・2015年9月末、ST-S333ESXIIの調整作業を承りました。
・特に故障箇所は無かったので各部再調整だけ行いました。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESXII ¥49,800(1987年発売)
・1987年10月発行 SONY ES テクノロジーカタログ
・Hifi Engine ST-S730ES 海外版サービスマニュアル
■動作確認------------------------------------------------------------
・天板に擦り傷。フロントパネルとサイドウッドはほぼ無傷。
・電源OK。FM受信OK。周波数ズレなし。AUTO選局OK。
・IF BAND切替OK。MUTING動作OK。STEREOランプ点灯。
・CAL TONE出力 OK。
・手持ちのループアンテナでAM受信確認OK。
・特に不具合は感じません。
■内部確認------------------------------------------------------------
・修理調整記録4で最終オーディオ回路のLPFに新種を発見しました。
・今回の個体は、過去に多く見たアクティブ型でした。
・MPX-ICは今回もCXA1064。LA3450を搭載した個体にはなかなか遭遇しません。
・このシーズの定番、裏面にGNDハンダクラック多数。
■修理記録・ハンダクラック修正----------------------------------------
・不具合としては発症していませんが予防措置です。
・クラック箇所を修正しました。
■調整記録------------------------------------------------------------
・海外版SMの記述をベースにして一部アレンジ。
【FM同調点調整】
・IFT205調整 LA1235-7pin~10pin間電圧ゼロ ※調整前実測615mV
【VT電圧調整】
・IC803-5pin電圧測定
・90MHz L104調整 21.0V±0.2V ※調整前実測21.6V
・76MHz 確認のみ 8.0V±1.0V ※調整前実測8.05V
【SST回路調整】
・SST調整はVT電圧調整後、かつトラッキング調整前に行うこと
・76MHz受信 RT801調整 IC802-11pin電圧 → 0V
・90MHz受信 IC802-9pin電圧 → 14V確認 ※調整前実測14.0V
【トラッキング調整】
・IC203(LA1235)-13pin(又はRT204)電圧max
・76MHz L101,L102,L103
・90MHz CT101,CT102,CT103
【PLL検波調整】
・TP201をGNDに落とす
・IFT207調整 TP202 DC電圧ゼロ ※調整前実測218mV
・CT201調整 歪最小
【IF歪調整】
・Wide受信、MUTINGオフ
・IC203(LA1235)-13pin電圧計セット
・RT202、RT203 時計回り一杯に回す
・SSG出力20dBモノラル信号送信
・IFT201調整 電圧最大へ
・IFT101調整 電圧最大へ
・SSG出力80dBにセット
・IFT203、RT202を交互に調整 歪最小へ
・SSG出力20dBにセット、Mutingオン
・IFT202調整 電圧計最大へ
・SSG出力80dBステレオ信号送信
・IFT204、RT203を交互に調整 歪最小へ
【STEREOインジケータ調整】
・RT206 SSG出力20dBでステレオインジケータ点灯
【パイロットキャンセル】
・RT303、L301 19kHz信号漏れ最小 左右バランス確認
【セパレーション調整】
・RT301 R→L ※調整後実測64dB
・RT302 L→R ※調整後実測68dB
【Sメーター調整】
・RT204
【MUTINGレベル調整】
・RT205
【CAL TONE】
・Peak Level-5.8dB 316Hzの波形が出ていました。-6dBに調整。
【AM調整】
・RT401 Sメーター調整
・RT402 AUTOSTOP調整
<調整結果>
・FM同調点が大きく外れていて周波数ズレ寸前でした。
・PLL検波調整にズレが大きかったです。
・セパレーション値も大幅に改善しました。
■試聴---------------------------------------------------------------
・はんだクラック以外に顕著な不具合はありませんでした。
・各部再調整によって良好な性能を取り戻したと思います。
・FM/AMとも良い音です。