・2015年8月初め、TU-X1の修理調整を承りました。
・この個体は 1号機を修理するために部品を取る予定だった 2号機です。
・以下、2号機の整備記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオ懐古録 SANSUI TU-X1 ¥135,000円(1979年)
・オーディオの足跡 SANSUI TU-X1 ¥135,000(1979年)
・TU-X1 1号機の記録
■動作確認------------------------------------------------------------
・電源コードの印字「1979」、シリアルNo. 23902****、
・cooltune様のシリアル番号の読み方によれば「1979年2月製」と読み取れます。
・シリアルナンバーについては1号機記事参照。
・発売当初の初期ロットの製品のようです。
・ボディ上部には目立つ擦り傷があるが、ヤニ汚れが無いので1号機よりも綺麗に見える。
・FMアンテナを接続して動作確認。
・FM受信OK。二つのメーター動作OK。STEREOランプ点灯。+0.2MHz程度の周波数ズレ。
・IF切替(Wide/Narrow)OK。Muting動作OK。CAL TONE動作OK。
・FMチューナー部は大きな不具合は無さそうです。
・一方AMチューナー部は受信不可です。
・周波数スケール全域で完全に無音。局間ノイズもでません。
・Muting回路が効きっぱなしになっているのか?
・二つのメーターとも全く動かないので、そもそ受信できていないのか?
■内部確認------------------------------------------------------------
・まず受信不良のAM回路を確認しました。
・何と、バリコン軸とプーリー軸を繋ぐ継手(ヘリカルカップリング)が割れています。
・選局つまみを回しても継手が空転してバリコン軸は回転しない状態でした。
・これでは動作確認しても意味なかったですね。
・この継手は1号機でも同様に割れており、結束バンドで補修してありました。
・そこでバリコン軸を直接指で回して受信確認しましたが、、
・残念ながらやはり受信しません。どこか故障個所があります。
<1号機と2号機の比較>
・変わらない部分もあれば、結構変わっているところもあります。
■修理記録<AM部>ヘリカルカップリング-------------------------------
・破損したヘリカルカップリングを外すためにAM基板を取り外しました。
・驚いたことに、AMバリコン直下のAM基板角部分が割れていました。
・ちょうどGND部分だったのでプリント配線には影響ないようです。
・取り外したカップリングを観察すると、中央の溝部分も3カ所で割れていました。
・二軸の偏心偏角を吸収するための溝ですが、相当な力が加わっていたようです。
・基板が割れていたのもその影響でしょうか、、
・一方でFMバリコン部のヘリカルカップリングは無傷です。
・この個体は組み付け時の精度がかなり悪かったみたいです。
・代替品が無いので割れた部品を結束バンドで仮補修しました。
・再度組み付けて選局つまみとバリコン軸が連動するようになりました。
■修理記録<AM部>--------------------------------------------------
・再度動作確認。
・二つのメーターが全く振れないのでそもそも受信していない可能性が高い。
・RF-ANT回路[F2925]とOSC回路を覆うシールドケースを外して回路確認。
・ミキサー部のIC01 LM1496N に入る局発信号が確認できない。
・局発回路から信号が出ていない。
・TR01 2SC1359 → 2SC829 交換
・今度はミキサー部のIC01 LM1496N から出るIF信号が確認できない。
・これは LM1496N の故障か?
・調べてみると LM1496N は TRIO製パルスカウント検波機でお馴染み MC1496Nと同じ。
・保管している KT-8100から MC1496N を拝借してICソケットで仮設置。
・これでAM放送を受信するようになりました。
・ノイズが多い状態ですがあとは調整作業で何とかなるか?
■調整記録------------------------------------------------------------
・1号機の記録参照
■試聴-----------------------------------------------------------------
・FM放送の受信性能や音質は再調整によって1号機と同程度になりました。
・一方のAM放送は受信できるようになりましたが、、
・1号機で感じた「新鮮な驚き」が無いです。
・他のチューナーでAM放送を聴くのと大差ない印象です。
・どこかまだ故障箇所があるのか?交換した部品が悪かったか?
・研究材料としてもうしばらくお預かりさせていただきます。