・2018年5月初め、ST-S333ESXの修理調整作業を承りました。
・これまで ESXII は何台も見てきましたが「元祖333ESX」は初体験です。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESX ¥49,800(1986年頃)
・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESXII ¥49,800(1987年頃)
■動作確認-----------------------------------------------------------
・外観は経年の汚れが目立つものの目立つキズは無い。
・背面端子類もくすんでいるがそんなに悪い状態ではない。
・さて、FMアンテナ端子を接続して受信テスト。
・電源オンで表示部点灯。
・文字欠けはないが、輝度が劣化したセグメントあり。。
・オート選局では名古屋地区のFM局を受信できない。
・マニュアル選局では受信できたがSTEREOランプ点灯しない。
・IF BAND切替OK、MUTING切替OK、REC CALトーンOK。
・手持ちの適当なAMループアンテナを接続してAM受信テスト。
・AMはオート選局で名古屋地区のAM局をすべて受信。
・AMは問題なさそうです。
■内部確認------------------------------------------------------------
・ボディを開けると基板上面に大量のホコリが堆積した状態。
・今まで見てきた中で最高レベルの「ホコリ量」でした。
・約30年分?のホコリをエアーでき飛ばしてブラシ清掃。
・油汚れやヤニ汚れが無かったで助かりました。
・後継機ESXIIと比べると基板の形状や部品の配置がずいぶん異なります。
・でも基板上の部品番号をよく見ると333ESXIIとほとんど同じ。
・LA1235 FM IF SYSTEM
・CXA1064=LA3450
・LA1245 AM TUNER
・ESXとESXIIの違いは、、
・ESXには FMステレオインジケーター調整VRがない
・ESXには CAL TONE調整VRがある
■調整記録------------------------------------------------------------
・まずは333ESXIIの調整方法を参考にして各部調整してみました。
・部品番号はほとんど同じです。
【FM同調点調整】
・IFT205調整 LA1235-7pin~10pin間電圧ゼロ ※調整前実測-2.95V
▲調整後ベスト値-0.45V → 0Vに調整できない
■修理記録:FM同調点--------------------------------------------------
▲LA1235のFM同調点が調整しきれない。
▲この状態でFM局をオート受信すると-0.1MHzの周波数ズレを生じる。
・原因はIFT205内部コンデンサの容量抜けか?
・IFT205は333シリーズ共通の部品。
・基板だけ保管している333ESGから同じIFT205を取り外して移植。
・これで同調点電圧のゼロ調整が完了できました。
■調整記録------------------------------------------------------------
【FM同調点調整】
・IFT205調整 LA1235-7pin~10pin間電圧ゼロ ※調整前実測-0.45V
【VT電圧調整】
・フロントエンド内ジャンパ線 JW3 → 電圧計セット
・90MHz L104調整 21.0V±0.2V ※調整前実測21.1V
・76MHz 確認のみ 8.0V±1.0V ※調整前実測 8.0V
【SST回路調整】
・SST調整はVT電圧調整後、かつトラッキング調整前に行うこと
・76MHz受信 RT801調整 IC802-11pin電圧 → 0V 実測1.0mV
・90MHz受信 IC802-9pin電圧 → 14V確認 ※調整前実測14.1V
【トラッキング調整】
・IC203(LA1235)-13pin(又はRT204)電圧max
・76MHz L101,L102,L103
・90MHz CT101,CT102,CT103
【PLL検波調整】
・TP201をGNDに落とす
・IFT207調整 TP202 DC電圧ゼロ ※調整前実測-114mV
・CT201調整 歪最小
【IF歪調整】
・Wide受信、MUTINGオフ
・IC203(LA1235)-13pin電圧計セット
・RT201、RT202 時計回り一杯に回す
・SSG出力20dBモノラル信号送信
・IFT201調整 電圧最大へ
・IFT101調整 電圧最大へ
・SSG出力80dBにセット
・IFT203、RT201を交互に調整 歪最小へ
・SSG出力20dBにセット、Mutingオン
・IFT202調整 電圧計最大へ
・SSG出力80dBステレオ信号送信
・IFT204、RT202を交互に調整 歪最小へ
【パイロットキャンセル】
・RT304、L301 19kHz信号漏れ最小 左右バランス確認
【セパレーション調整】
・RT301 R→L ※調整後実測62dB
・RT302 L→R ※調整後実測64dB
【Sメーター調整】
・RT205
【MUTINGレベル調整】
・RT204
【CAL TONE】
・テストトーン 404Hz確認
・RT303調整 → 音声レベル-6dB設定
【AM調整】
・RT401 Sメーター調整
・RT402 AUTOSTOP調整
■試聴----------------------------------------------------------------
・回路構成がESXIIとほとんど同じという事が新発見でした。
・カタログの特性値を比較してもほとんど同じです。
・キチンと調整すればまだまだ使えますね。