30dB受信 → VR4調整 → 本体正面[LOCKED]橙色LEDが全灯する位置
【REC LEVEL調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz 1kHz 80dB受信 → ピークレベル確認
 ・REC CALモード切替 → VR5調整 → -6dB ※404Hz
【VCO調整】
 ・TP1~TP4 → 電圧計セット
 ・83MHz 無変調60dB受信 → VR105調整 → 0V±0.05V
 ・TP3 → 周波数カウンター接続
 ・83MHz 無変調60dB受信 → L101調整 → 304.000kHz
【PILOT OFFSET調整】
 ・TP2~TP5 → 電圧計セット
 ・83MHz 無変調60dB → VR104調整 → 0V±0.1V
 ・83MHz ST信号60dB → ステレオランプ点灯を確認
【PILOT CANCEL調整】
 ・音声出力 → WaveSpectraに接続
 ・83MHz ST信号60dB → L100, VR103L調整 → Lch 19kHz最小
 ・83MHz ST信号60dB → VR106,VR103R調整 → Rch 19kHz最小
【セパレーション調整】
 ・音声出力 → WaveSpectraに接続
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz ST信号60dB → VR102L調整 → 反対ch漏れ信号最小
 ・83MHz ST信号60dB → VR102R調整 → 反対ch漏れ信号最小
 ・IF BAND=NARROW
 ・音声出力 → WaveSpectraに接続
 ・83MHz ST信号60dB → VR101L調整 → 反対ch漏れ信号最小
 ・83MHz ST信号60dB → VR101R調整 → 反対ch漏れ信号最小
【MUTING LEVEL調整】
 ・音声出力 → WaveSpectraに接続
 ・83MHz ST信号25dB → VR3調整 → ステレオランプ点灯し音声が出る位置へ
【AUTO STOP LEVEL調整】
 ・音声出力 → WaveSpectraに接続
 ・83MHz ST信号30~35dB → VR1調整 → オートサーチが有効な位置へ
【AM VT電圧調整】
 ・ 531kHz → T1調整 → 1.4V
 ・1629kHz → TC1調整 → 19.3V
【AM RF調整】
 ・LA1245-16ピン → 電圧計セット ※AM Sメーター電圧
 ・ 603kHz受信 → T2調整 → 電圧最大
 ・1395kHz受信 → TC2調整 → 電圧最大
 ・ 999kHz受信 → T3調整 → 電圧最大
【AMその他調整】
 ・AM VR1調整 → 選局時のオートストップレベル調整
 ・AM VR2調整 → 本体正面[LOCKED]橙色LED点灯レベル調整

Tu707xd

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・OSCトリマコンデンサーの容量抜けは定番の故障箇所です。
 ・他に故障個所がなくて良かったです。

S707xd07

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