・2022年6月、KT-9900の故障機が届きました。
・かなり状態が悪いようです
■製品情報-----------------------------------------------------------
・オーディオ懐古録 TRIO KT-9900 ¥200,000
・オーディオの足跡 TRIO KT-9900 ¥200,000(1978年発売)
・Hifi Engine KENWOOD KT-917 ※輸出機
■動作確認-----------------------------------------------------------
・外観はキレイな状態で背面端子類もピカピカです。
・電源オンで照明点灯。球切れは無さそう。
・電源投入から約10秒でSメーターが動き出す。
・TメーターとSメーターの動き方を見るとFM局を正常受信している感じ。
・しかしMUTINGオンの状態では受信音が聞こえてこない。
・MUTINGオフにするとモノラル音声が聞こえてくる。
・DDLインジケーター、STEREOインジケーター点灯しない
・この状態で受信を続けているとDDLとSTEREOが同時に点灯する瞬間がある。
・点灯した瞬間は音声が実際にステレオになっている
・どうやらDDL~MUTING回路が正常に動作していないようです。
■内部確認-----------------------------------------------------------
・過去4回のKENWOODサービス修理記録を同梱していただきました。
・修理記録に記載された交換部品と修理痕を確認できました。
・配線パターンが一部変更されていますが、回路の切換動作は通常通りでした。
・あまり操作しないスイッチ類も定期的に切換えると接点の劣化を防げます。
・ダイヤル指針もたまには76~90MHzの全区間を移動させてやると良いです。
・電源基板で規定電圧を確認。すべての電圧が正常でした。
・気になるのは基板上に足が黒ずんだICやトランジスタが多数あること
・特にLA1222,2SC535,JRC4558,HA1137W,HA11223W,HA1457などが顕著です。
・煤のような暗黒物質が端子間を短絡させて異常を引き起こすことがあります。
・そこで硬めの歯ブラシでICとトランジスタの足を磨いてみました。
・結果は、、直りました。当初の不具合はすべて解消されました。
・念のためエレクトロニッククリーナーを浸み込ませた綿棒で足をさらに洗浄。
・その後、測定器を使って各部再調整しました。
・その後の受信テストでは正常動作しています。
■修理記録:HA1457など交換-------------------------------------------
・過去の修理経験から劣化が進んでいるHA1457を予防交換しました。
・合わせて目視で劣化が分かる電解コンデンサーも交換しました。
・近くのトランジスタの熱で炙られて外皮が収縮後退しています。
【IF基板】
・IC12/HA1457 → HA1457W
【SWITCH基板】
・IC4/HA1457 → HA1457W
【DDL基板】
・IC1,IC6,IC6,IC14/HA1457 → HA1457W
・C36/ 10uF/16v(BP) → 10uF/25v(BP)
・C38/100uF/25v(BP) → 100uF/25v(BP)
【MPX基板】
・C43/100uF/16v → 100uF/50v
・C56/ 10uF/16v → 10uF/50v
■調整記録------------------------------------------------------------
・過去の記録に倣って各部再調整しました。
■試聴----------------------------------------------------------------
・さすが高級機の風格ですね。
・しかも大切に使われてきた個体です。
・これでまた当分は良い音で受信できると思います。