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Accuphase T-100

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 ・2024年4月、Kensonic Accuphase T-100 が届きました
 ・ケンソニック株式会社、ブランド名 Accuphase のチューナー1号機です
 ・T-101は何台か見た経験ありますが、T-100を見るのは初めて!
 ・以前から興味があった機種なので修理調整をお引き受けしました

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■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 Kensonic Accuphase T-100 ¥135,000(1973年9月)
 ・オーディオ懐古録 Accuphase T-100 ¥155,000(1976年カタログによる)
 ・Hifi Engine Accuphase T-100 Stereo FM/AM Tuner (1975-77)

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■動作確認--------------------------------------------------

 ・実機が届いたときの第一印象は「とても重い」
 ・重量はカタログ値で14kg、チューナーとは思えないズッシリ感です
 ・フロントパネルはまずまずのコンディションですが、
 ・残念ながら天板や側板は経年のスリ傷、打ち傷が目立ちます
 ・電源オン、周波数窓と二つのメーターが青色照明に浮かび上がる
 ・さて、FMアンテナを接続して名古屋地区のFM局受信テスト開始
 ・FM放送は受信できるがSメーター最大点とTメーター中点が一致しない
 ・Tメーターは中点から右側の範囲でしか振れない
 ・Sメーター最大点は放送局周波数から約+0.2MHzズレている
 ・STEREOランプ点灯しない、実際のステレオ感もない
 ・それでもモノラル音声としてはなかなか良い音が聞こえてくる
 ・電源スイッチ周辺の黒いパネルはプッシュ扉になっている
 ・扉を開けるとMUTINGなど機能切換スイッチが並んでいるが、
 ・ただ操作ツマミがとても小さいので操作はやりにくい
 ・背面バーアンテナで名古屋地区のAM放送の受信テスト
 ・AMは特に問題なさそうです

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■内部確認--------------------------------------------------

 ・天板を外すと黒い金属製カバーと大型電源トランスが出現する
 ・金属製カバーの内側は縦置き配置された基板がコネクタに刺さっている
 ・調整VRは上部からアクセス可能、側板を外せばコイル等にもアクセス可能
 ・基板ごと引き抜けるので部品交換等のメンテナンス性はとても良好
 ・底板を外すと電源回路にアクセス可能
 ・天板、側板、底板を外すと頑丈なフレーム構造が分かります
 ・このままラックに収まりそうな本格的な業務用機器の雰囲気です
 ・依頼者様によって多くの電解コンデンサと照明電球が交換済みとのこと

T10000
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 ・フロントエンドFM5連、AM3連バリコン搭載
 ・フロントエンドのシールドケースの上蓋を開けたところ、ビックリ!
 ・RFコイル×4個のコア頭部が全部割れていました
 ・依頼者様が入手する以前に調整にチャレンジした先人がいたようです
 ・コアドライバーで回そうとするとコアの割れが広がる不気味な音が、、
 ・割れたコアを何とかしないと受信調整できないじゃないか、、

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 ・輸出機用の回路図と実機を照合したところMPX基板に微妙な違いを発見!
 ・LM1310によるPLL-MPX回路であることは同じですが、
 ・AMP修理工房様 に掲載されたMPX基板は輸出機回路図と同じ(706-0001-00)
 ・でも本機に搭載されたMPX基板は(706-0003-00)で部品配置も異なる
 ・さらに(706-0001-00)回路図には記載がない VR3 が追加されています
 ・製品情報を調べてみると販売時期によって価格が違うようです
 ・発売後に仕様変更があって価格が改定されたのかもしれません
 ・もしそうなら本機は後期型に該当するのかも?

T10044

 ・703-0001-00:FM-IF基板
 ・704-0001-00:AM-IF基板
 ・706-0003-00:MPX基板 ★回路図(706-0001-00)
 ・714-0003-00:AF基板×2枚
 ・716-0005-00:電源基板
 ・719-0003-00:電源基板

T10040T10042T10046T10031T100035

■修理記録:RFコイルの割れたコア----------------------------

 ・L11,L12,L13,L14のコアが割れている
 ・特にL11とL12はコアドライバーがセットできないので調整不能です
 ・ただ幸いなことにL11とL12は底面からコアにアクセス可能でした
 ・底面からコアを慎重に回して抜き取りました
 ・抜き取ったコアを上下逆向きにして元に戻しました
 ・これでL11とL12の調整が出来るようになりました
 ・L13とL14はコアドライバーがセットできたので上面から慎重抜き取り
 ・回転に伴って「メリメリッ」をコアが割れるが心臓に悪い、、
 ・何とか抜き取りに成功、同様に上下逆にセットして戻しました
 ・サイズに合ったコアドライバーを使わないとコアは簡単に割れます

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■調整記録--------------------------------------------------

【IF調整】
 ・FM-IF基板 TP2(マルチパスV端子) →電圧計セット
 ・SSG 10.7MHz 無変調信号 → TP1(Q14-G1)に注入
 ・フロントエンドT11上下コア調整 → 電圧最大
【Tメーター調整】
 ・83.0MHz 無変調受信
 ・FM-IF基板 L9上段コア調整 → Tメーター中点
【FM Sメーター調整】
 ・83.0MHz受信 → FM-IF基板VR2調整 → Sメーター振れ調整
【FM検波調整】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83.0MHz 400Hz受信
 ・FM-IF基板 L9下段コア調整 → 高調波歪最小
【FM出力レベル調整】
 ・固定出力端子 → AC電圧計セット
 ・MPX基板VR1調整 → 2.0v
【OSC調整】
 ・76.0MHz受信 → フロントエンドL15調整 → Tメーター中点
 ・90.0MHz受信 → フロントエンドTCF5調整 → Tメーター中点
【RF調整】
 ・マルチパス V端子 → 電圧計セット
 ・76.0MHz受信 → フロントエンドL11~L14調整 → 電圧最大
 ・90.0MHz受信 → フロントエンドTCF1~TCF4調整 → 電圧最大
【MUTING調整】
 ・83.0MHz受信 → FM-IF基板VR1調整 → MUTING作動レベル調整
【VCO調整】
 ・MPX基板R6(IC2:LM1310N-14pin) → 周波数カウンタ接続
 ・83.0MHz無変調受信 → MPX基板VR2調整 → 76kHz
 ・MPX基板VR3調整 → 受信音が出る範囲の中間位置へ
【セパレーション調整】
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83.0MHzST受信 → 2枚のAF基板間のシャーシにあるVR調整 →
 ・左右chの漏れ信号最小
【AM IF調整】
 ・455kHz フロントエンドTP51(Q51-D)に注入 →
 ・TP52(AM-IF基板5pin=R18) → オシロスコープ接続
 ・フロントエンドT53、AM-IF基板T1、T2調整 → 波形最大
 ・TP53(AM-IF基板9pin=R26)→ 電圧計セット
 ・1000kHz受信 → T3調整 → 電圧最大
【AM OSC調整】
 ・ 600kHz受信 → T52調整 → Sメーター最大
 ・1400kHz受信 → TCA3調整 → Sメーター最大
【AM RF調整】
 ・ 600kHz受信 → T51,バーアンテナ調整 → Sメーター最大
 ・1400kHz受信 → TCA1,TCA2調整 → Sメーター最大
【AM出力レベル調整】
 ・固定出力端子 → AC電圧計セット
 ・AM-IF基板VR1調整 → 0.6v
【AM Sメーター調整】
 ・600Hz受信 → AM-IF基板VR2調整 → Sメーター振れ調整

T10080

■試聴------------------------------------------------------

 ・FMは低音が締まっていい感じの音が聞こえます
 ・これは自分用に一台欲しくなってきました

T10005

note:BLUESS Laboratory


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