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LUXMAN T-110 修理調整記録4

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 ・2023年1月、約10年ぶりにT-110に触れる機会をいただきました
 ・今回のT-110は改良後の後期型でした

T11003

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 LUXMAN T-110 ¥96,000(1975年9月発売)
 ・Hifiengine LUXMAN T-110 FM/FM-MPX Tuner (1975-79)

T11002T11015

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・ウッドケースに艶があって外観はとても綺麗な状態です
 ・受信確認では名古屋地区のFM放送局をすべて受信できました
 ・Tメーター中点、Sメーター最大点で受信します
 ・目盛りが大雑把なので指針とのズレは気になりません
 ・MUTINGオン/オフともに受信可能
 ・指針の明滅~点灯に変化する動作も問題なし
 ・STEREOランプ点灯、各部の挙動は正常ですが、、
 ・ただ、何だか音が変な感じです
 ・受信音が割れたような、耳障りなノイズが多い音です
 ・WaveSpectraで基準音の波形を見ると酷い高調波がビッシリ貼り付いていました
 ・固定/可変端子とも同じ症状、マルチパスH端子、4ch端子も同じでした
 ・これはどこか部品が壊れているようです

T11030

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・FM専用5連バリコン搭載フロントエンド
 ・セラミックフィルタ×1 → リニアフェイズブロックLCフィルタ×2、
 ・レシオ検波
 ・LA3350
  ・VR201 背面 ATTENUATOR in/out 減衰レベル調整
  ・VR202 ミューティング調整
  ・VR203 シグナルメーター振れ調整
  ・VR204 VCO調整(TP30で19kHz確認)
  ・VR205 セパレーション調整
  ・T201 レシオ検波調整
  ・T202 シグナルメーターMAX調整
  ・フロントエンド内のIFTコア stereo歪調整

T11050

■修理記録------------------------------------------------------------

 ・マルチパスH端子、4ch DET OUT端子からも高調波に塗れた波形確認できる
 ・つまりLA3350に入る前のコンポジット信号に異常あり
 ・フロントエンド、IF回路、検波回路のどこかが故障している
 ・故障個所を切り分けるため10.7MHz信号をIF基板入口に直接注入してみると、
 ・同じ不具合症状が再現できました
 ・つまり故障個所はIF回路から検波回路のどこかということ
 ・IF回路で10.7MHz信号の注入場所を変えながら故障個所を探しました
 ・調査の結果、故障部品は F201(CFSA-30A0-10)でした
 ・CF201より後段に10.7MHz信号を注入すると高調波は発生しません
 ・この古いタイプのセラミックフィルターがノイズ源となっていたようです

T11031T11032T11035T11033T11036

 ・修理の手始めとしてF201を取り除いて前後の回路を直結してみました
 ・すると高調波の無いきれいな受信音が聞こえてきました。
 ・故障部品はF201:セラミックフィルターで確定です
 ・さて、同じ部品は入手できないのでジャンク箱から代用品を探しました
 ・1978年製のTRIO KT-8100 IF回路から水色と茶色のフィルターを取り外す
 ・一つづつ移植しては効果を確かめる、の繰り返し
 ・最終的に茶色のセラミックフィルターを代用品として採用
 ・後述の再調整によって良い音で受信できるようになりました
 ・発見:サービスマニュアルにLA3350のブロックダイヤグラムがありました

La3350

■調整記録------------------------------------------------------------

【OSC調整】
 ・TP14 → 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・90MHz受信 → TCO4調整 → 電圧最大
 ・76MHz受信 → LO 調整 → 電圧最大
【RF調整】
 ・TP14 → 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・90MHz受信 → TCA,TCR1,TCR2,TCR3調整 → 電圧最大
 ・76MHz受信 → LA,LR1,LR2,LR3 調整 → 電圧最大
 ・83MHz受信 → IFT調整 → 電圧最大
【レシオ検波調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra
 ・83MHz受信 → T201上部コア調整 → Tメータ中点
 ・83MHz受信 → T201下部コア調整 → 高調波歪最小
【Sメーター調整】
 ・TP14 → 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83MHz受信 → T202調整 → 電圧最大
 ・83MHz受信 → VR203調整 → Sメーター振れ具合調整
【ミューティング調整】
 ・83MHz,20dB受信 → VR202調整 → MUTING作動位置へ
【MPX調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra
 ・TP30 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz,ST信号受信 → VR204調整 → 19kHz
 ・83MHz,L/R信号受信 → VR205調整 → 漏れ信号最小

T11061

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・照明窓電球(12v/3w BA9S×4個)が2個切れていたので交換しました
 ・フロントパネルを分解したついでにパネル内側も磨いておきました
 ・選局ツマミにイモネジはありません。手前に強く引っ張れば抜けます
 ・電球交換だけなら分解しなくても電球ソケットを後ろ側から引き抜けます
 ・赤く輝くダイヤル指針は離調時は明滅、同調時に常時点灯する仕様です
 ・TRIO製やSONY製のチューナーとは一味違うエレガントな雰囲気がステキです

T11004

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