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TRiO KT-990 修理調整記録8

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 ・2023年6月、また縁があって故障した KT-990を入手しました
 ・この機種定番の故障箇所を修理して復活しました

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■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-990 ¥53,800円(1982年発売)

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・外観は経年の汚れ、右側面に目立つ打痕、それ以外は比較的良好
 ・電源オン、照明電球点灯、指針照明も点灯
 ・選局ツマミを回すと回転フィーリングがかなり重い
 ・原因はフロントパネルが前傾して選局ツマミと接触していること
 ・KT-990/KT-900でよく遭遇する不具合事例です
 ・フロントパネルを指で支えながら名古屋地区のFM局を受信テスト
 ・82.5MHzのNHK-FM(名古屋)を80MHz付近で受信。
 ・ズレた位置でSメーター点灯、Tメーターインジケーター点灯
 ・サーボロックランプ点灯しない、STEREOランプ点灯しない
 ・付属AMループアンテナを接続して名古屋のAM局を受信テスト
 ・Sメーターがフル点灯しAM放送を受信OK
 ・問題はFM受信時の周波数ズレと感度低下

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルが前傾する原因は本機の上に重量級のアンプなどを載せたこと
 ・重量に耐え切れずフロントパネル上部とボディを固定するプラスチック部品が破損
 ・これはKT-900/KT-990定番の破損個所です
 ・フロントエンド内のトリマコンデンサを回しても変化なし
 ・これも定番の故障個所でトリマコンデンサの容量抜けです

■修理記録:フロントパネル補修----------------------------------------

 ・フロントパネルを金属フレームを固定するプラスチック部品の破損
 ・破損部分をボンドで接着した後、薄い透明プラ板を補強材として全面接着
 ・これならある程度の強度が保てます
 ・注意:本機の上にアンプなど重量物を載せてはいけません

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■修理記録:OSCトリマコンデンサ交換-----------------------------------

 ・今回はトリマコンデンサの外付けではなく交換にチャレンジしました
 ・基板裏側ハンダ面を見るとトリマコンデンサ付近に穴が開いています
 ・トリマ位置とは僅かにズレているのですが、隙間から半田ごてをそっと挿入
 ・古いトリマを取り外し、新トリマ(10pF)に交換できました
 ・後述の受信調整で周波数ズレは解消しました
 ・さらに受信感度が向上しSTEREOとLOCKインジケーター点灯しました
 ・すべての不具合が解消しました

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■受信調整------------------------------------------------------------

【FM OSC調整】
 ・TR7020-2Pin(R18右足) → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → 新TC4調整 → 電圧最大
【FM RF調整】
 ・TR7020-2Pin(R18右足) → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TC1,TC2,TC3調整 → 電圧最大
 ・83MHz 受信 → T1調整 → 電圧最大
【クアドラチュア検波調整】
 ・TP1~TP2 → 電圧計セット(Tメーター)
 ・83MHz 受信 → L4調整 → 電圧ゼロ(Tメーター中点)
【WIDE GAIN調整】
 ・TR7020-2Pin → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz Narrow受信 → Sメーター電圧記録
 ・83MHz Wide受信 → VR1調整 → 上記電圧と同じ
【高調波歪調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz → T1(フロントエンド内)調整 → 高調波歪最小
【パルスカウント検波調整】
 ・TR4011-1Pin → 周波数カウンタセット
 ・83MHz受信 → L6調整 → 1.965MHz
【VCO調整】
 ・TP VCO → 周波数カウンタ接続
 ・SSG 83MHz 無変調 → VR7調整 → 76kHz
【PILOTキャンセル】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Wide受信 → VR6調整 → 19kHz成分最小
【セパレーション Narrow調整】※Narrow調整を先に行なうこと
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Narrow → VR3調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【セパレーション Wide調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Wide → VR4調整 → 反対chへの漏れ信号最小
 ・83MHz Wide → VR5調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【REC CAL調整】
 ・83MHz受信 → 出力レベル記録
 ・83MHz受信 → VR2調整 → -6dB設定 ※412Hz
【AM受信調整】
 ・700kHz → L11,L12調整 → Sメーター最大点灯
 ・1400kHz → TC1,TC2調整 → Sメーター最大点灯

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■試聴---------------------------------------------------------------

 ・今回もいい感じに仕上がりました
 ・照明を落とした部屋でボーっと眺めていると幸せな気分に浸れます

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