・2022年8月初め、KT-2020の故障機が届きました。。
・以下、作業内容のご報告です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオ懐古録 KENWOOD KT-2020 AM/FM STEREO TUNER ¥74,800
・オーディオの足跡 KENWOOD KT-2020 ¥74,800(1984年頃)
・輸出機 KENWOOD KT-990SD
■動作確認------------------------------------------------------------
・外観は経年の汚れがあるものの目立った外傷はない。
・FMアンテナを接続して名古屋地区のFM局を受信テスト。
・オート選局(上り方向)→ +0.1MHzの周波数で受信
・Tメーターは右へ1本ズレた位置で赤色インジケーター点灯
・オート選局(下りり方向)→ +0.1MHzの周波数で受信
・Tメーターは中央で白色インジケーター点灯
・どうやらFM同調点がズレているようです。
・STEREOランプの点灯が不安定なのも同調点ズレが原因ですね。
・表示管の文字欠けが気になります。「8」→「d」
・たぶん表示管のハンダ付け部分に接触不良がありそうです。
■修理記録:表示管の文字欠け------------------------------------------
・表示管のハンダ付け部分を指で触ってみると欠けていた部分が点灯します。
・その部分をよく見るとハンダが薄くて割れているように見えます。
・表示管が載っている基板を取り外すためフロントパネルを分解。
・前面の金属フレームを外すと2階基板ごと裏返せます。
・2階基板だけを取り外そうとするよりも作業は簡単でした。
・表示管に繋がるハンダ付け部分をすべて盛り直しました。
・これで大丈夫。
■調整記録------------------------------------------------------------
【VT電圧】
・TP1~GND DC電圧計セット
・アンテナ入力なし
・76MHz → L7調整 → 3.0V±0.1V ※実測 2.9V
・90MHz → TC5調整 →25.0V±0.1V ※実測24.6V
【検波調整】
・TP3~TP4 DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dB)受信 → L13調整 → 0.0V±10mV
・TP5~GND DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dB)受信 → L15調整 → 0.0V±10mV
【RF調整】
・R64右側端子 DC電圧計セット=Sメーター電圧
・76MHz(1kHz,100%変調,40dB)→ L1,L2,L3,L6調整 → 電圧最大
・90MHz(1kHz,100%変調,40dB)→ TC1~TC4調整 → 電圧最大
【IFT調整】
・R64右側端子 DC電圧計セット=Sメーター電圧
・83MHz(1kHz,100%変調,30dB)→ L5調整 → 電圧最大
【AUTO STOP=MUTING調整】
・83MHz(1kHz,100%変調,30dB)→ VR1調整
【TUNING METER調整】
・SELECTOR:MONO
・83MHz(1kHz,100%変調,80dB) → 上段基板VR2調整 → ※
※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【MPX VCO調整】
・TP16に周波数カウンタ接続
・83MHz(無変調,80dBf) → VR12調整 → 76.00kHz±50Hz
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz(SUB信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ L27調整 → Lchレベル最大
【PILOT CANCEL調整】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dB)→ VR8調整 → 19kHz信号最小
・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dB)→ L25調整 → 19kHz信号最小
・左右chのバランス確認
【歪調整1 DLLD】
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR2:DET調整 → 歪最小
【歪調整2 MONO】
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR3:MONO2調整 → 二次歪最小
【歪調整3 MONO】
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR6:MONO3調整 → 三次歪最小
【歪調整4 STEREO】
・83MHz(L/R信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR5調整 → 歪最小
【歪調整5 STEREO】
・83MHz(SUB信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR7調整 → 歪率最小
【歪調整6 NARROW】
・83MHz(MAIN信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR4調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整 WIDE】
・IF BAND:WIDE
・83MHz(R信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR10調整 → L信号もれ最小
・83MHz(L信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR11調整 → R信号もれ最小
【SEPARATION調整 NARROW】
・IF BAND:NARROW
・83MHz(1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dB)→ VR9調整 → 信号もれ最小
【DEVIATION調整】
・83MHz(mono信号,1kHz,100%変調,80dB)→ 上段基板VR1調整 → 100%位置
【AM簡易調整】
・ 729kHz NHK第一放送受信 → L22調整 → Sメーター最大
・1332kHz 東海ラジオ受信 → TC9調整 → Sメーター最大
・1053kHz CBCラジオ受信 → L24調整 → Sメーター最大
■試聴----------------------------------------------------------------
・オート選局での周波数ズレは解消し、正しい周波数で停止します。
・STEREOインジケーター点灯し安定して受信できています。
・周波数の文字欠けも解消しました。