・2022年4月、初めて見る薄型小型のシンセ機が届きました。
・事前情報によるとAM放送が全く受信できないそうです。
・さて、直せるでしょうか?
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 LUXMAN T-400 ¥49,000(1982年12月発売)
・Hifi Engine LUXMAN T-400 Frequency Synthesized Stereo Tuner (1982)
■動作確認------------------------------------------------------------
・本体幅45cm、奥行きは僅か23cm、重量3Kgの小型軽量薄型ボディです。
・周波数を示す数字が水色で斜体フォント、ちょっとお洒落な感じ。
・FMアンテナ端子は300Ωのみ、これは残念。
・さて電源とアンテナ線を接続して動作確認開始。
・オート選局機能なし、UP/DOWNボタンを連打するタイプです。
・名古屋地区のFM局を受信しようとすると-0.1MHzの周波数で最適受信。
・STEREOインジケーター点灯しない、実際のステレオ感もない
・MUTINGオンにすると受信不可、テストトーンOK
・同梱されたAMループアンテナで名古屋地区のAM局の受信テスト
・ただしAMは全く受信できない。ザーという局間ノイズも聞こえない
・FMは調整ズレ、AMはどこかの故障ですね。
■内部確認------------------------------------------------------------
・4連バリキャップの小型FMフロントエンド
・LA1235 FM IF System
・HA12013 FM Stereo MPX Decorder
・LA1245 AM Tuner
・仮調整(検波調整)によって周波数ズレ解消
・仮調整(VCO 調整)によってSTEREOインジケーター点灯
・FM受信回路は問題なさそうですがAM受信はNG。
■修理記録:AM放送が受信できない--------------------------------------
・CP104 AM VT電圧確認 → 本来は +1.2v/522kHz ~ +8.4v/1611kHz で変化するはず
・ところが +24.5v を示したまま 522kHz~1611kHz区間で電圧が全く変化しない
→OSCが発振していないと思ってトリマコンデンサー(赤色20pF)交換
→CT202(赤色20pF)→ 新品20pF ※しかし効果なし
→LA1245 14pin(Vcc)電圧確認 → 何と0v ※LA1245が動作していないことが判明
→+12v系統の電源ラインを調査 ※先に調査するべきでした
→C224(100iF/16v)の内部短絡を発見 → 新品(100uF/25v)交換
→LA1245 14pin(Vcc)電圧 → 1.3vに上昇 ※しかしまだ低い、、
→さらに +12v系統の電源ラインを調査
→Q202(2SA1015Y)→ 2SA1015GR 交換 ※効果なし
→Q203,Q204.Q205(2SC1815Y)→ 2SC1815GR 交換 ※効果なし
→その他AM回路の電解コンデンサを何個か交換するも効果なし??
・調査を進めるうちMUTING回路で抵抗と化した C136(10uF/16v) を発見!
・これを新品 10uF/25vに交換 → 当り!!
・LA1245 14pin(Vcc)電圧 → 12vに上昇 ※AM VT電圧が出現した!
・後述の受信調整でAM局を正常受信できるようになりました。
・不調原因は電源系統の電解コンデンサ2個(C224,C136)の劣化でした。
■調整記録------------------------------------------------------------
【FM VT電圧調整】
・フロントエンド後ろ側 B2端子 → 電圧計セット
・76.1MHz → L4調整 → 3.0v
・89.9MHz → CT4調整 → 21.0v
【FMフロントエンド調整】
・LA1235-13pin → 電圧計セット ※Sメーター電圧
・76.1MHz受信 → L3,L2,L1調整 → 電圧最大
・89.9MHz受信 → CT3,CT2,CT1調整 → 電圧最大
・83.0MHz受信 → T1調整 → 電圧最大
【検波調整】
・CP101,CP102 → 電圧計セット※Tメーター電圧
・音声出力端子 → WaveSpectra接続
・83MHz受信 → L101(右コア)調整 → 電圧ゼロ
・83MHz受信 → L101(左コア)調整 → 高調波歪最小
【Sメーター調整】
・83.0MHz40dB受信 → VR101調整 → シグナルインジケーター全灯
【VCO調整】
・CP103 → 周波数カウンタ接続
・83MHz無変調受信 → VR102調整 → 76kHz
【セパレーション調整】
・音声出力端子 → WaveSpectra接続
・83MHz L/R 受信 → VR103調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【Test Tone調整】
・音声出力端子 → WaveSpectra接続
・83MHzST受信 → 信号レベル記録
・Test Tone オン → VR501調整 → -6dBに設定 ※512Hz
【AM VT電圧調整】
・CP104 → 電圧計セット
・ 522kHz → L202 調整 → 1.2v
・1611kHz → CT202調整 → 8.4v
【AM受信調整】
・LA1245-16pin → 電圧計セット ※Sメーター電圧
・ 729kHz(NHK )→ L204 調整 → 電圧最大
・1332kHz(東海)→ CT204調整 → 電圧最大
・1053kHz(CBC )→ L205,L206調整 → 電圧最大
【AM Sメーター調整】
・VR201調整 → お好みで
■試聴----------------------------------------------------------------
・オート選局機能がないのが残念ですがプリセット登録すれば実用上問題なし
・斜体で表示される青白い周波数表示がお洒落です。