・2016年12月末、ワンオーナー品の30Tが届きました。
・以下、作業報告です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 Technics ST-9030T ¥80,000(1977年頃)
・T.I.C Technics ST-9030 1978 $460 ※回路図、調整手順
・hifiengine Technics ST-9030 ※回路図、調整手順、取扱説明書
■動作確認------------------------------------------------------------
・外装はあちらこちらに打ち傷があります。
・40年も使っていれば無傷ではいられませんね。
・FMアンテナを接続して電源オン。周波数窓がオレンジ照明に浮かびます。
・若干プラス側への周波数ズレ。Tメーター中点とSメーター最大点が合わない。
・STEREOインジケーター点灯。実際にステレオ感あり。Muting動作OK。
・難点 Wide/Narrow切替インジケーターが点灯しないこと。
・IF BANDが切り替わっていないのか?それともただの電球切れか?
■内部確認------------------------------------------------------------
・電解コンデンサーがすべて交換済みでした。
■修理記録------------------------------------------------------------
・基準信号を送ってWaveSpectra波形を観察すると、wide/narrow切換は動作している。
・ここは単純なパイロットランプの球切れですね。
・ジャンク箱から同サイズの電球を見つけて交換。
・隣のSTEREOランプと輝度も同じです。
■調整記録------------------------------------------------------------
【本体設定】
・MPX hi-blend=off
・Servo tuning=off
・IF selector=auto
・TP302とTP303を短絡するとスイッチ状態に関わらず強制narrowとなる
【レシオ検波調整1】
・入力信号なし
・TP201~GND DC電圧計セット → T201(narrow緑)調整 → 電圧ゼロ
・TP101~GND DC電圧計セット → T102(wide緑)調整 → 電圧ゼロ
【OSC調整】
・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
・SSG76MHz → L8調整 → Sメーター最大
・SSG90MHz → CT8調整 → Sメーター最大
【RF調整】
・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
・SSG76MHz → L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7調整 → Sメーター最大
・SSG90MHz → CT1,CT2,CT3,CT4,CT5,CT6,CT7調整 → Sメーター最大
・SSG83MHz → T1調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整2】
・入力信号なし
・TP101~GND DC電圧計セット → T102(wide緑)調整 → 電圧ゼロ
・TP201~GND DC電圧計セット → T201(narrow緑)調整 → 電圧ゼロ
【出力レベル調整】wide
・IF selector=wide
・音声出力端子にAC電圧計セット
・SSG83MHz 1kHz 100% → VR504調整 → 1.4v
【モノラル歪調整】
・音声出力をWaveSpectraで観測
・IF selector=wide
・SSG83MHz 1kHz 100% → T102(wide赤)調整 → 歪最小
・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
・SSG83MHz 1kHz 100%変調 → T201(wide赤)調整 → 歪最小
【出力レベル調整】narrow
・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
・音声出力端子にAC電圧計セット
・SSG83MHz 1kHz 100% → VR503調整 → 1.4v
【ミューティング調整】
・Servo tuning=auto
・TP102~GND DC電圧計セット
・SSG83MHz 1kHz → T202,T203調整 → 電圧最大
・SSG83MHz 1kHz 60dB → VR402調整 → 同調を外したとき局間ノイズが消える位置へ
・SSG83MHz 1kHz 20dB → VR401調整 → ミューティング作動位置へ
【Sメーター調整】
・SSG83MHz 1kHz 100% → VR501調整 → Sメーター指針
【VCO調整】
・TP601 周波数カウンタ接続
・SSG83MHz無変調 → VR602調整 → 19kHz±30Hz
【左右レベル調整】
・SSG83MHz 1kHz ST変調 → VR702調整 → 左右chのレベルを同じ
【パイロットキャンセル調整】
・音声出力をWaveSpectraで観測
・SSG83MHz 1kHz ST変調 → VR601,L601,L602調整 → パイロット信号(19kHz)最小
【サブキャリアキャンセル調整】
・SSG83MHz 1kHz ST変調 → CT701調整 → サブキャリア信号(38kHz)最小
【セパレーション調整】
・音声出力をWaveSpectraで観測
・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR701調整 → 漏れ信号最小
・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR703調整 → 漏れ信号最小
【ハイブレンド調整】
・音声出力端子にAC電圧計セット
・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR502調整 → 左右レベルを確認
・MPX high-blend=on
・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR502調整 → 左右レベル同一
【Auto IF セレクター調整】
・TP101 200kHz正弦波注入
・TP301 オシロスコープ接続 → T302調整 → 200kHz波形最大
・TP101 300kHz正弦波注入
・TP301 オシロスコープ接続 → T301調整 → 300kHz波形最大
・上記作業を数回繰り返す
■試聴----------------------------------------------------------------
・ガンメタ色のフロントパネルにオレンジ照明が精悍な印象を醸し出します。
・この時期のテクニクス製品はカッコよかったですね。