・2017年2月初め、ST-A40の再調整作業を承りました。
・HOジャンクコーナーで何度か遭遇したことがあるような気がします。
・初めて内部を見る機会をいただきました。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 SONY ST-A40 ¥34,000(1979年頃)
・オーディオの足跡 SONY ST-A35 ¥35,000(1980年頃)
・Hifi Engine SONY ST-A35 AM/FM Stereo Tuner (1980-81)
・A40/A35の説明文を読み比べると内容はほとんど同じ。
・海外サイトでST-A35の資料が見つかったので参考になりそうな予感です。
■動作確認------------------------------------------------------------
・経年の汚れはありますが、外観に目立つキズはありません。
・フロントパネルはほぼ無傷。状態は良いです。
・FMアンテナを接続して電源オン。指針照明点灯。
・スケール全体をライトアップする照明は無さそうです。
・多少の周波数ズレはあるものの、名古屋地区のFM局を受信。
・緑色5連LEDのSIGNALメーター点灯。
・ACCUTE SERVO LOCK点灯。左右にズレた位置では赤色LED点灯。
・同調点に強制的に引き込まれるような感じです。
・STEREOランプ点灯。MUTING動作OK。REC CALトーンOK。
・背面バーアンテナで名古屋地区のAM局も受信OK。
・FM/AMとも周波数ズレがありますが、故障箇所は無さそうです。
■内部確認------------------------------------------------------------
・FM3連、AM2連フロントエンドユニット → CF3段
・IC201:LA1231N:クアドラチュア検波
・IC301:KB4437 :PLL MPX
・IC401:LA1240 :AM TUNER
・IC701:LB1416 :LED DRIVER
・久しぶりに東光KB4437に遭遇しました。
・KB4437はSONY ST-J55/J60 でも使われています。
・KB4437=PA1001。
・PIONEER製チューナーではPA1001としてよく見かけます。
・Harman Kardon TU905 回路図にあったKB4437ブロック図を転載します。
■調整記録------------------------------------------------------------
・ST-A40実機とST-A35回路図をじっくり比較しました。
・価格はほぼ同じですが、中身は ST-A40>ST-A35 でした。
・SERVO LOCK回路は共通。輸出機ST-A35の回路図が参考になりました。
【SERVO LOCK停止】
・IC601 JRC4558C-5ピン → GNDに落とす
・これによってSERVO LOCK機能停止
【FM同調点調整】
・音声出力をWaveSpectraで観測
・TP-NULL 電圧計セット
・SSG83MHz送信 → 歪率が最小になる位置を探す ※実測82.8MHz付近
・IFT201(橙)調整 → TP電圧ゼロ
・IFT201(黒)調整 → 高調波歪最小
【FM OSC調整】
・OSC調整コイル:L103がボンドで固められており調整不能
・従って調整はCT103のみ。
・RT201 Sメーター調整VRに電圧計セット(Sメーター代用)
・SSG83MHz → 指針を83MHzにセット → CT103調整 → 電圧最大
※CT103を83MHzに調整した場合
・76MHz → 76.2MHz
・83MHz → 83.0MHz
・90MHz → 89.6MHz
※CT103を90MHzに調整した場合
・76MHz → 76.2MHz
・83MHz → 83.3MHz
・90MHz → 90.0MHz
【FM RF調整】
・L101、L102はコイル間隔を調整するタイプ。
・これは上手く調整できないの今回はノータッチ。CT101とCT102のみ調整しました。
・RT201 Sメーター調整VRに電圧計セット(Sメーター代用)
・SSG83MHz → 指針を83MHzにセット → CT101,102調整 → 電圧最大
・SSG83MHz → 指針を83MHzにセット → T101調整 → 電圧最大
【FM高調波歪調整】
・音声出力をWaveSpectraで観測
・SSG83MHz → IFT201(黒)調整 → 高調波歪最小
【SERVO LOCK停止解除】
・IC601 JRC4558C-5ピン → 解除
【Sメーター点灯調整】
・RT201
【MUTING動作点調整】
・RT202
【VCO調整】
・TP VCO に周波数カウンター接続
・SSG83MHz(無変調)→ 76kHz
【パイロット信号キャンセル】
・音声出力をWaveSpectraで観測
・SSG83MHz(ST)→ RT301調整 → 19kHz信号を最小
【セパレーション調整】
・音声出力をWaveSpectraで観測
・SSG83MHz(ST)→ RT501調整 → 左右の漏れ信号最小
【REC CAL調整】
・音声出力レベルを記録
・RT601調整 → -6dB設定
【AM OSC調整】
・SSG AM 600kHz → 指針 600kHz位置にセット → T401調整
・SSG AM1400kHz → 指針1400kHz位置にセット → CT402調整
【AM RF調整】
・SSG AM 600kHz → バーアンテナ内コイル調整
・SSG AM1400kHz → CT401調整
【RT203】
・RT203(FM) = LA1231N-6ピン
・検波出力レベル調整 最大にしておきました
・RT201:SIG
・RT202:MUT
・RT203:FM
・RT301:PILOT
・RT302:VCO
・RT501:SEP
・RT601:CAL
■試聴----------------------------------------------------------------
・当時のソニーらしいお洒落なデザインですね。
・シンプルな構成ですがFM/AMとも不満無く使えます。