・年末大掃除の納戸整理で10年ぶりにST-G7が出てきました。
・テクニクス製パルスカウント検波チューナーです。
・ずっと放置していたので不具合があるかも、、
・ということで、もう一度しっかり調整し直した記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 Technics ST-G7 ¥73,800(1983年発売)
・オーディオ懐古録 Technics ST-G7 ¥73,800
・Hifi Engine Technics ST-G7(1984-88))※海外版サービスマニュアル
・ST-G7 取扱説明書(日本語版)
■動作確認------------------------------------------------------------
・青色背景に白文字が浮かび上がる液晶パネル、フロントパネル右下に緑色アクセント。
・そういえば入手時は電球切れで液晶表示が全く見えなかった。
・アルミ製フロントパネルとガラス製シーリングパネルの組み合わせ。
・メモリ選局ボタンもアルミ一枚板で出来ています。
・気品があるというか、上品な雰囲気を醸し出しています。
・約10年ぶりに通電しましたが、FM/AMとも受信できました。
・周波数ズレなし、STEREOインジケーター点灯。
・基本的な使い方を忘れてしまったので取扱説明書を読んで復習しました。
<取扱説明書より抜粋>
・IFオート切換
・希望局を受信するとマイクロコンピューターが隣接局の有無を検索判断する
・隣接局が無い場合は±400kHz離調55dBの高選択度normal回路を選択する
・隣接局がある場合は±200kHz離調25dBの狭帯域・高選択度super narrow回路が作動する
・FM signalボタンで FM 電波の入力レベルを dBf 表示できる。
・down/upボタンを短く押すとマニュアル選局。長押しでオート選局。
・memoryボタンを長押しするとオートスキャンして自動的にプリセットメモリに記憶。
・mutingボタン長押しで作動レベルを 30/40/50dBf に切換可能。
■内部確認------------------------------------------------------------
・4連バリキャップ、パルスカウント検波、サンプリングホールドMPX
・7種類のLSI、ICを新開発したD/Aフュージョンサーキット
・フロントエンド、IF回路、MPX回路の3ヶ所をクォーツの精度でコントロールするトリプルクォーツコントロール
・ICの多くは基板裏側に実装されています。
IC101:AN7274S/ FM/AM AMP
IC102:AN7275S/ FM PULSE COUNT DET.
IC301:AN7471S/ MPX
IC302:AN6562/ Scan cut/Pilot cancel
IC303:MN4066/ PEAK SAMPLING SWITCH
IC304:MN4066/ MUTING/HIGH BLEND
IC305:AN6554NS/ OPERATION AMP
IC306:AN6554NS/ OPERATION AMP
IC901:AN6823/ PRE SCALER
IC902:MN1291/ PLL CONTROLLER
IC903:MN1554STD/ MICRO COMPUTER
IC904:MN1256/ LCD driver
IC905:AN6552/ FM RF ATTENUATOR
X101 :31.3MHz
X901 :8.55MHz
X902 :2MHz
・製品情報を読んでも「パルスカウント検波」という記載はありません。
・テクニクスでは「デジタルリニアディテクタを採用」とPRしていました。
・どちらの宣伝文句にしても、当時の私には理解できていなかったですけどね。
・IF信号(10.7MHz)→ Q103,104(3逓倍) → 32.1MHz
・水晶発振31.3MHz → Q105(Mixer)→ 2nd IF信号(0.8MHz)→ パルスカウント検波
・3逓倍したIF信号から0.8MHzの2nd IF信号を作り出しています。
・パルスカウント検波=トリオという印象ですが、各社それぞれ研究していたのですね。
<参考>メーカー別パルスカウント検波第2IF周波数
・KENWOOD製パルスカウント機(1981以前)
[ 10.7MHz ] → [ LC発振8.74MHz ] → 1.96MHz
・PIONEER F-120/120D(1982/1984)
[ 10.7MHz×2 ] → [ 水晶発振20.14MHz ] → 1.26MHz
・Technics ST-G7 (1983)
[ 10.7MHz×3 ] → [ 水晶発振31.3MHz ] → 0.8MHz
・ALPINE/Luxman T-117(1987)
[ 10.7MHz×3 ] → [ 水晶発振32.975MHz ] → 0.8075MHz
■調整記録------------------------------------------------------------
・輸出機用サービスマニュアルを基に一部アレンジ
【VT電圧調整】
・TP1 DC電圧計セット
・76.1MHz → L6 調整 → 2.9V ※実測 2.9V
・89.9MHz → CT1調整 → 11.0V ※実測10.8V
【FM RF調整】
・VR101 DC電圧計セット
・83.0MHz → L1,L3,L4,T1調整 → 電圧最大
【FM同調点調整】
・TP101-TP102 DC電圧計セット
・83.0MHz → T101調整 → 電圧ゼロ
・TP103 - 周波数カウンタセット
・83.0MHz → T103調整 → 0.8MHz ※実測0.87MHz
・TP302 - GND DC電圧計セット
・83.0MHz → VR102調整 → 電圧ゼロ
【STEREOインジケータ調整】
・LCD表示を電波強度モードに切り替え
・83.0MHz,60dB → VR101調整 → 表示60dB
・入力30dBに対して表示22~38dBならOK ※かなりアバウト!
【パイロットキャンセル】
・音声出力 → WaveSpectraに接続
・83.0MHz → VR103,L301調整 → パイロット信号最小 ※左右バランス注意
【ステレオ歪調整】
・音声出力 → WaveSpectraに接続
・83.0MHz → T1,T103調整 → 高調波歪最小
【セパレーション調整】
・音声出力 → WaveSpectraに接続
・83.0MHz → VR303調整 → Rch最小
・83.0MHz → VR304調整 → Lch最小
【CAL TONE】
・Peak Level-2.1dB 345Hzの波形が出ていました。確認のみ
【AM調整】
・AMVT電圧調整 L203調整→
・TP201 DC電圧計セット
・522kHz → L203調整 → 1.6V
・1629kHz → 8.3V 確認のみ
・729kHz(NHK第一)→ L202調整 → 最適ポジション
・1332kHz(東海ラジオ)→ CT201調整 → 最適ポジション
・1053kHz(CBCラジオ)→ T201調整 → 聞きやすい位置へ
■試聴----------------------------------------------------------------
・シルバーモデルは上品な印象、色違いのブラックモデルは精悍な印象です。
・どちらもオーディオ棚のアクセントにイイ感じです。