・2019年3月初め、333ESGの故障機が届きました。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESG ¥49,800(1989年発売)
・1987年10月発行「SONY ES テクノロジーカタログ」
・Hifi Manuals ST-S333ESG 海外版サービスマニュアル
■動作確認------------------------------------------------------------
・電源コードの印字 1989。サイドウッドが無いのが残念。
・ボディ外観は目立つキズは無いが、経年による汚れが目立つ。
・フロントパネルの文字が一部消えている。
・FMアンテナを接続して電源オン。
・表示部点灯。文字欠けや輝度劣化は感じられない。
・IF BANDやRF切替などボタン操作に応じてインジケーター点灯OK。
・オート選局で名古屋地区のFM局を受信するとすべて素通りして受信不可。
・上り方向、下り方向ともにオート選局不可。
・マニュアル受信でモノラルなら受信OK。
・ただ受信感度が弱く、Sメーターが下から2~3セグメント点灯する程度。
・続いて手持ちのAMループアンテナを接続して名古屋地区のAM局をテスト受信。
・AMはオート選局で名古屋地区のAM放送局を受信OK。
・FM受信感度がかなり低下しているようです。
■内部確認------------------------------------------------------------
・ボディを開けたら、、、
・過去最高レベルに匹敵する大量のホコリが堆積。
・まずは掃除機でホコリを吸い取り、さらにエアーで吹き飛ばす。
・概ね綺麗になったところで内部確認再開。
・MPX IC:CX1064
■修理記録:FM同調点--------------------------------------------------
【FM同調点調整】
・IF BAND = WIDE
・IC251(LA1235)7pin~10pin間電圧計セット
・83MHz受信 → IFT251調整 → 電圧ゼロ ※調整前後の実測+5.0V
・FM同調点を確認したところ、IFT251を回しても電圧=5.0V で全く変化しない。
・IFT251内蔵コンデンサーが完全に容量抜けしているようです。
・中途半端に劣化しているより、完全容量抜けの方がむしろ対策しやすいです。
・IFT251横にある R258 に温度補償型コンデンサを並列挿入して仮設定。
・試行錯誤の結果、15pFの容量がちょうど良さそうでした。
・本対策として基板裏面に15pFを直接追加して修理完了。
・IFT251調整で電圧ゼロに設定。
■修理記録:ハンダ修正------------------------------------------------
・特にアースバーと音声出力端子にハンダ割れ多数確認。
・333シリーズ定番の不具合箇所です。
・不良個所のハンダを盛り直してクラック修正。
■調整記録------------------------------------------------------------
【FM同調点調整】
・IF BAND = WIDE
・IC251(LA1235)7pin~10pin間電圧計セット
・83MHz受信 → IFT251調整 → 電圧ゼロ ※上記修理によりOK
【VT電圧調整】
・フロントエンド内JW8 電圧計セット
・アンテナ入力なし
・90MHz → L104調整 → 21.0V±0.2V ※調整前実測21.3V
・76MHz → 確認のみ → 8.0V±1.0V ※調整前実測 7.9V
【トラッキング調整】
・IF BAND = NARROW
・IC251(LA1235) 13pin(又はR261右足)電圧計セット
・90MHz受信 → CT101,CT102,CT103 → 電圧最大
・76MHz受信 → L101,L102,L103 → 電圧最大
【PLL検波調整】
・IF BAND = WIDE
・TP201を短絡 ※これによってIF回路をパス
・TP271 電圧計セット
・IFT272調整 → 電圧ゼロ ※調整前実測348mV
・CT271調整 → 歪最小 ※Wavespectraにて波形確認
・TP201を開放
【IF歪調整】
・IF BAND = WIDE
・MUTING = OFF
・IC251(LA1235) 13pin(又はR261右足)電圧計セット
・RV201、RV202 時計回り一杯に回す
・SSG出力40dBモノラル信号送信
・IFT201調整 → 電圧最大
・SSG出力40dBステレオ信号送信
・IFT202調整 → 電圧最大
・IFT101調整 → 電圧最大 ※IFT101フロントエンド内
・RV201、RV202 回転範囲の中央位置に回す
・SSG出力80dBモノラル信号送信
・IFT203調整 → 歪最小へ
・SSG出力80dBステレオ信号送信
・IFT204調整 → 歪最小へ
【STEREOインジケータ調整】
・IF BAND = WIDE
・MUTING = OFF
・SSG83MHz 出力20dB
・RV251調整 → ステレオインジケータ点灯
【MUTINGレベル調整】
・IF BAND = WIDE
・MUTING = ON
・SSG83MHz 出力25dB
・RV252調整 → MUTING調整
【IF NARROWゲイン調整】
・IF BAND = NARROW
・RV203調整 → NARROWゲイン調整
【Sメーター調整】
・RV241調整
【パイロットキャンセル】
・RV303、L301 19kHz信号漏れ最小 左右バランス確認
【セパレーション調整】
・RV301 R→L ※調整後実測64dB
・RV302 L→R ※調整後実測68dB
【CAL TONE】
・Peak Level-6dB 398Hzの波形が出ていました。
【AM調整】
・RV401 Sメーター調整
・RV402 AUTOSTOP調整
■試聴---------------------------------------------------------------
・FM同調点以外も各調整ポイントが大きく外れていていました。
・再調整によって良い性能を取り戻したと思います。
・サイドウッドを調達したいですね。
※今回も無用の改行が勝手に入ってしまいます。まだ悪戦苦闘中、、