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Technics ST-9030T 修理調整記録3

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 ・2018年4月末、30Tの修理調整作業を承りました。
 ・受信できるが雑音が入るそうです。

St9030t07

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 Technics ST-9030T ¥80,000(1977年頃)
 ・hifiengine Technics ST-9030 ※回路図、調整手順、取扱説明書

St9030t02St9030t10

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・可変出力端子が付け替えられていました。
 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・周波数窓と二つのメーターがオレンジ照明に浮かびます。
 ・周波数ズレなし。Tメーター中点とSメーター最大点が合致。
 ・メーター動作を見るとFM放送を正常に受信しているようです。
 ・しかし出てくる音にひどい雑音が混入します。
 ・雑音に連動してステレオランプが明滅。
 ・IF BAND wide/auto を切り替えても同じ雑音が発生する。
 ・Muting オンオフを切り替えても同じ雑音が発生する。
 ・固定端子/可変端子とも同じ雑音が聴こえる。
 ・マルチパスH端子(MPX OUT)からも同じ雑音が聴こえる

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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・可変出力端子以外は改造や部品交換歴はなさそうです。

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■修理記録------------------------------------------------------------

 ・回路図を見ながら原因を推定する。
 ・二つのメーターは正常動作している → 検波回路までは正常
 ・IF基板15番端子(Wide側検波音声) → MPX基板20番端子 → 正常音声
 ・IF基板10番端子(Narrow側検波音声)→ MPX基板21番端子 → 正常音声
 ・IC501(4558D)6番、7番端子 → 雑音混入確認

Technics_st9030tfix

 ・雑音発生源はIF切換回路か?
 ・Wide/Narrowともに同じ雑音なので TR307,308(2SK30A)が怪しい?
 ・FET TR307,TR308 (2SK30A) を新品に交換 → 正解!
 ・雑音が消えてキレイなFM音声が流れてきました。
 ・原因はWide/Narrowを切り替えるTR307,308(2SK30A)故障でした。

St9030t40St9030t41

■調整記録------------------------------------------------------------

【本体設定】
 ・MPX hi-blend=off
 ・Servo tuning=off
 ・IF selector=auto
 ・TP302とTP303を短絡するとスイッチ状態に関わらず強制narrowとなる
【レシオ検波調整1】
 ・入力信号なし
 ・TP201~GND DC電圧計セット → T201(narrow緑)調整 → 電圧ゼロ
 ・TP101~GND DC電圧計セット → T102(wide緑)調整 → 電圧ゼロ
【OSC調整】
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG76MHz → L8調整 → Sメーター最大
 ・SSG90MHz → CT8調整 → Sメーター最大
【RF調整】
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG76MHz → L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7調整 → Sメーター最大
 ・SSG90MHz → CT1,CT2,CT3,CT4,CT5,CT6,CT7調整 → Sメーター最大
 ・SSG83MHz → T1調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整2】
 ・入力信号なし
 ・TP101~GND DC電圧計セット → T102(wide緑)調整 → 電圧ゼロ
 ・TP201~GND DC電圧計セット → T201(narrow緑)調整 → 電圧ゼロ
【出力レベル調整】wide
 ・IF selector=wide
 ・音声出力端子にAC電圧計セット
 ・SSG83MHz 1kHz 100% → VR504調整 → 1.4v
【モノラル歪調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・IF selector=wide
 ・SSG83MHz 1kHz 100% → T102(wide赤)調整 → 歪最小
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG83MHz 1kHz 100%変調 → T201(wide赤)調整 → 歪最小
【出力レベル調整】narrow
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・音声出力端子にAC電圧計セット
 ・SSG83MHz 1kHz 100% → VR503調整 → 1.4v
【ミューティング調整】
 ・Servo tuning=auto
 ・TP102~GND DC電圧計セット
 ・SSG83MHz 1kHz → T202,T203調整 → 電圧最大
 ・SSG83MHz 1kHz 60dB → VR402調整 → 同調を外したとき局間ノイズが消える位置へ
 ・SSG83MHz 1kHz 20dB → VR401調整 → ミューティング作動位置へ
【Sメーター調整】
 ・SSG83MHz 1kHz 100% → VR501調整 → Sメーター指針
【VCO調整】
 ・TP601 周波数カウンタ接続
 ・SSG83MHz無変調 → VR602調整 → 19kHz±30Hz
【左右レベル調整】
 ・SSG83MHz 1kHz ST変調 → VR702調整 → 左右chのレベルを同じ
【パイロットキャンセル調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz 1kHz ST変調 → VR601,L601,L602調整 → パイロット信号(19kHz)最小
【サブキャリアキャンセル調整】
 ・SSG83MHz 1kHz ST変調 → CT701調整 → サブキャリア信号(38kHz)最小
【セパレーション調整】
 ・音声出力をWaveSpectraで観測
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR701調整 → 漏れ信号最小
 ・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR703調整 → 漏れ信号最小
【ハイブレンド調整】
 ・音声出力端子にAC電圧計セット
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR502調整 → 左右レベルを確認
 ・MPX high-blend=on
 ・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR502調整 → 左右レベル同一
【Auto IF セレクター調整】
 ・TP101 200kHz正弦波注入
 ・TP301 オシロスコープ接続 → T302調整 → 200kHz波形最大
 ・TP101 300kHz正弦波注入
 ・TP301 オシロスコープ接続 → T301調整 → 300kHz波形最大
 ・上記作業を数回繰り返す

St9030t

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・調整ズレはほとんど無かったです。
 ・ガンメタボディとオレンジ照明の組み合わせがとてもイイですね。

St9030t08


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