・2015年9月、KT-2020の調整を承りました。
・そういえば過去の記事では調整記録を残していなかったです。
・以下、作業のご報告です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 KENWOOD KT-2020 ¥74,800(1984年頃)
・輸出機 KENWOOD KT-990SD
・ただネット検索しても海外機の情報が乏しいです。
・KT-990Dは別機種です。
■動作確認------------------------------------------------------------
・AMループアンテナ付属。
・フロントパネルにキズは見当たらないが、天板に数箇所の塗装はげ。
・FMアンテナを接続して電源オン。表示管がキレイに点灯。
・オート選局、マニュアル選局とも周波数ズレなし。
・Tメーター、Sメーターのセグメント点灯。STEREOランプ点灯。
・WIDE/NARROW切替OK。REC CAL OK。メモリボタン動作OK。
・各種ボタン操作に軽快に反応する。切替動作正常。
・RFセレクターはDISTANCE限定。LOCALは選択できない。
・付属AMループアンテナでAM放送の受信確認。
・AM放送もオート選局、マニュアル選局とも正常に受信。
・スライドVR式のAM IF BANDも動作を確認。
・AM受信で周波数表示の千の桁だけ表示薄いことを発見。
■内部確認------------------------------------------------------------
・以前KT-2020の記事を書いたとき、海外の方から問合せをいただきました。
・「海外機KT-990SDではC104が逆になっているがKT-2020ではどうか?」
・今回のKT-2020もシルク印刷と実装が逆ですね。
・これはシルク印刷のミス、実装が正解です。
■調整記録------------------------------------------------------------
・D-3300Tの経験を踏まえて作業しました。
【VT電圧】
・TP1~GND DC電圧計セット
・アンテナ入力なし
・76MHz → L7調整 → 3.0V±0.1V ※実測 3.3V
・90MHz → TC5調整 →25.0V±0.1V ※実測25.7V
【検波調整】
・TP3~TP4 DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dB)受信 → L13調整 → 0.0V±10mV
・TP5~GND DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dB)受信 → L15調整 → 0.0V±10mV
【RF調整】
・R64右側端子 DC電圧計セット=Sメーター電圧
・76MHz(1kHz,100%変調,40dB)→ L1,L2,L3,L6調整 → 電圧最大
・90MHz(1kHz,100%変調,40dB)→ TC1~TC4調整 → 電圧最大
【IFT調整】
・R64右側端子 DC電圧計セット=Sメーター電圧
・83MHz(1kHz,100%変調,30dB)→ L5調整 → 電圧最大
【AUTO STOP=MUTING調整】
・83MHz(1kHz,100%変調,30dB)→ VR1調整
【TUNING METER調整】
・SELECTOR:MONO
・83MHz(1kHz,100%変調,80dB) → 上段基板VR2調整 → ※
※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【MPX VCO調整】
・TP16に周波数カウンタ接続
・83MHz(無変調,80dBf) → VR12調整 → 76.00kHz±50Hz
【PILOT CANCEL調整】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dB)→ VR8調整 → 19kHz信号最小
・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dB)→ L25調整 → 19kHz信号最小
・左右chのバランス確認
【歪調整1 DLLD】
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR2:DET調整 → 歪最小
【歪調整2 MONO】
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR3:MONO2調整 → 二次歪最小
【歪調整3 MONO】
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR6:MONO3調整 → 三次歪最小
【歪調整4 STEREO】
・83MHz(L/R信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR5調整 → 歪最小
【歪調整5 STEREO】
・83MHz(SUB信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR7調整 → 歪率最小
【歪調整6 NARROW】
・83MHz(MAIN信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR4調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整1 L】
・83MHz(R信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR10調整 → L信号もれ最小
【SEPARATION調整2 R】
・83MHz(L信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR11調整 → R信号もれ最小
【SEPARATION調整3 NARROW】
・IF BAND:NARROW
・83MHz(1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR9調整 → 信号もれ最小
【DEVIATION調整】
・83MHz(mono信号,1kHz,100%変調,80dB)→ 上段基板VR1調整 → 100%位置
【AM簡易調整】
・ 729kHz NHK第一放送受信 → L22調整 → Sメーター最大
・1332kHz 東海ラジオ受信 → TC9調整 → Sメーター最大
・1053kHz CBCラジオ受信 → L24調整 → Sメーター最大
■試聴----------------------------------------------------------------
・さすがケンウッドの上位機種ですね。
・再調整によって良い性能を取り戻したと思います。