・2024年4月、サイドウッド無しの故障機を寄付していただきました
・もし復旧できなくても部品取り機として活用できます
・以下、作業記録です。
■製品情報--------------------------------------------------
・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESXII ¥49,800(1987年発売)
・SONY ES テクノロジーカタログ 1987年10月発行
・Hifi Engine ST-S730ES 海外版サービスマニュアル
■動作確認--------------------------------------------------
・電源とアンテナを接続して動作確認開始
・オート選局では名古屋地区のFM局を-0.1MHzズレた周波数で受信OK
・ズレた周波数でシグナルインジケーターが半分ほど点灯する
・ただSTEREOインジケーター点灯しない
・IF BAND切換OK、REC CALトーンOK、メモリ登録動作OK
・適当なAMループアンテナでAM放送の受信確認OK
・問題点はFM同調点のズレですね
■調整記録--------------------------------------------------
【FM同調点調整】
・IFT205調整 LA1235-7pin~10pin間電圧ゼロ
【VT電圧調整】
・IC803-5pin電圧測定
・90MHz L104調整 21.0V±0.2V ※調整前実測19.8V
・76MHz 確認のみ 8.0V±1.0V ※調整前実測 7.5V
【SST回路調整】
・SST調整はVT電圧調整後、かつトラッキング調整前に行うこと
・76MHz受信 RT801調整 IC802-11pin電圧 → 0V 実測1.0mV
・90MHz受信 IC802-9pin電圧 → 14V確認 ※調整前実測14.0V
【トラッキング調整】
・IC203(LA1235)-13pin(又はRT204)電圧最大
・76MHz L101,L102,L103
・90MHz CT101,CT102,CT103
★CT101~CT103が過敏に反応して最大値が定まらない
★シグナルインジケーター電圧が+3v程度と通常よりかなり低い
【PLL検波調整】
・TP201をGNDに落とす
・IFT207調整 TP202 DC電圧ゼロ ※調整前実測-45mV
・CT201調整 歪最小
★CT201を回すと「ザザッ」というノイズが発生する
【IF歪調整】
・Wide受信、MUTINGオフ
・IC203(LA1235)-13pin電圧計セット
・RT202、RT203 時計回り一杯に回す
・SSG出力20dBモノラル信号送信
・IFT201調整 電圧最大へ
・IFT101調整 電圧最大へ
・SSG出力80dBにセット
・IFT203、RT202を交互に調整 歪最小へ
・SSG出力20dBにセット、Mutingオン
・IFT202調整 電圧計最大へ
・SSG出力80dBステレオ信号送信
・IFT204、RT203を交互に調整 歪最小へ
【STEREOインジケータ調整】
・RT206 SSG出力20dBでステレオインジケータ点灯
【パイロットキャンセル】
・RT303、L301 19kHz信号漏れ最小 左右バランス確認
【セパレーション調整】
・RT301 R→L ※調整後実測65dB
・RT302 L→R ※調整後実測63dB
【Sメーター調整】
・RT204
【MUTINGレベル調整】
・RT205
【CAL TONE】
・Peak Level-5.2dB ※334Hzの波形が出ていました。
【AM調整】
・RT401 Sメーター調整
・RT402 AUTOSTOP調整
★WaveSpectraで観測する波形のノイズフロアがやけに乱れる
★電源周波数60Hzの逓倍に目立つピークが現れる
■修理記録:アースバーのハンダ割れ修正----------------------
・アースバーのハンダ箇所を総点検したところ複数の割れ箇所確認
・特にフロントエンド~OSC部のハンダ割れが酷い
・ここを再ハンダして修正しました
■修理記録:フロントエンドのトリマコンデンサ総交換----------
・CT101~CT103が劣化しているようです
・これを10pFの新品に交換
・これによってシグナルインジケーター電圧が+5v程度まで上昇
・最大値もピタリと決まるようになりました
■修理記録:PLL検波回路のトリマコンデンサ交換---------------
・CT201を回すと「ザザッ」というノイズが発生する
・繰り返しグリグリ回してもノイズは解消しないので交換しました
・パーツリストを見ても容量不明ですが 20pF で良さそうです
■修理記録:電源回路のヒューズ抵抗交換----------------------
・333シリーズのヒューズ抵抗は劣化事例が多いです
・R902: 22Ω(1/4w)→ 35Ω ★新品交換
・R905:220Ω(1/4w)→ 338Ω ★新品交換
・R902:100Ω(1/2w)→ 105Ω
・交換後はノイズフロアの波形がキレイに落ち着きました
■修理記録:キャパシタ交換、タンタル交換--------------------
・メモリ内容を保持するキャパシタと近くにあるタンタルコンデンサを交換
・C605:39mF/5.5v → 0.1F/5.5v
・C604:10uF/6.3v → 10uF/50v
・交換後のキャパシタは小型サイズで体積比では僅か1/24に
・でも容量は約2.6倍と頼もしい限りです
■試聴------------------------------------------------------
・上記修理作業後にもう一度調整作業をやり直しました
・FM/AMとも気持ちよく受信できています
・最後に別に保管していたサイドウッドを取り付けて再生完了
・やはりサイドウッドがあると高級感が増幅されますね