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SONY ST-5000F 修理調整記録7

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 ・2023年3月、ST-5000Fのメンテナンスをお引き受けしました
 ・以下、作業記録です

St5000f02_20230416085001

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 SONY ST-5000F \98,000(1969年)
 ・オーディオの足跡 SONY ST-5000F \98,000(1971年頃)
 ・Hifi Engine Sony ST-5000F FM Stereo Tuner (1969-77)
 ・SONY ST-5000F 回路図 (国内機)
 ・SONY ST-5000Fカタログ 1974年5月版

St5000f03_20230416084901St5000f09

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・フロントパネルは綺麗に磨かれているがスリ傷、打ち傷が散見される
 ・周波数を刻んだガラス板も磨かれているが目盛りが一部かすれている
 ・これは多分ガラス板を磨き過ぎた痕跡か?
 ・背面パネルを見るとF型のアンテナ端子が追加されている
 ・F型端子にFMアンテナを接続して電源オン
 ・目盛りより少し低い周波数で名古屋地区のFM局を受信OK
 ・Sメーターが振り切れてTメーターが中点を示す
 ・STEREOランプ点灯してFM放送が聞こえてくる、、でも何だか変な音??
 ・気になるのは左右の音量差、加えて高調波歪が被ったような不快な音?
 ・もう一つ、MUTINGが作動しない
 ・あちこち不良個所がありそうです

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・内部を見ると既に大幅に手が加えられた個体でした
 ・背面パネルにF型端子が追加されていた件以外に
 ・電源トランスにブチルテープが貼られている(鳴き対策?)
 ・電解コンデンサーが全数交換済み
 ・特に電源部はアンプ並みの大型品に交換済み
 ・さらに多くのトランジスタが交換済み(2SC633 → 2SC1815)
 ・メーター照明電球2個交換済み
 ・でも半固定抵抗に塗布された白いネジロック剤は割れていない

St5000f05_20230416085101St5000f27_20230416085101St5000f24_20230416085101St5000f33St5000f31

 ・信号発生器から基準音を送信してWaveSpectraで波形観測してみると
 ・Lchの音量が小さい(モノラル時-15dB、ステレオ時-5dB)
 ・さらにLchには盛大に高調波歪が被っている
 ・電源トランス横にあるTP(MPX)からはキレイなコンポジット信号が出ている

■修理記録:左右の音量差----------------------------------------------

 ・検波回路までは正常ということは、問題はMPX基板にあり
 ・音声出力端子から遡って不良個所を捜索
 ・調査の結果、4個並んだダイオードのうちD506が壊れていました
 ・パーツテスターで調べてみると Unkwown 物体と表示されます
 ・試しにD506を手持ちの小信号ダイオード(1N4148)に交換してみると
 ・すると左右の音量差が解消し高調波歪もキレイに消えました
 ・このままでも良さそうですが、4個セットで交換した方が良いですね
 ・高周波用のダイオードを奮発した方が良かったかも?

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■修理記録:MUTINGが作動しない----------------------------------------

 ・MUTING基板上の電解コンデンサーは既に交換済み
 ・これに対してTR(2SC633)とFET(2SK23)は未交換、オリジナルのまま
 ・検波回路からの信号を追いながら動作確認するも異常個所が見当たらない
 ・でも MUTINGリレーを駆動する電圧が出ていない??
 ・これは電源基板の問題か??、
 ・電源基板を裏返してみるとMUTINGリレーに繋がる配線が外れていました
 ・これを接続したところMUTING機能が復活しました
 ・たぶん電解コンデンサー交換時に外したか、外れたか、と想像します

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■調整記録------------------------------------------------------------

【電源電圧調整】
 ・TP24V,TP12V DC電圧計セット
 ・電源基板 VR001調整 → 24V,12Vそれぞれ確認
【OSC調整】※フロントエンド
 ・76.0MHz受信 → L105調整 → Sメーター最大
 ・90.0MHz受信 → CT105調整 → Sメーター最大
【RF調整】※フロントエンド
 ・76.0MHz受信 → L101,L102,L103,L104調整 → Sメーター最大
 ・90.0MHz受信 → TC101,TC102,TC103,TC104調整 → Sメーター最大
 ・この作業を数回繰り返す。
【IFT調整】※フロントエンド
 ・83.0MHz受信 → IFT101調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整】※検波基板
 ・83.0MHz受信 → 指針をSメーター最大位置へ移動
 ・IFT301調整 → Tメーター中点へ(離調点が左右対称)
 ・Tメーターが中点からズレた場合 → IFT301横のR319調整 → 中点に
【Sメーター振れ調整】※IF基板
 ・83.0MHz 80dB受信 → RT211調整 → Sメーターが90%振れる位置に。
【ミューティング調整】※ミューティング基板
 ・83.0MHz受信 → RT103調整 → MUTING作動位置へ
【セパレーション調整】※MPX基板
 ・83.0MHz 80dB受信 → RT537調整 → セパレーション最大位置へ

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■試聴----------------------------------------------------------------

 ・左右のレベル差が解消して普通に使えるようになりました
 ・さすがに高音質とは言えませんが、雰囲気は上々です

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