・2015年3月末、VICTOR JT-V45の調整依頼をお引き受けしました。
・オリジナルの取扱説明書も一緒に送っていただきました。
・説明書にあったブロック図がとても役に立ちました。
・以下、作業記録です。
■製品情報-----------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 VICTOR JT-V45 VICTOR ¥39,800(1976年頃)
・取扱説明書 PDF版
■動作確認------------------------------------------------------------
・電源コードの印字 1976
・周波数窓のデザインは以前調整した VICTOR JT-V6によく似ています。
・ツマミに経年の手垢ありますが、全体に傷もなくとても綺麗な状態です。
・電源オン。周波数窓の照明なし、指針先端だけが緑色に光るタイプでした。
・二つのメーター照明点灯。Tメーター中央とSメーター最大が一致しない。
・Sメーターが最大でも30%程度しか振れない。
・STEREOランプ赤く点灯。ただ出てくる音は歪んでいる感じ。
・MUTING動作OK。HI-BLENDでは高域が抑えられる効果確認。
・333HzテストトーンOK。
・珍しいピンクノイズ発生機能があります。でもノイズ音が出ない。
・背面音声出力端子は可変式、しかも調整VRが左右独立式。
・75Ωアンテナ端子がない。FM専用機としてはちょっと残念。
■内部確認------------------------------------------------------------
・何と7連バリコン搭載機。予備知識が無かったのでちょっと驚きました。
・HA1137W クアドラチュア検波
・HA1196 IC化されたPLL-MPX
・基本性能は高そうです
■修理記録:ピンクノイズは本当に不調だったのか??--------------------
・動作確認時はピンクノイズが聞こえませんでした。
・ところが開腹した状態で動作確認したところピンクノイズが聞こえました。
・切替スイッチの接触不良、ノイズ発生回路の不調を疑って内部調査。
・しかし結局ピンクノイズが聞こえない症状は再現されません。
・単なる接触不良だったか?
■調整記録-------------------------------------------------------------
【FM OSC調整】
・Sメーター電圧確認 HA1137W-13ピン=R159左側端子
・90MHz TC7,TC6、76MHz L110,L111
【フロントエンド調整】
・90MHz TC1,TC2,TC3,TC4,TC5,
・76MHz L102,L104,L105,L106,L107
【検波調整】
・83MHz受信
・T102 → 高調波歪最小
・T101 → 高調波歪最小
【MUTING調整】
・R165
【VCO調整】
・R179 TP 19kHz確認
【セパレーション調整】
・R313
【テストトーン調整】
・R332 333Hzレベル調整 -6dB
・R140 PINK NOISEレベル調整用
※R140は接着剤で強力に固められているので調整不可
<調整結果>
・Sメーターの振れ具合を調整するVRはありませんでした。
・Sメーターが30%程度しか振れなかった原因は経年による感度低下です。
・フロントエンド調整でSメーターが95%まで振れるようになりました。
・感度向上により歪率、セパレーションなど大幅に改善しました。
・歪率0.1%(1kHz、ステレオ)、セパレーション約50dB(1kHz)
・ほぼカタログスペックに近い値になりました。
■試聴---------------------------------------------------------------
・7連バリコン搭載FM専用機。意外な発見でした。
・でも周波数窓の照明がちょっと物足りない感じ。
・可変出力は背面パネルで左右独立調整できます。
・左右のVRを最大位置にしたとき、音量レベルはほぼ同じです。
・このまま最大位置でお使いになることお勧めします。