・2019年5月、調子が悪いという555ESXが届きました。
・STEREOになったりならなかったりだとか。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 SONY ST-S555ESX ¥74,000(1986年発売)
・オーディオ懐古録 SONY ST-S555ESX FM STEREO/FM AM TUNER ¥74,000(1986)
・Hifi Engine SONY ST-S800ES AM/FM Stereo Tuner (1988)
■動作確認------------------------------------------------------------
・FMアンテナを接続して電源オン。
・表示部は文字痩せ、文字欠けなく輝度も十分です。
・オート選局で名古屋地区のFM放送局を受信しました。
・周波数ズレなし。ただしSTEREOランプ点灯しない。
・WIDE/NARROW切替、MUTING切替、REC CALトーンなど動作OK。
・メモリ登録OK。その後電源オフでも1週間保持することを確認。
・付属のAMループアンテナで名古屋地区のAM放送局を受信。
・問題はFM受信時にSTEREOランプが点灯しないこと。
■内部確認------------------------------------------------------------
■調整記録------------------------------------------------------------
・まずはサービスマニュアルに従って各部調整作業を行いました。
【FM同調点調整】
・IC206:LA1235 7~10pin間 電圧計セット(Sメーター電圧)
・SSG83.0MHz 変調OFF 80dB → IFT208調整 → 電圧0V±20mV ※実測-630mV
【VT電圧調整】
・IC804 10ピン電圧計セット
・90.0MHz → L105調整 → 21.0V±0.2V ※実測21.2V
・76.0MHz → 8.0V±1.0V 確認のみ ※実測8.2V
【RF調整】
・IF BAND=NARROW
・IC206:LA1235 13pin電圧計セット(Sメーター電圧)
・SSG76.0MHz → L101,L102,L103,L104調整 → 電圧最大
・SSG90.0MHz → CT101,CT102,CT103,CT104調整 → 電圧最大
【PLL検波調整】
・IF BAND = WIDE
・MUTING=OFF
・音声出力端子をWaveSpectraで確認
・TP202 電圧計セット
・TP201を短絡 ※IF回路をパス
・SSG83.0MHz 80dB送信 → IFT207調整 → 電圧ゼロ ※調整前実測-2.3V
・SSG83.0MHz 80dB送信 → CT201 調整 → 高調波歪最小
・SSG83.0MHz 80dB送信 → IFT205調整 → 高調波歪最小
・TP201を開放
【IF歪調整】
・IF BAND = WIDE
・MUTING = OFF
・IC206:LA1235 13pin電圧計セット(Sメーター電圧)
・RT201、RT202 時計回り一杯に回す
・SSG83.0MHz出力20dBモノラル信号送信
・IFT101調整 → 電圧最大 ※IFT101フロントエンド内
・IFT202調整 → 電圧最大
・RT201、RT202 回転範囲の中央位置に回す
・SSG83.0MHz出力80dBモノラル信号送信
・IFT204調整 → 歪最小へ
・SSG83.0MHz出力80dBステレオ信号送信
・IFT203調整 → 歪最小へ
【MUTINGレベル調整】
・MUTING = ON
・IF BAND = WIDE
・SSG83.0MHz 出力25dB → RT204調整 → MUTING作動
・IF BAND = NARROW
・SSG83.0MHz 出力25dB → RT203調整 → MUTING作動
【Sメーター調整】
・IF BAND = WIDE
・SSG83.0MHz無変調80dB → RT206調整 → エレメント全点灯位置
【VCO調整1】
・TP302 周波数カウンタ接続
・SSG83.0MHz無変調 → RT301調整 → 76kHz±100Hz
【VCO調整2】
・IC302 9ピン電圧計セット
・SSG83.0MHz パイロット信号のみ → RT305調整 → 0V±0.5V ※調整難しい
【パイロットキャンセル】
・SSG83.0MHzステレオ変調 → RT302、L301 19kHz信号漏れ最小
・左右chのバランス確認
【セパレーション調整】
・IF BAND=WIDE
・SSG83.0MHzステレオ変調 → RT303 R→L ※調整後実測61.8dB
・SSG83.0MHzステレオ変調 → RT304 L→R ※調整後実測60.2dB
【AM VT電圧調整】
・IC804 10ピン(代用 JW41)電圧計セット
・1602kHz → OSCトリマ調整 → 22.0V±2.0V ※実測23.5V
・ 531kHz → OSCコア調整 → 1.8V±0.1V 確認のみ ※実測4.0V
【AM RF調整】
・SSG 603kHz → RFコア調整 → Sメーター最大
・SSG1395kHz → RFトリマ調整 → Sメーター最大
・SSG 999kHz → IFT401調整 → Sメーター最大
【CAL TONE】
Peak Levelに対して -6dB 392Hzの波形が出ていました。
<調整結果>
・FM同調点が大きく外れていて周波数ズレ寸前でした。
・PLL検波調整にズレが大きかったです。
・STEREOランプ点灯、セパレーション値も大幅に改善しました。
■試聴---------------------------------------------------------------
・故障個所は無かったです。
・各部再調整によって良好な性能を取り戻したと思います。
・FM/AMとも良い音です。