・2025年3月、T-2の調整依頼機が届きました
・基本動作に問題ないものの音がイマイチだそうです
・以下、作業記録です

■製品情報--------------------------------------------------
・オーディオ懐古録 YAMAHA T-2 \130,000
・オーディオの足跡 YAMAHA T-2 \130,000(1978年頃)
・Hifi Engine YAMAHA T-2 / Analogue FM Stereo Tuner (1978-83)
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■動作確認--------------------------------------------------
・真っ先に気になるのは二つのメーター指針の赤色塗料がボロボロ状態
・FMアンテナを接続して電源オン
・周波数窓と二つのメーターの照明が電球色に浮かび上がる
・電球切れは無さそうなので名古屋地区のFM局で受信テスト開始
・Tメーター中点とデジタル表示の周波数が一致、STEREOランプ点灯
・Sメーター最大点とTメーター中点が僅かにズレるが受信OK
・フロントパネルに並んだ各種切り換えスイッチの動作テストOK
・MUTING動作OK、REC CALトーンOK
・続いて標準信号発生器から基準信号を送って動作確認
・STEREO受信OKだが、セパレーションは20dB程度とラジカセ並
・音がイマイチというのは多分このことだと思います
・セパレーション値が悪化するとステレオ感、臨場感が無くなります
・基本動作はOKなので経年変化による調整ズレが原因だと思います
■内部確認--------------------------------------------------
・底板を開けると部品実装面が見える「逆さまぶら下げ構造」です
・配線面を見るには指定箇所のネジを外す必要がありますが
・このネジにはロック剤が残っていました
・「ピキッ」と小さな音を立ててネジが外れました
・本格的に分解されたことのない個体のようです
・裏返してハンダ面を確認してハンダクラックを探しましたが
・目視で判別できるようなハンダ割れは無かったです


■修理記録:メーター指針再塗装------------------------------
・二つのメーター指針の塗装がボロボロ状態
・これはT-1やT-2で定番の劣化現象です
・このままでは見た目が悪いので分解して指針を再塗装しました
・赤い塗料片はカッターナイフの先端で軽く触れるだけで剥がれます
・作業は慎重に! 誤って針を曲げたら、、一巻の終わりです
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■調整記録--------------------------------------------------
【機能設定】
・フロントパネルスイッチ設定
・RF MODE=HI SENSITIVITY
・IF MODE=LOCAL
・AUTO BLEND=OFF
【同調点調整】
・SSGより10.7MHz注入 → T201上段コア調整 → Tメーター中点
【OSC調整】
・指針を83MHzにセット
・83MHz 変調オフ 70dB → フロントエンド OSCトリマ調整
【トラッキング調整】
・76MHz mono 1kHz 50dB → RFコイル調整 → Sメーター最大
・90MHz mono 1kHz 50dB → RFトリマ調整 → Sメーター最大
【検波歪調整】
・音声出力端子 → WaveSpectra
・83MHz mono 1kHz 60dB → T201下段コア調整 → 歪み最小
・83MHz mono 1kHz 60dB → VR203調整 → 歪み最小
【VCO調整】
・TP 19kHz に周波数カウンタ接続
・83MHz 無変調 60dB → VR204調整 → 19kHz±20Hz
【PLL調整】
・音声出力端子 → WaveSpectra
・83MHz ST 1kHz L-R 60dB → T202調整 → Lch音声レベル最大
【ステレオ歪調整1】
・IF MODE=LOCAL
・音声出力端子 → WaveSpectra
・83MHz ST 1kHz 60dB → VR201,CF201調整 → 歪み最小
・83MHz ST 1kHz 60dB → VR202,CF204調整 → 歪み最小
【ステレオ歪調整2】
・IF MODE=DX
・音声出力端子 → WaveSpectra
・83MHz ST 1kHz 60dB → CF202,CF203調整 → Sメーター最大、歪み最小
【パイロットキャンセル歪調整】
・音声出力端子 → WaveSpectra
・83MHz ST 1kHz 60dB → VR205,T203調整 → 19kHz漏れ信号最小
【セパレーション調整】
・音声出力端子 → WaveSpectra
・83MHz ST 1kHz 60dB → 別基板VR401調整 → 左右同レベル
・83MHz ST 1kHz 60dB → 別基板VR402調整 → セパレーション調整
【Sメーター調整】
・83MHz 無変調 80dB → VR206調整 → Sメーター振れ調整
【REC CAL調整】
・REC CALスイッチオン → Tメーターが中点を示すことを確認

■試聴------------------------------------------------------
・再調整の結果、受信感度が大幅に向上しました
・ラジカセ並みだったセパレーション値が左右とも60dB程度まで改善
・「音がイマイチ」という違和感は解消したと思います
・最後の仕上げとしてメーター指針の再塗装は必須ですね
