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Technics ST-9030T 修理調整記録5

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 ・2019年3月初め、30Tの故障機が届きました。
 ・ガンメタフェイスとオレンジ照明の組み合わせが美しい機種です。
 ・以下、作業記録です。


St9030t07_1

■製品情報------------------------------------------------------------
 ・オーディオの足跡 Technics ST-9030T ¥80,000(1977年頃)
 ・hifiengine Technics ST-9030 FM Stereo Tuner (1977-81)


■動作確認------------------------------------------------------------
 ・フロントパネル上部、特に角部に塗装はげが目立つ。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・周波数窓と二つのメーターがオレンジ照明点灯。
 ・選局つまみのガタツキが気になる。
 ・選局するとTメーター中点とSメーター最大点がほぼ一致。
 ・メーター動作を見るとFM放送を正常に受信している模様。
 ・wideモードのランプが点灯しない。タマ切れか narrowモードになっているのか?
 ・muting 動作OK。固定端子/可変端子とも音声OK。
 ・ただし、同調できる範囲がとても狭い、というかほとんどピンポイント。
 ・僅かにズレるだけでSTEREOランプ消灯。
 ・そしてmuting作動して音が出なくなる。
 ・同調以外の問題点はLchから常時バリバリノイズが聞こえること。
 ・Rchはノイズなし。マルチパスH端子(MPX OUT)音声もノイズなし。
 ・FM同調点ズレ、MPX回路以降の回路要調査。
 ・シリアルナンバーAJ6K22A016 → 1976年11月22日製造。



















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■修理記録:選局つまみのガタツキ--------------------------------------


 ・選局つまみを回すとき「ガタツキ」が気になります。
 ・つまみが前後に数ミリ動く状態です。
 ・シャフトに固定するイモネジが緩んでいる訳ではない。
 ・清掃を兼ねてフロントパネルを分解して取付部を確認すると、
 ・何と「E型止め輪」が外れて内側に落ちていました。
 ・止め輪が自然に外れるなんて、あっていいのでしょうか?
 ・とにかく再度取り付けてガタツキは解消しました。










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■修理記録:トランジスタなど交換--------------------------------------


 ・まずは調整手順に従って各部調整してみました。
 ・「TP302とTP303を短絡するとスイッチ状態に関わらず強制narrowとなる」
 ・この調整過程で新たな発見あり。
 ・最初に確認したLchのノイズは強制narrowモード時でのみ発生する。
 ・wideモードではノイズは発生しない、、これは重要なヒントです。
 ・回路図を見ながら不具合箇所を検討。
  ・IC701:NJM4558DS → NJM4558D 交換 ※外れ、ノイズ解消しない
  ・TR502:2SK30A → 2SK246 交換   ※当たり! ノイズ解消しました
 ・TR502:2SK30A (Hi-Blend Switch)が劣化してノイズを発していたようです。
 ・そういえば過去の30T修理事例でも 2SK30A が故障原因でした。
 ・この際すべての 2SK30A を 2SK246 に交換。
  ・T307,308 (IF Switch)
  ・TR310,311 (Separation Switch)
  ・TR417 (AF Muting Switch)
 ・ついでに IC501:NJM4558DS も NJM4558D に交換しておきました。



















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■調整記録------------------------------------------------------------


【本体設定】
 ・MPX hi-blend=off
 ・Servo tuning=off
 ・IF selector=auto
 ・TP302とTP303を短絡するとスイッチ状態に関わらず強制narrowとなる
【レシオ検波調整1】
 ・入力信号なし
 ・TP201~GND DC電圧計セット → T201(narrow緑)調整 → 電圧ゼロ
 ・TP101~GND DC電圧計セット → T102(wide緑)調整 → 電圧ゼロ
【OSC調整】
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG76MHz → L8調整 → Sメーター最大
 ・SSG90MHz → CT8調整 → Sメーター最大
【RF調整】
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG76MHz → L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7調整 → Sメーター最大
 ・SSG90MHz → CT1,CT2,CT3,CT4,CT5,CT6,CT7調整 → Sメーター最大
 ・SSG83MHz → T1調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整2】
 ・入力信号なし
 ・TP101~GND DC電圧計セット → T102(wide緑)調整 → 電圧ゼロ
 ・TP201~GND DC電圧計セット → T201(narrow緑)調整 → 電圧ゼロ
【出力レベル調整】wide
 ・IF selector=wide
 ・音声出力端子にAC電圧計セット
 ・SSG83MHz 400Hz 100% → VR504調整 → 1.4v
【モノラル歪調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・IF selector=wide
 ・SSG83MHz 1kHz 100% → T102(wide赤)調整 → 歪最小
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG83MHz 1kHz 100%変調 → T201(wide赤)調整 → 歪最小
【出力レベル調整】narrow
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・音声出力端子にAC電圧計セット
 ・SSG83MHz 400Hz 100% → VR503調整 → 1.4v
【ミューティング調整】
 ・Servo tuning=auto
 ・TP102~GND DC電圧計セット
 ・SSG83MHz 1kHz → T202,T203調整 → 電圧最大
 ・SSG83MHz 1kHz 60dB → VR402調整 → 同調を外したとき局間ノイズが消える位置へ
 ・SSG83MHz 1kHz 20dB → VR401調整 → ミューティング作動位置へ
【Sメーター調整】
 ・SSG83MHz 1kHz 100% → VR501調整 → Sメーター指針
【VCO調整】
 ・TP601 周波数カウンタ接続
 ・SSG83MHz無変調 → VR602調整 → 19kHz±30Hz
【左右レベル調整】
 ・SSG83MHz 1kHz ST変調 → VR702調整 → 左右chのレベルを同じ
【パイロットキャンセル調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz 1kHz ST変調 → VR601,L601,L602調整 → パイロット信号(19kHz)最小
【サブキャリアキャンセル調整】
 ・SSG83MHz 1kHz ST変調 → CT701調整 → サブキャリア信号(38kHz)最小
【セパレーション調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR701調整 → 漏れ信号最小
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR703調整 → 漏れ信号最小
【ハイブレンド調整】
 ・音声出力端子にAC電圧計セット
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR502調整 → 左右レベルを確認
 ・MPX high-blend=on
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR502調整 → 左右レベル同一
【Auto IF セレクター調整】
 ・TP101 200kHz正弦波注入
 ・TP301 オシロスコープ接続 → T302調整 → 200kHz波形最大
 ・TP101 300kHz正弦波注入
 ・TP301 オシロスコープ接続 → T301調整 → 300kHz波形最大
 ・上記作業を数回繰り返す


St9030t00_1

■試聴----------------------------------------------------------------


 ・30Tで使われている 2SK30A はそろそろ寿命を迎えているようです。
 ・製造から既に40年超、良く頑張ったと褒めてあげましょう。
 ・交換部品は同等品として 2SK246 が使えます。
 ・Technics製ガンメタボディとオレンジ照明の組み合わせが最高です。


St9030t08_1

※ココログの新しい記事投稿方法に悪戦苦闘しています。
※今回記事の奇妙なデザインは、htmlタグが思うように反映されないせいです、、、


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