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TRIO KT-9900 6号機

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 ・2018年1月初め、KT-9900の故障品が届きました。
 ・具合が悪くなったワンオーナー機とのこと。
 ・以下、作業記録です。

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■製品情報-----------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 TRIO KT-9900 ¥200,000
 ・オーディオの足跡 TRIO KT-9900 ¥200,000(1978年発売)
 ・Hifi Engine KENWOOD KT-917 ※輸出機

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■動作確認-----------------------------------------------------------

 ・フロントパネルやボディに目立つキズは無く外観の状態はとても良い。
 ・底面にはメーカーサービスによる修理歴シールが見当たらない。
 ・電源オン、照明電球点灯、球切れなし。
 ・IF BAND切換インジケーター(緑色LED)点灯OK
 ・周波数ズレなく名古屋地区のFM局受信OK。
 ・SメーターとTメーターの動作OK。
 ・受信と同時にDDLインジケータ点灯しTメーターが中点に引き込まれる。
 ・DDL インジケーター(橙色LED)点灯OK。
 ・MUTING、QUIETING CONTROL インジケーター(橙色LED)点灯OK。
 ・「特に不具合なし、、」と思った瞬間、「ボソッ!」という雑音発生。
 ・不定期に雑音発生し、雑音に同期してDEVIATIONメーターが振り切れる。
 ・さらに雑音と当時にSTEREOインジケーターが点滅して不安定。
 ・固定/可変端子とも同じ雑音が聞こえる。
 ・マルチパスH端子からも同じ雑音が聞こえる。
 ・IF BANDを切り替えても同じ雑音が聞こえる。
 ・MUTINGオン/オフに関わらず同じ雑音が聞こえる。
 ・雑音発生時もTメーターとSメーターは正常動作している
 ・STEREO以外のインジケーターも正常点灯している。
 ・これは過去の修理事例に似ている。

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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・足が真っ黒に変色したICやトランジスタ多数あり。
 ・IC8:HA1137Wによるクアドラチュア検波ではキレイな音声が聞こえる。
 ・マルチパスH端子からは雑音が聞こえる。
 ・ということは、パルスカウント検波基板に異常あり。

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■修理記録:パルスカウント検波基板 HA1457交換-------------------------

 ・パルスカウント検波基板IC3:HA1457をソケットから抜いて足を確認。
 ・見事に真っ黒に変色しています。
 ・足をキレイに清掃して再セット → 雑音解消しない
 ・IC3 → HA1457W新品交換 → 雑音解消しない

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■修理記録:パルスカウント検波基板 L6 LPF 交換------------------------

 ・過去の経験から次に怪しいのはL6 LPFか?
 ・過去の修理例に倣って自作LPFに代替 → 正解!雑音解消!
 ・動作確認を続けると、次なる不具合発覚。
 ・WaveSpectraで波形を見ていると、ベースラインが不規則に揺れる症状確認

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■修理記録:パルスカウント検波基板 トランジスタ交換-------------------

 ・L6直前のトランジスターを1個づつ確認。
 ・Q13:2SA836エミッター電圧が微妙に変動する
 ・Q12,Q13,Q14:2SA836 → 2SA1015交換
 ・WaveSpectraで見る波形の不規則な揺れが無くなった。

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■調整記録------------------------------------------------------------

 ・まともに使える様になったので動作確認を兼ねて調整作業実施。
 ・→調整方法(1号機の記録)
 ・NHK-FMを受信するとFM多重ノイズが発生します。
 ・残念ながら今回もこのノイズを回避できませんでした。

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■修理記録:セパレーション調整に難あり--------------------------------

 ・QUIETING CONTROL:STEREO → セパレーション調整OK
 ・QUIETING CONTROL:AUTO → セパレーション大幅低下
 ・QUIETING CONTROLとはいわゆる「オートブレンド機能」です。
 ・電波強度が十分あるにもかかわらずQUIETING CONTROLが作動している状態。

 ・IF基板9ピン(=MPX基板19ピン)電圧測定
 ・QUIETING CONTROL:AUTO
 ・83.0MHz,65dB受信 → 規定値 0.6V → 実測 2.8V
 ・83.0MHz,60dB受信 → 規定値 0.9V → 実測 2.8V
 ・83.0MHz,50dB受信 → 規定値 1.8V → 実測 2.8V
 ・83.0MHz,40dB受信 → 規定値 2.9V → 実測 3.0V
  ※上記規定値は回路図中に記載あり
 ・やはり電波強度に関わらずブレンド量が最大になっています。

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 ・IF基板 IC9,IC10 NJM4556 真っ黒に変色した足を清掃。
 ・特に足の付け根部分を歯ブラシと爪楊枝で丹念に清掃。
 ・さらに足の間を安全ピンの先端でガリガリ削る。
 ・これで、、直りました!電圧がほぼ規定値を示します。
 ・他のICやトランジスタも同様の処置をしておきました。
 ・ICやトランジスタの足の黒化現状、ちょっと調べてみます。

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・8年前の不調原因は不明ですが、とりあえず復活しました。
 ・大型メーター、淡いオレンジ照明、フロントパネルのデザインは上品ですね。

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