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LUXMAN T-88V 修理調整記録3

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 ・2022年9月、T-88Vの故障機が届きました
 ・およそ10年ぶりの再会です
 ・調整記録をキチンと残します

T88v03

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 LUXMAN T-88V \54,500(1975年8月発売)
 ・Hifiengine Luxman T-88V AM/FM Stereo Tuner (1978-79)

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■動作確認------------------------------------------------------------

 ・ウッドケースは多少の擦り傷があるものの艶が残ってイイ感じです
 ・フロントパネルに目立つ傷なし。汚れは分解清掃でキレイになりそう
 ・FM300Ω端子に75Ω変換器を介してアンテナ接続して受信テスト開始
 ・周波数窓の照明点灯、名古屋地区のFM局を受信できました
 ・ただ機能切換ツマミ(AM/FM/FM mono)に接触不良あり
 ・片chの音が出たりでなかったり、左右に数回回すと復旧する
 ・指針の移動に伴ってカサカサノイズ発生、メーター指針がノイズに反応する
 ・STEREOランプ点灯しない、MUTINGオンにすると音が出ない
 ・Sメータの振れ具合が弱い
 ・AMは内蔵バーアンテナでSメーターが大きく振れて受信OK
 ・問題はFM受信回路ですね

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■内部確認------------------------------------------------------------

 ・Alps社製FM4連、AM2連バリコン搭載フロントエンドユニット
 ・IF回路 :IFバンド切換機能なし、2SC381、TA7061A
 ・検波回路:レシオ検波、
 ・復調回路:HA1156
 ・AM回路:ディスクリート構成

 ・VR201:セパレーション調整
 ・VR202:VCO 19kHz調整
 ・VR203:STEREOインジケーター点灯レベル調整
 ・VR204:MUTINGレベル調整
 ・VR205:FM Sメーター振れ具合調整
 ・VR206:AM Sメーター振れ具合調整

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■修理記録:接点洗浄--------------------------------------------------

 ・フロントパネルを分解して徹底洗浄、
 ・機能切換ツマミのローターリースイッチをエレクトロニッククリーナーで洗浄
 ・クリーナー液を吹きかけて何度も切換動作を繰り返す
 ・続いてフロントエンド内バリコン軸の接点洗浄
 ・真っ黒に変色したHA1156やトランジスタの足を洗浄
 ・出力端子の洗浄、磨き上げ
 ・一連の作業によって切換スイッチの接点不良が解消しました
 ・指針移動に伴う雑音も解消しました
 ・VR202を仮調整するとSTEREOランプ点灯しました
 ・当初の動作確認で気になった雑音は解消したと思います。、
 ・ただ、新たに「ザザ、ザザ」という不定期に発生する雑音が気になりました

T88v60

■調整記録------------------------------------------------------------

【OSC調整】
 ・90MHz受信 → CT104調整 → Sメーター最大
 ・76MHz受信 → L104 調整 → Sメーター最大
【RF調整】
 ・90MHz受信 → CT101,CT102,CT103調整 → Sメーター最大
 ・76MHz受信 → L101,L102,L103 調整 → Sメーター最大
 ・83MHz受信 → T101調整 → Sメーター最大
【IF調整】
 ・83MHz受信 → T201調整 → Sメーター最大
 ・83MHz受信 → T202調整 → Sメーター最大
 ・83MHz受信 → T204調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra
 ・83MHz受信 → T203上部コア調整 → Tメータ中点確認
 ・83MHz受信 → T203下部コア調整 → 高調波歪最小
【FMミューティング調整】
 ・83MHz,20dB受信 → VR204調整 → MUTING作動位置へ
【FM Sメーター調整】
 ・83MHz70dB受信 → VR205調整 → Sメーター振れ最大
【MPX調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra
 ・TP206 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz,ST信号受信 → VR202調整 → 19kHz
 ・83MHz,ST信号受信 → VR202調整 → STEREOランプ点灯調整
 ・83MHz,L/R信号受信 → VR201調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【AM調整】
 ・ 600kHz受信 → T205調整 → Sメーター最大
 ・1400kHz受信 → TC1、TC2調整 → Sメーター最大
 ・ 900kHz受信 → T209,T210,T211調整 → Sメーター最大
 ・V206調整 → AMミューティング、AM Sメーター調整
【作業メモ】
 ※FM受信時のSメーターの振れ方はかなりクセがあります。
 ※目盛り1.0(40dB)でもSTEREOランプ点灯して受信できました。
  ・電波強度70dB → 目盛り4.0
  ・電波強度60dB → 目盛り3.6
  ・電波強度50dB → 目盛り2.3
  ・電波強度40dB → 目盛り1.0
  ・電波強度30dB → 目盛り0.1
 ※一通り調整完了しましたが、不定期雑音は解消しません

T88v00

■修理記録:雑音の発生源を探して--------------------------------------

 ・不定期に発生する「ザザ、ザザ」という雑音です。
 ・上記調整作業を経ても雑音は解消しません。
 ・WaveSpectraで基準音の波形を見ると、ノイズフロアが不定期に上下する現象です
 ・原因を切り分けるため10.7MHz信号をIF回路初段に直接注入してみました
 ・しばらく様子をみたところ「ザザ、ザザ」という雑音は全く発生しません
 ・次に300Ω端子、75Ω端子それぞれにアンテナ線から基準信号を送信
 ・フロントエンドを通すと「ザザ、ザザ」という雑音が発生します
 ・雑音の発生源はフロントエンドユニット内部ということです

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 ・本機のフロントエンドはバリコンと付属回路の一体型です
 ・ユニット後方のシールドケースを外し隙間からエレクトロニッククリーナー噴射
 ・何らかの効果があるかと期待しましたが、、残念ながら全く効果なし
 ・ユニットを取り外して分解するのはかなり面倒な作業になります
 ・残念ながらここで修理断念、、
 ・と、思ったら依頼者様からT-88V 2号機の提供がありました

■T-88V 2号機:動作確認と内部チェック---------------------------------

 ・フロントパネル右上角、左下角に潰れたような目立つ打痕キズ
 ・ウッドケースも同じ位置に目立つ傷あり
 ・周波数窓の照明は点灯するが、右側だけやけに明るい
 ・FMアンテナを接続して受信テスト開始
 ・外観はイマイチですがFM/AMとも受信OKでした
 ・簡易調整してFM/AMとも受信できることを確認
 ・2号機には雑音問題はなさそうです
 ・周波数窓を照らす電球が右側だけ交換済みでした

■修理記録:ニコイチ合体----------------------------------------------

 ・雑音問題のない2号機をベースにして1号機から外装部品を移植しました
  →フロントパネル
  →選局ツマミ、機能切換ツマミ
  →ウッドケース
 ・見た目もキレイなT-88Vが完成しました。

T88v80

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・周波数を刻んだフロントパネルは照明色と相まって精悍な顔つきです。
 ・目盛りが大雑把ですがデザイン的にはこれで良いです。
 ・ステキなチューナーが復活しました。

T88v07

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