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TRIO KT-7700 修理調整記録9

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 ・2022年12月、市内の中古店で縦置きされたKT-7700に遭遇しました
 ・この機種が縦置きだなんて、、ちょっと失礼じゃないですか!!
 ・値札に書かれた縦置きの理由は「音が出ない」という事、
 ・本業多忙でずっと放置状態でしたがGW休暇でようやく作業完了しました
 ・ずっと放置だなんてこの機種に失礼じゃないですか! ハイ、申し訳ございません、、

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■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-7700 ¥78,000(1976年頃)
 ・オーディオ懐古録 TRIO KT-7700 ¥78,000(1976年)
 ・TRIO KT-7700/KT-7500 カタログ 1976年3月版
 ・Hifi Engine KENWOOD KT-8300 ※輸出機 型番注意!

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・側面には縦置きによるスリ傷あるがそれ以外は比較的キレイな状態
 ・早速FMアンテナを接続して電源オン
 ・周波数窓をライトアップする照明がまったく点灯しない
 ・でも三つのメーター照明(Sメーター、Tメーター、Dメーター)は点灯する
 ・名古屋地区のFM放送局は約+0.2MHzの目盛り位置でSメーターが大きく振れる
 ・ややズレた位置でTメーターも中点を示してSTEREOランプ点灯、、
 ・ところが音が出ない、MUTINGオフにしても音が出ない
 ・受信動作は正常なのに音が出ない、値札に書かれた事前情報は正確でした

■内部確認-------------------------------------------------------------

 ・底面にKENWOODサービスによる修理記録シールが貼ってありました
 ・MPX回路のトランジスタが交換されているようです
 ・ハンダ面を確認すると Q23,Q25(2SK68) にハンダ痕がありました
 ・それ以外はオリジナル状態のようです
 ・周波数窓を照らすヒューズ型電球が左右2本とも切れていました

■修理記録:電源回路--------------------------------------------------

 ・まずは基本は電源回路の調査から
 ・電源基板にある3本のヒューズの内、F2(250v/700mA)が切れていました
 ・ヒューズを交換して電源を再投入したところ、またヒューズが切れる事態に
 ・電源基板を調べてみるとタンタルコンデンサC13(3.3uF/25v)が短絡状態でした
 ・これを新品(3.3uF/50v)に交換 → これでヒューズは切れない
 ・同時に受信音が聞こえるようになりました
 ・念のため隣のC14(6.8uF/25v)も交換 → 10uF/50v
 ・この際だからついでに、、電源基板の電解コンデンサを全数交換して作業完了

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 ・作業中に気が付いたのですが、この個体にはR5(4.7Ω/2w)がありません
 ・取り外された形跡が無いので元から無かったようです
 ・R5は背面パネルのDIMMERスイッチによって照明を暗くする役割ですが、
 ・ダイオードD2だけでその役目は果たしているようです
 ・KT-7700は今までに10台位見てきましたがR5が無い個体は初めてでした

■修理記録:その他----------------------------------------------------

 ・周波数窓をライトアップするヒューズ型電球 T6.3×30(8v/0.3A)交換
 ・バリコン軸の清掃
 ・真っ黒に変色したICやTRの足を清掃
 ・フロントパネル内側の清掃、ガラス磨き

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■調整記録------------------------------------------------------------

【検波調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・アンテナ入力なし → VR 4調整 → Tメーター中点
 ・IF BAND=WIDE
 ・アンテナ入力なし → VR12調整 → Tメーター中点
【フロントエンドOSC調整】
 ※OSCトリマ調整孔が背面にありますが、隙間が狭いのでこれを回すのは難しい
 ※そこでセラミックドライバーをこの隙間に入るサイズに切断して専用工具としています
【フロントエンドRF調整】
 ・TP1(R77右足)→ DC電圧計セット
 ・IF BAND=NARROW
 ・76MHz 60dB 受信 → RFコイル6個調整 → 電圧最大
 ・90MHz 60dB 受信 → RFトリマ6個調整 → 電圧最大
【検波調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・アンテナ入力なし → VR 4調整 → Tメーター中点
 ・IF BAND=WIDE
 ・アンテナ入力なし → VR12調整 → Tメーター中点
【IFトリガー調整】
 ・TP1(R77右足)→ DC電圧計セット
 ・83MHz 60dB 受信 → L11調整 → 電圧最大
 ・83MHz 0dB 受信 → L10調整 → 電圧最大(※L10 フロントエンド内)
【IFトリガーレベル調整】
 ・83MHz 60dB 受信 → VR2調整 → 電圧DC1.8V
 ・アンテナ入力なし→ VR1調整 → 電圧DC0.6V
【Sメーター振れ調整】
 ・83MHz 80dB 受信 → VR3調整 → Sメーター目盛り5
【MUTING調整】
 ・MUTING=1
 ・83MHz 16dB 受信 → VR9調整 → MUTING作動
【VCO調整】
・周波数カウンタをTP2接続
 ・アンテナ入力なし → VR 7調整 → 19kHz
【OUTPUTレベル調整】
 ・FM DET OUT端子にAC電圧計セット
 ・76MHz 1kHz 100%変調 60dB 受信 → VR10調整 → 電圧AC300mV
【セパレーション調整】
 ・音声出力端子にWaveSpectra接続
 ・83MHz ST信号 60dB受信 → VR 5調整 → Lch信号最小
 ・83MHz ST信号 60dB受信 → VR 6調整 → Rch信号最小
【ステレオ歪調整】
 ・音声出力端子にWaveSpectra接続
 ・83MHz ST信号 60dB受信 → L10調整 → 高調波歪最小
【DEVIATIONメーター調整】
 ・83MHz 1kHz 100%変調 60dB 受信 → VR 8調整 → Dメーター目盛り100%

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■試聴----------------------------------------------------------------


 ・受信感度調整、検波調整などによって良い性能を取り戻しました。
 ・オレンジ色の照明窓がとても美しい!
 ・TRIO製チューナーのアイデンティティを感じます

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