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TRiO KT-990 修理調整記録5

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 ・2022年4月、故障した KT-990を入手しました。
 ・デザインが秀逸なのでお気に入り機種の一つです。
 ・故障個所も大体想像できるので何とかなるでしょう、、

Kt99003

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-990 ¥53,800円(1982年発売)
 ・同じデザインでKT-900もありますがFMアンテナ端子がちょっと残念。

Kt99001Kt99011

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・さて、FMアンテナ(F型端子)を接続して動作確認開始。
 ・まず選局ツマミの回転が重い。
 ・原因はフロントパネルが前傾して選局ツマミと接触していること。
 ・KT-990/KT-900でよく遭遇する不具合事例です。
 ・これは後で直すとして、、動作確認を続行。

 ・電源オン、照明電球点灯、指針照明も点灯。
 ・名古屋地区のFM局を受信テスト → 82.5MHzのNHK-FM(名古屋)を82.3MHz付近で受信。
 ・意外にも周波数ズレは小さい。
 ・Sメーター点灯、Tメーターインジケーター点灯
 ・STEREOランプ点灯、サーボロックランプ点灯
 ・WIDE/NARROW切換OK、出てくる音声にステレオ感あり
 ・他局も確認しようと選局ツマミを回すと、、
 ・なぜか、、指針が81MHz付近よりも左側に移動できない。
 ・何かに引っ掛かる感じ、、何これ??初体験の不具合です。
 ・手持ちのAMループアンテナを接続して名古屋のAM局を受信テスト
 ・Sメーターがフル点灯しAM放送を受信できました。
 ・ただしFMと同様に700kHz付近(FMと同じ位置)より左側に指針が移動できない。

■内部確認------------------------------------------------------------

 ★フロントパネル上部とボディを固定するプラスチック部品が破損
  →原因は本機の上に重量級のアンプなどを載せたこと。
 ★指針が移動しないのはフロントパネルの金属フレームに指針が当たるから
  →これも原因は重量級のアンプなどを載せたから
  →よほど重い機器を載せたようで金属フレームが湾曲していました。
 ★フロントエンド内のトリマを少し回したら受信周波数が変化しました。
  →後述の受信調整でFM OSC調整できました。

Kt99020_20220529084701Kt99021_20220529084701Kt99022_20220529084701Kt99023

■修理記録:KT-900のフロントパネルを移植------------------------------

 ★フロントパネル上部とボディを固定するプラスチック部品が破損
 ・KT-900 と KT-900 のフロントパネルは共通形状です。
 ・周波数目盛を刻んだアクリル板を交換すれば移植可能。
 ・そこで部品取り用に保管していた破損のないKT-900からフロントパネルを取り外し
 ・周波数目盛を刻んだアクリル板を交換して移植しました。
 ・KT-990/KT-900の上に重い機器を載せてはいけません。

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■修理記録:フロントパネルフレーム修正--------------------------------

 ★指針が移動しないのはフロントパネルの金属フレームに指針が当たるから
 ・原因は上記プラスチック部品の破損と同じ。
 ・ちょうど同じ位置でフレームが湾曲していました。
 ・これは力技で湾曲を修正しました。
 ・これで指針がスムーズに移動するようになりました。

Kt99030_20220529084501Kt99031_20220529084501Kt99032Kt99033Kt99034_20220529084501

■受信調整------------------------------------------------------------

【FM OSC調整】
 ・TR7020-2Pin(R18右足) → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → 新TC4調整 → 電圧最大
【FM RF調整】
 ・TR7020-2Pin(R18右足) → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz 受信 → TC1,TC2,TC3調整 → 電圧最大
 ・83MHz 受信 → T1調整 → 電圧最大
【クアドラチュア検波調整】
 ・TP1~TP2 → 電圧計セット(Tメーター)
 ・83MHz 受信 → L4調整 → 電圧ゼロ(Tメーター中点)
【WIDE GAIN調整】
 ・TR7020-2Pin → 電圧計セット(Sメーター電圧)
 ・83MHz Narrow受信 → Sメーター電圧記録
 ・83MHz Wide受信 → VR1調整 → 上記電圧と同じ
【高調波歪調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz → T1(フロントエンド内)調整 → 高調波歪最小
【パルスカウント検波調整】
 ・TR4011-1Pin → 周波数カウンタセット
 ・83MHz受信 → L6調整 → 1.965MHz
【VCO調整】
 ・TP VCO → 周波数カウンタ接続
 ・SSG 83MHz 無変調 → VR7調整 → 76kHz
【PILOTキャンセル】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Wide受信 → VR6調整 → 19kHz成分最小
【セパレーション Narrow調整】※Narrow調整を先に行なうこと
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Narrow → VR3調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【セパレーション Wide調整】
 ・音声出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83MHz Wide → VR4調整 → 反対chへの漏れ信号最小
 ・83MHz Wide → VR5調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【REC CAL調整】
 ・83MHz受信 → 出力レベル記録
 ・83MHz受信 → VR2調整 → -6dB設定 ※422Hz
【AM受信調整】
 ・AMループアンテナ → 接続端子注意 [AM]~[GND]
 ・700kHz → L11,L12調整 → Sメーター最大点灯
 ・1400kHz → TC1,TC2調整 → Sメーター最大点灯

Kt99050

■試聴---------------------------------------------------------------

 ・今回はOSCトリマの故障は無かったです。
 ・この機種の上面に重い機材を載せてはいけません。
 ・それにしても KT-990/KT-900のデザインはイイですね。
 ・照明を落とした部屋でボーっとしながらいつまでも眺めていられます。

Kt99006_20220529085101

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