・2019年4月、ONKYO T-425ATの修理調整作業を承りました。
・受信中にSTEREOランプが点滅して不安定になってきたそうです。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 ONKYO Integra T-425AT ¥49,800(1998年頃)
・Hifi Engine Onkyo T-4711 Synthesized AM/FM Stereo Tuner (1996-99)
■動作確認------------------------------------------------------------
・電源コードの印字 1996
・シャンパンゴールドのボディが美しい。
・外装に目立つキズは見当たらない。
・電源コードを接続すると内部でリレー作動音が聞こえる。
・通電と同時に表示部は「0:00」が点滅する。
・内蔵時計の時刻設定モードのようですが、本体ボタンでの設定方法が分からない?
・たぶんリモコンで設定するのでしょう。
・背面にスイッチ連動サービスコンセント3個あり。
・タイマー機能がありそうです。
・時刻設定はパスして電源スイッチオン、オレンジ色の表示部が点灯。
・FM周波数は下三桁まで表示。例えば82.5MHzのNHK-FM → 82.500MHz
・オート選局モードで名古屋地区のFM放送局を受信。
・STEREOランプ点灯。実際のステレオ感あり。
・IF BAND切替(Normal/Narrow)OK。
・選局モードは3種類。オート選局、プリセット選局、ファイン選局。
・ファイン選局(Fine Tuning)モードにすると0.025MHz単位で周波数が変化する。
・例:82.450MHz → 82.475MHz → [82.500MHz] ← 82.525MHz ← 82.550MHz
・手持ちのAMループアンテナを接続して名古屋地区のAM放送を受信。
・オート選局モードで受信OK。
・名古屋のCBCラジオ(1053kHz)を受信するとSTEREOランプ点灯。
・おお、、AMステレオ対応機だ!!
・1時間ほど経過したときご指摘の不具合症状が発生!
・STEREOが点滅するようになり受信音が不安定になった。
・そのまま放置すると音が出ない状態に。
・これは同調点が外れてMUTINGが作動した状態みたいです。
・このときFine Tuningモードにして同調点を変えてみると、、
・82.500MHzのNHK-FMを82.475MHzでクリアに受信可能。STEREOランプも点灯
・原因はFM同調点のズレですね。
■内部確認------------------------------------------------------------
・金属シールドに納まった5連バリキャップのフロントエンド。
・Normal(Wide)/Narrow切り替え式IF回路
・LA1235 クアドラチュア検波
・LA3401 PLL MPX
・LA1266 FM IF Amp AM Tuner
・MC13028AP AM STEREO
・基板裏面に実装部品があるかと思って裏返したら、、何も無かったです。
■輸出機T-4711との比較------------------------------------------------
・Hifi Engineで見つけた T-4711は外観がそっくりです。
・ボディサイズが同一で発売時期も重なる。
・T-4711回路図とT-455AT実機を比較しました。
・T-4711はFMアンテナ端子がA/B の2系統。T-455ATは1系統のみで部品の実装なし。
・でもT-455ATの基板上には別系統のアンテナ端子のシルク印刷あり。
・T-4711はRDS対応。フロントパネルにも専用スイッチあり。
・T-455ATの基板上にRDSのシルク印刷あり。ただし部品実装なし。
・逆にT-4711回路図にはAMステレオ用ICの記載がない。
・やはり主要回路は輸出機 T-4711 と同一でした。
・同時入手した英語版取扱説明書を読むと、時刻やタイマー設定はリモコン必須。
■調整記録------------------------------------------------------------
【VT電圧調整】
・P004 電圧計セット
・90MHz C026調整 → 24.0V ※調整前実測22.6V
・76MHz L006調整 → 4.0V ※調整前実測 3.8V
【FM同調点調整】
・P101 電圧計セット
・83MHz受信 → L101調整 → DC電圧ゼロ ※調整前実測524mV
【FMトラッキング調整】
・P102 電圧計セット
・76MHz L001,L002,L003,L004調整 → 電圧最大
・90MHz C002,C008,C011,C014調整 → 電圧最大
・83MHz L005,L007調整 → 電圧最大
【FM検波調整】
・P101 電圧計セット
・音声出力をWaveSpectraで確認
・83MHz受信 → L101調整 → DC電圧ゼロ ※再確認
・83MHz受信 → L102調整 → 高調波歪最小
【セパレーション調整】
・IF BAND=Normal
・83MHz ST信号 → R201調整 → 漏れ信号最小
・IF BAND=Narrow
・83MHz ST信号 → R202調整 → 漏れ信号最小
【Sメーター調整】
・本体正面 DISPLAYボタン長押し → 電波強度dB表示
・83MHz 50dB受信 → R102調整 → 表示が50dB付近を示すように調整
・83MHz 99dB受信 → R191調整 → 表示が99dB付近を示すように調整
※あくまで参考程度、厳密な調整は無理です
【MUTINGレベル調整】
・83MHz 20dB受信 → R101調整 → MUTING作動位置へ
【AM調整】
・P004 電圧計セット
・522kHz → L151(黒)調整 → VT電圧 2.4V
・ 729kHz(NHK)受信 → L151(黄)調整 → Sメーター最大
・1053kHz(CBC)受信 → L152調整 → Sメーター最大
・R151調整 → 電波強度dB表示調整
■試聴----------------------------------------------------------------
・外観は古臭さを感じませんが、これでも1996年頃の製品です。
・ざっと23年前、、さすがに調整箇所はズレますね。
・まだまだ現役で使えます。