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TRIO KT-7700 修理調整記録4

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 ・2018年12月初め、音が出ないというKT-7700を寄付していただきました。
 ・故障品の寄付は大歓迎です。
 ・以下、修理記録です。

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■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 TRIO KT-7700 ¥78,000(1976年)
 ・TRIO KT-7700/KT-7500 カタログ 1976年5月版
 ・Hifi Engine KENWOOD KT-8300 ※輸出機 型番注意!

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・外観はとてもキレイな個体で目立つキズはほとんどない。
 ・FM同軸アンテナを接続して電源オン。
 ・周波数窓と3つのメーターを照らすオレンジ色の照明が点灯。電球切れ無し。
 ・Narrow、MPXfilter の赤色LEDインジケーター点灯。
 ・地元のFM放送局周波数付近でSメーターが大きく振れる。
 ・しかしこのときTメーターがまったく動かない。
 ・STEREOランプ点灯しない。
 ・固定/可変端子とも音声が出ない。
 ・MULTIPATH H端子も音声がでない。
 ・ところがMULTIPATH V端子からはFM放送が聞こえる。
 ・FM同調点を検出できないのでMUTINGが解除されない状態か?

■修理記録:IC11 NJM4558交換-----------------------------------

【検波調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・アンテナ入力なし → VR 4調整 → Tメーター中点
 ・IF BAND=WIDE
 ・アンテナ入力なし → VR12調整 → Tメーター中点
 ・Tメーター不動なので、まずはVR4とVR12を回してみると、、
 ・残念ながらVR4、VR12ともにTメーターは全く反応しない。
 ・しかし検波回路周辺から信号を直接拾ってみると音声信号が聞こえる。
 ・つまり検波回路は正常ということ。
 ・回路図を見ながら原因を考える。
 ・原因はTメーターを駆動するオペアンプIC11:NJM4558TAの故障か?
  ・部品交換 IC11:NJM 4558TA → 4558DD
 ・正解!交換によって Tメーターが左右に振れるようになった。
 ・リレー動作音が聞こえて固定/可変端子ともにFM音声が出てきた。
 ・基板を見渡すと同じCANタイプのオペアンプがあと3個。
 ・せっかくの機会なので、残る3個とも交換。
  ・IC13:NJM 4558TA → 4558DD
  ・IC10:NJM 4558T → 4558DD
  ・IC14:NJM 4558T → 4558DD
 ・交換後丸一日連続運転して不具合が無いことを確認。
 ・これで直ったか??


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■修理記録:L11 コンデンサ追加-----------------------------------

 ・上記修理でオペアンプ交換後約2日間は正常に動作していました。
 ・ところが、FM放送受信中に突然Tメーターが中点を外れ音が出なくなった。
 ・同調点を外れてミューティンが作動した状態。
 ・入手直後に確認した症状とまったく同じです。
 ・ということは当初の不調原因はオペアンプではなかった?
 ・再び原因を考える → 残された可能性は L11内蔵コンデンサーの劣化。
 ・L11を基板から取り外して底面を確認するもコンデンサーが見えない。
 ・金属製カバーを外してみると内側にコンデンサー発見。
 ・このコンデンサーを慎重に取り除き、L11本体を再度基板に取り付け。
 ・ハンダ面から温度補償型コンデンサーを追加。
 ・容量は試行錯誤の結果39pFがベストと判明
 ・検波回路の調整をやり直して受信可能状態になりました

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■修理記録:インジケーターLED交換-------------------------------------

 ・3個並んだインジケーターが点灯しない。
 ・ヤフオクで「鉄道模型用」として売られていたLEDを入手。
 ・平ぺったい形状ですが突起部は丸くてサイズはピッタリでした。
 ・ゴム製ホルダーに収めれば正面から見ても違和感ありません。

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■調整記録------------------------------------------------------------

 ・正常動作するようになったので各部調整しました。

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【検波調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・アンテナ入力なし → VR 4調整 → Tメーター中点
 ・IF BAND=WIDE
 ・アンテナ入力なし → VR12調整 → Tメーター中点
【フロントエンドOSC調整】
 ※OSCトリマ調整孔が背面にありますが、隙間が狭いのでこれを回すのは難しい
【フロントエンドRF調整】
 ・TP1(R77右足)→ DC電圧計セット
 ・IF BAND=NARROW
 ・76MHz 60dB 受信 → RFコイル6個調整 → 電圧最大
 ・90MHz 60dB 受信 → RFトリマ6個調整 → 電圧最大
【検波調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・アンテナ入力なし → VR 4調整 → Tメーター中点
 ・IF BAND=WIDE
 ・アンテナ入力なし → VR12調整 → Tメーター中点
【IFトリガー調整】
 ・TP1(R77右足)→ DC電圧計セット
 ・83MHz 60dB 受信 → L11調整 → 電圧最大
 ・83MHz 0dB 受信 → L10調整 → 電圧最大(※L10 フロントエンド内)
【IFトリガーレベル調整】
 ・83MHz 60dB 受信 → VR2調整 → 電圧DC1.8V
 ・アンテナ入力なし→ VR1調整 → 電圧DC0.6V
【Sメーター振れ調整】
 ・83MHz 80dB 受信 → VR3調整 → Sメーター目盛り5
【MUTING調整】
 ・MUTING=1
 ・83MHz 16dB 受信 → VR9調整 → MUTING作動
【VCO調整】
・周波数カウンタをTP2接続
 ・アンテナ入力なし → VR 7調整 → 19kHz
【OUTPUTレベル調整】
 ・FM DET OUT端子にAC電圧計セット
 ・76MHz 1kHz 100%変調 60dB 受信 → VR10調整 → 電圧AC300mV
【セパレーション調整】
 ・音声出力端子にWaveSpectra接続
 ・83MHz ST信号 60dB受信 → VR 5調整 → Lch信号最小
 ・83MHz ST信号 60dB受信 → VR 6調整 → Rch信号最小
【ステレオ歪調整】
 ・音声出力端子にWaveSpectra接続
 ・83MHz ST信号 60dB受信 → L10調整 → 高調波歪最小
【DEVIATIONメーター調整】
 ・83MHz 1kHz 100%変調 60dB 受信 → VR 8調整 → Dメーター目盛り100%

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・TメーターとSメーターが大きく振れて気持ちよく受信できます。
 ・トリオ独特のオレンジ色照明窓がとても美しいですね。
 ・今回も良い勉強になりました。

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