・2019年3月、T-455nIIの故障品が届きました。
・そういえば10年前に入手した同型機が放置したままでした。
・この機会に修理調整方法を再検討した記録です。

■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 ONKYO Integra T-455nII ¥69,800 (1975年発売)
・前回記事 2009年10月11日
![]() | ![]() |
■動作確認------------------------------------------------------------
・フロントパネル、ボディともキズはほとんど見当たらない。
・側面を固定するネジも光沢があって外観はとても綺麗。
・FMアンテナを接続して電源オン。
・周波数窓と二つのメーター照明が点灯、白い文字盤が浮き上る。
・緑色やオレンジ色の照明窓とは違った上品な印象です。
・さて、名古屋地区のFM局を受信しようとすると、、
・Sメーターは大きく振れるが、Tメーターの動き方がおかしい。
・Tメーターは中央より左側のみでわずかに振れる程度で中点に届かない。
・Sメーター最大点付近でTUNEDランプ(赤色)点灯。
・選局つまみから指を離すとLOCKEDランプ(緑色)点灯。
・FM音声は聞こえるがSTEREOランプ点灯しない。実際のステレオ感もない。
・マルチパスH端子からはモノラル音声が聞こえる。
・背面バーアンテナで名古屋地区のAM局を受信。
・AMは特に問題なさそうです。
![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
■内部確認------------------------------------------------------------
・FM5連、AM2連バリコン搭載のフロントエンド。
・電源トランス横の基板はクリスタルロック回路。
・NormalL(Wide)/Narrow切換 → ウルトラリニアディテクター(レシオ検波)
・HA1156 PLL MPX
・HA1151 AM TUNER SYSTEM
![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
■修理記録:検波コイル------------------------------------------------
・Tメーターの挙動がおかしい件の対策です。
・クリスタルロック基板上のL703,L704
・L703 (NIT515 P) → Primary
・L704 (NIT515 S) → Secondly
・このレシオ検波回路でTメーターを駆動している。
・L703を取り外して裏面を確認 → 内蔵コンデンサーが見える。
・この内蔵コンデンサーの劣化が怪しいです。
・試しに以前から保管しているT-455nIIのL703を取り外して移植。
・これによって Tメーターの動き方が正常になり中点に設定できた!
・Tメーター不調はL703内蔵コンデンサーの劣化が原因でした。
![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
■調整記録------------------------------------------------------------

【クリスタルロック基板調整】
・クリスタルロック基板 R716~R743間にDC電圧計セット
・SSG 10.7MHz 90dB 無変調 → メイン基板 R101 に注入
・L703(粗調整),L704(微調整)→ 電圧ゼロ
【Tメーター調整】
・R740調整 → Tメーター左右振れ具合調整
・R739調整 → LOCK時のTメーター中点調整
【OSC調整】
・SSG76MHz → Lo調整 → Sメーター最大
・SSG90MHz → TCo調整 → Sメーター最大
【RF調整】
・SSG76MHz → LA,LR1,LR2調整 → Sメーター最大
・SSG90MHz → TCA,TCR1,TCR2調整 → Sメーター最大
・SSG83MHz → IF調整 → Sメーター最大
【narrowレベル調整】
・IF selector=normal
・SSG83MHz → Sメーターの振れ位置記録
・IF selector=narrow
・SSG83MHz → R103調整 → メーター振れ位置を揃える
【レシオ検波調整】
・R201両端 DC電圧計セット
・SSG83MHz → L106(手前)調整 → 電圧ゼロ
・SSG83MHz → L106(奥側)調整 → 高調波歪最小
【IFレベル調整】
・R117調整
・調整方法が分かりません。とりあえず最大位置に設定。
【ミューティング調整】
・SSG83MHz 1kHz 20dB → R134調整 → ミューティング作動位置へ
【Sメーター調整】
・SSG83MHz → R137調整 → Sメーター指針
【VCO調整】
・TP19kHz → 周波数カウンタ接続
・SSG83MHz無変調 → R218調整 → 19kHz
※19kHzが安定しない
【セパレーション調整】
・音声出力をWaveSpectraで観測
・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → R285調整 → 漏れ信号最小
【AM OSC調整】
・SSG 600kHz → AMTCo調整
・SSG1400kHz → L110 調整
【AM RF調整】
・SSG 600kHz → バーアンテナ内コイル調整 → Sメーター最大
・SSG1400kHz → AMTCA調整 → Sメーター最大
【AM Sメーター調整】
・SSG 1000kHz → R153調整 → Sメーター振れ具合調整
![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
■修理記録:19kHzが安定しない-----------------------------------------
・調整過程のVCO調整で19kHzが安定しない。
・ステレオ受信中も19kHzが揺れ動き、大きく外れるたびにSTEREOランプ消灯する。
・HA1156周辺の電解コンデンサ交換 → ※効果なし
・故障例が多い2SK30A交換 Q117 2SK30A → 2SK246 ※効果なし
・こうなるとHA1156が怪しい?
・真っ黒になった足を丹念に磨く → ※効果なし
・HA1156 → HA1156W交換 → ※効果なし
・HA1156-1ピン 電源11.56vが微妙に揺れ動くことを発見
・これは電源回路の不具合か??
・電源回路のトランジスタ、電解コンデンサ交換 → ※効果なし
・クリスタルロック基板の部品交換
・トランジスタ、電解コンデンサー総交換 → ※効果なし
・これは困った、、どこかのトランジスタがノイズを発している感じ?
・HA1156のVCC 12Vラインに繋がるトランジスタを順に交換 → ※効果なし
・大量の部品交換でも症状が改善しない??
・最終的に C209 470pF スチロールコンデンサー交換 → 当り!!
・ようやく19kHzの揺れが収まり、STEREO受信が安定しました。
![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
■分解記録:レシオ検波回路--------------------------------------------
・修理過程で Ultra Liner Detector と記されたシールドケースを分解してみました。
・内部に手を加えてはいません。記念写真だけ撮っておきました。
![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
■修理記録:操作レバー交換--------------------------------------------
・フロントパネルに並ぶ6個の操作レバーは黒いプラスチック部品です。
・オリジナル状態を重視する場合はこのままがベストなのですが、、
・実はSONY製チューナー ST-5000シリーズのツマミ部品がジャストフィットします。
・過去に解体処分したST-5150/5150Dのパーツに交換しました。
・とても精悍な印象に変わったと思います。
![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
■試聴----------------------------------------------------------------
・無用の部品交換をたくさんしてしまいました。
・でもそのおかげでWaveSpectraで見る波形がとても綺麗です。
・外観もイイ感じに仕上がりました。
