・2019年1月初め、D-3300Tの故障機が届きました。
・作業内容をご報告します。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオ懐古録 KENWOOD D-3300T ¥140,000円(1986年)
・オーディオの足跡 KENWOOD D-3300T ¥140,000円(1986年発売)
■動作確認------------------------------------------------------------
・電源コードの印字 1986
・アンテナ端子A に同軸ケーブルを接続して電源オン。
・表示部は明るく点灯。輝度劣化や文字痩せは感じない。
・名古屋の地元FM局を受信しながら点検開始、、
・ところがオート選局では局周波数を素通りして受信不可。
・RF切換をDISTANCE側に設定しても、、やはり素通りして受信不可。
・IF切換(WIDE/NARROW)とも受信不可。
・マニュアル受信では Tuneメーターが1列右にズレた位置で放送を受信。
・赤色のシグナルバーがフル点灯。
・ただしSTEREOランプ点灯しない。
・Modulationを示す横バーグラフが点灯しない。
・REC CALトーンは動作OK。
・FM同調点がズレていることが原因のようです。
・L9調整で電圧ゼロにできないとの事ですから修理が必要そうです。
■修理記録:FM同調点が検出できない-----------------------------------
・L9調整 → TP16~TP17間電圧ゼロ
・L9コアを奥までねじ込んだ状態で-1.2Vまでしか調整できない。
・原因はL9内部コンデンサーの容量抜けか?
・作業のために検波基板を取り外す。
・対策として基板裏面に温度補償型コンデンサ(22pF)を追加。
・これでTP16~TP17間の電圧ゼロ調整OK
・後述の各部調整でSTEREOランプ点灯、MODULATIONバー表示OK。
・これで修理完了!、、と思ったら、、
■修理記録:STEREOランプ点灯しない-----------------------------------
・正常受信している状態からオート選局で他局を受信しようとすると、、
・不思議なことに局周波数で自動停止しない。
・AUTO STOPレベルを調整しても自動停止しない。
・マニュアル操作でFM局を受信すると受信できる
・ただしSTEREOランプが点灯しない。実際にモノラル音声。
・RF切換やIF切換を実行してもSTEREO受信できない。
・一度本体の電源オフ。再度電源オン、、しかしSTEREOランプ点灯しない。
・ところが、電源コードを抜いてしばらく放置。
・その後電源オンにすると、、何事も無かったかのようにSTEREOランプ点灯。
・電源投入後数分間はオート選局可能。STEREOランプ正常点灯。
・この状態で何も操作しなければ正常動作が続く。
・しかし、登録済みの他局をメモリボタンで選ぶとSTEREOランプ点灯しない。
・このときFM同調点調整にズレはない。
・MPX VCO調整では76kHzの調整OK。
・L9にコンデンサを追加すると何か問題が発生するのか?
■修理記録:検波回路基板交換----------------------------------------
・そういえばD-3300TとKT-7020の検波回路基板はほぼ同じもの。
・試しにKT-7020から取り出して保管していた検波回路基板を移植。
・何と!STEREOランプ正常点灯!上記不具合が解消しました!!
・オート選局OK、、(ただし0.1MHzのズレあり)
・マニュアル選局OK。メモリ選局OK。
・この基板は面実装部品が多くて動作中の状態が掴み難いです。
・具体的な原因がよく分かりません?
・でも検波回路基板交換によって当初の不具合は解消しました。
・検波基板を交換するとFM同調点にズレは無いのに±0.1MHzのズレが生じます。
・このズレが乗ずることは過去の事例から分かっていました。
・対策として AUTO STOP レベルを変更。
・試行錯誤の末、以下の抵抗を交換
・R212 10kΩ → 470Ω → 成功!
■調整記録------------------------------------------------------------
・過去の調整記録に倣って各部再調整しました。
・良い性能を示していると思います。
■試聴----------------------------------------------------------------
・約1週間に渡って動作確認しましたが、特に問題なさそうです。
・新しい発見があって、今回も良い勉強になりました。