・2019年5月連休、TX-910の修理調整作業を承りました。
・日本初、モトローラ社製PLL-MPX IC MC1310を搭載した記念すべき機種です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 PIONEER TX-910 ¥75,000(1973年頃)
・オーディオ懐古録 PIONEER TX-910 ¥70,000(発売時)、¥75,000(1941年)
・Hifi Engine Pioneer TX-9100 AM/FM Stereo Tuner (1973-75)
■動作確認------------------------------------------------------------
・外観はとても綺麗な状態で、目立つキズは見当たりません。
・電源オン、指針がオレンジ色に点灯。
・青色照明に浮かぶ周波数窓が美しい。
・二つのメーター照明も点灯。
・名古屋地区のFM局を受信OK。わずかに周波数ズレ。
・Tメーター中点とSメーター最大点が一致しない。
・Sメーター最大点から大きくズレた位置でSTEREOランプ点灯。
・MUTING動作OK。
・背面バーアンテナで名古屋地区のAM局を受信。
・AM受信は問題なさそう。
・ヘッドホン端子Lchからブーンという雑音。
・この雑音はFM/AMともに発生する。
・しかし固定/可変出力端子からは出てこない。
・ヘッドホン回路の問題か?
■内部確認------------------------------------------------------------
・フロントエンドのシールドカバーは頑丈にハンダ付けされています。
・CF×2 → TA7060P×2 → CF×2 → TA7060P → TA7061AP → レシオ検波
・IF BAND切替(Wide/Narrow)なし
・PA1310P(MC1310P):PLL-MPX IC
・HA1138:AM Tuner
■修理記録:ヘッドホン回路--------------------------------------------
・Lchのみノイズが聞こえる聞こえる
・ヘッドホン音量をゼロにしてもノイズが聞こえる。
・FM/AMとも同じ雑音が聞こえる。
・背面の固定/可変出力端子からは聞こえない。
・ヘッドホン回路から出てくる音を調べてみるとLchレベルが低い。
・Lch側の電解コンデンサとトランジスタを順番に交換。
・不調原因は Q1:2SC1344 でした。2SC1815 に交換したところで不具合解消。
・ついでにすべての電解コンデンサとトランジスタを交換しました。
・Q1,Q2:2SC1344 → 2SC1815
・Q3,Q4:2SC1384 → 2SC1815
・C3,C4:1uF/25v → 1uF/50v
・C5,C6:220uF/16v → 220uF/16v
・C1:3.3uF/50v → 3.3uF/50v
・C2:100uF/10v → 100uF/25v
・C7:470uF/25v → 470uF/25v
■調整記録------------------------------------------------------------
【レシオ検波調整】
・アンテナ入力なし → T4上段コア調整 → Tメーター中点
・83MHz → → T4下段コア調整 → 歪率最小
【OSC調整】(フロントエンド底面から)
・IF基板17番端子 → DC電圧計セット(Sメーター電圧)
・76MHz → T5調整 → 電圧最大
・90MHz → TC5調整 → 電圧最大
【RF調整】(フロントエンド底面から)
・IF基板17番端子 → DC電圧計セット(Sメーター電圧)
・76MHz → T1,T2,T3,T4調整 → 電圧最大
・90MHz → TC1,TC2,TC3,TC4調整 → 電圧最大
・83MHz → T6調整 → 電圧最大
【ミューティング調整】
・83MHz 70dB → VR3調整 → MUTING作動点をTメーターで左右対称
・Muting スイッチ1
・83MHz 20dB → VR4調整 → MUTING作動位置
・Muting スイッチ2
・83MHz 35dB → VR6調整 → MUTING作動位置
【Sメーター調整】
・83MHz → VR5調整 → Sメーター最大振れ
【VCO調整】
・MPX基板 2番端子=(PA1310-10pin)→ 周波数カウンタ接続
・83MHz ST信号 → VR1調整 → 19kHz
【セパレーション調整】
・音声出力 → WaveSpectra接続
・83MHz ST信号 → VR2調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【AM OSC調整】
・IF基板 14番端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
・ 600kHz受信 → T2調整 → 電圧最大
・1400kHz受信 → TC3調整 → 電圧最大
【AM RF調整】
・IF基板 14番端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
・ 600kHz受信 → T1,バーアンテナ内コイル調整 → 電圧最大
・1400kHz受信 → TC1,TC2調整 → 電圧最大
※AM VR1:GAIN CONTROL
※AM VR2:OUTPUT LEVEL CONTROL
※AMのVR1、VR2の調整方法がイマイチ分かりません?
■試聴----------------------------------------------------------------
・ウッドケースに包まれて優しく浮かび上がる青い照明窓。
・オレンジ色の指針と赤いSTEREOランプが絶妙なアクセントです。
・薄暗い部屋でボーっと眺めていると幸せな気分に浸れます。