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SONY ST-S333ESXII 調整記録

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 ・2014年11月初め、ST-S333ESXIIの修理調整を承りました。
 ・以下、作業の報告です。

333esxii08

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESXII ¥49,800(1987年発売)
 ・1987年10月発行「SONY ES テクノロジーカタログ」
 ・Hifi Engine ST-S730ES 海外版サービスマニュアル
 ・輸出機の命名基準がよく分かりません。調べた範囲で掲載します。

国内モデル海外モデル
ST-S555ESST-S555ES
ST-S555ESXST-S800ES
ST-S333ESST-444ES
ST-S333ESXST-S700ES / ST-444ESX Euro-model
ST-S333ESXIIST-S730ES
ST-S333ESGST-S???ES
ST-S333ESAST-S770ES ?
ST-S333ESJST-S707ES ?
ST-SA5ESST-SA5ES
ST-SA50ESST-SA50ES

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・この333ESXIIは中古で入手されたそうですが、保存状態はあまり良くないです。
 ・全体に打ちキズ、擦りキズ、ボディ凹み、塗装ハゲあり。
 ・チューニングつまみにキズ。ボディへの取付が緩んでグラグラ状態。
 ・電源コードの印字「1987」

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 ・電源オン、周波数表示がなぜか2色に見える。内側の着色アクリル板が外れている?
 ・FM同軸アンテナを接続して動作確認。FM放送を正常に受信しました。
 ・周波数ズレなし、Sメーター点灯、各種インジケーター点灯。
 ・WIDE/NARROWそれぞれ受信OK。STEREOランプ点灯、MUTING動作OK。
 ・AUTO受信、MANUAL受信それぞれOK。CAL TONE動作OK。
 ・AMはアンテナ欠品でしたが、手持ちの333シリーズ用AMループアンテナで確認。
 ・感度良くAM放送を受信しました。
 ・FM/AMとも基本動作に問題は無いです。

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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・サイドウッドを外してボディを開ける。
 ・内部はものすごい量のホコリが堆積していました。
 ・基板上のパーツが「雲に浮かんでいる」ような不思議な光景。
 ・でもこれは「内部を弄った先人はいない」という証かもしれません。

333esxii21333esxii22333esxii23333esxii24333esxii25

 ・まずはホコリを除去するために大掃除しました。
 ・清掃のためフロントパネルを外したところ、内側からアクリル板がこぼれ落ちました。
 ・周波数表示が2色に見えたのは、このアクリル板が外れていたせいでした。
 ・それからチューニングつまみには何故かプラスチック製の黒いリングが載ってる??
 ・よく見ると本来はフロントパネル側に接着してあるはずの円形の部品でした。
 ・グラグラの原因はやはりチューニングつまみを固定するナットが緩んでいる。
 ・ナットを締め直して固定すると今度は軸が歪んでいることが判明。
 ・チューニングつまみ周辺にかなり強い衝撃が加わったようです。

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 ・4連バリキャップ → Wide/Narrow切替 → PLL検波 → CXA1064
 ・LA1235(クアドラチュア検波)は同調点検出用
 ・LA1245 AM用

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■調整記録------------------------------------------------------------

・海外版SMの記述をベースにして一部アレンジしました。

【FM同調点調整】
・IFT205調整 LA1235-7pin~10pin間電圧ゼロ

【VT電圧調整】
・IC803-5pin電圧測定
・90MHz L104調整 21.0V±0.2V
・76MHz 確認のみ 8.0V±1.0V

【SST回路調整】
・SST調整はVT電圧調整後、かつトラッキング調整前に行うこと
・76MHz受信 RT801調整 IC802-11pin電圧 → 0V
・90MHz受信 IC802-9pin電圧 → 14V確認

【トラッキング調整】
・IC203(LA1235)-13pin(又はRT204)電圧max
・76MHz L101,L102,L103
・90MHz CT101,CT102,CT103

【PLL検波調整】
・TP201をGNDに落とす
・IFT207調整 TP202 DC電圧ゼロ
・CT201調整 歪最小

【IF歪調整】
・Wide受信、MUTINGオフ
・IC203(LA1235)-13pin電圧計セット
・RT202、RT203 時計回り一杯に回す
・SSG出力20dBモノラル信号送信
 ・IFT201調整 電圧最大へ
 ・IFT101調整 電圧最大へ
・SSG出力80dBにセット
 ・IFT203、RT202を交互に調整 歪最小へ
・SSG出力20dBにセット、Mutingオン
 ・IFT202調整 電圧計最大へ
・SSG出力80dBステレオ信号送信
 ・IFT204、RT203を交互に調整 歪最小へ

【STEREOインジケータ調整】
・RT206 SSG出力20dBでステレオインジケータ点灯

【パイロットキャンセル】
・RT303、L301 19kHz信号漏れ最小 左右バランス確認

【セパレーション調整】
・RT301 R→L
・RT302 L→R

【Sメーター調整】
・RT204

【MUTINGレベル調整】
・RT205(Wide)
・RT201(Narrow)

【CAL TONE】
・調整用VRありませんが、Peak Level-6dBの波形が出ていました。

【AM調整】
・IC601-6pin電圧測定
・RT401 Sメーター調整
・RT402 AUTOSTOP調整

333esxiialig

 ・外見的な破損はありますが、回路的な故障は無かったです。
 ・FMは検波調整、IF歪調整、セパレーション調整で数値が大きく改善しました。
 ・調整前後の基準音を録音したファイルでご確認ください。

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・333シリーズは ESXII→ESG→ESA→ESJと新品を買い替えた経験あります。
 ・当時は回路構成など何も知らないまま、雑誌の新製品情報に踊らされていました。
 ・オーディオ全盛期、バブリーな時代でした。
 ・そういえば333ESGが一番音がいい、、なんて勝手に自己評価していました。
 ・久しぶりにシンセチューナーを聴きましたが、良い音が出ていると思います。

333esxii09


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