・2022年1月末、LUXMAN T-12×2台が届きました。
・2台とも不具合があるそうです。
・まずは1台目の作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 LUXMAN T-12 ¥96,000 (1977年10月発売)
・オーディオ懐古録 LUXMAN T-12 QUARTZ LOCKED FM TUNER \96,000
・Hifi Engine Luxman T-12 Accutouch Quartz Locked FM Tuner (1978-79)
■動作確認/内部点検--------------------------------------------------
【1号機】
・たぶん最近まで使われていた個体ですね
・名古屋地区のFM局を受信できました。
・周波数ズレなし、ロック機構作動、Sメーターフル点灯
・STEREOランプ点灯、MUTING動作正常
・ただし出てくる音がひどく歪んている
・WIDE/NARROWとも同じ症状
・固定出力/可変出力とも同じ症状
・ボディを開けて内部確認しました
・周波数窓の右側照明 電球切れ
・ロックボタンの赤色LED切れ
・HA11223-2ピン MPX入力信号は正常でした
・HA11223-5ピン Lch出力信号 →★酷いノイズあり
・HA11223-6ピン Rch出力信号 →★酷いノイズあり
・どうやらMPX回路のどこかが故障しているようです。
【2号機】
・外観に汚れが目立つので保管されていた個体でしょうか
・周波数窓の透明アクリル板がグラグラ
・名古屋地区のFM局を受信できません
・MUTINGオフにしても受信不可
・試しに信号発生器から強力FM信号(120dB)を送ってみると
・-0.5MHzの周波数ズレでSメーターが点灯してSTEREO受信できました。
・こちらは受信感度が大幅に低下しているようです、
・WIDE受信OK、しかしNARROW側ではまったく受信不可
・内部を見たところ1号機よりも汚れがひどい。ICやTRの足が真っ黒。
・まずはフロントエンド内RF回路、IF段のNARROW回路の点検から、、
■修理記録(1号機)---------------------------------------------------
・周波数ズレなし、ロック機構正常動作、Sメーターフル点灯
・検波回路までは問題なさそうです。
・手始めに真っ黒に変色した HA11223 の足を歯ブラシで磨いてみました。
・すると両chから出ていた激しい雑音がきれいに解消しました。
・STEREOランプ点灯、実際のステレオ感もあります。
・VCO調整やセパレーション調整も正常に反応します。
・やはり原因はHA11223の足に張り付いた暗黒物質ですね。
・この後、HA11223 を取り外し足の裏側まで徹底洗浄しました。
・同様にHA11211も取り外そうとしましたが基板面に金属カバーが、、
・HA11211は外側からの洗浄だけに止めました。
■修理記録:電球交換--------------------------------------------------
・周波数窓を照らす電球(8v/3.0w)が切れていました。
・同型品の在庫が無かったので2号機から移植しました。
・2号機用には別途調達します。
・それからロックボタンの赤色LEDのアタマが取れていました。
・凸型LEDが特殊形状(台座部φ4.0mm、突起部φ1.7mm、凸長3.0mm)
・代わりに一般的なφ3mmの赤色LEDをボンドで固定しました。
■調整記録------------------------------------------------------------
・quartz off
【FM OSC調整】
・HA11211-9pin → DC電圧計セット ※Sメーター電圧
・IF=narrow
・指針を76MHz位置にセット → 76MHz受信 → Lo調整 → 電圧最大
・指針を90MHz位置にセット → 90MHz受信 → TCo調整 → 電圧最大
【FM RF調整】
・HA11211-9pin → DC電圧計セット ※Sメーター電圧
・IF=narrow
・指針76MHz位置 → 76MHz受信 → LA,LR1,LR2,LR3調整 → 電圧最大
・指針90MHz位置 → 90MHz受信 → TCA,TCR1,YCR2,TCR3調整 → 電圧最大
・指針83MHz位置 → 83MHz受信 → IF調整 → 電圧最大
【IF GAIN調整】
・HA11211-9pin → DC電圧計セット ※Sメーター電圧
・IF=wide :83MHz,1kHz,60dB受信 → VR102調整 ※
・IF=narrow:83MHz,1kHz,60dB受信 → VR103調整 ※
【検波調整】
・IF=wide
・TP52~TP53 → DC電圧計セット ※Tメーター電圧
・音声出力 → Wavespectra接続
・83MHz,1kHz受信 → L105調整 → 電圧ゼロ
・83MHz,1kHz受信 → L104調整 → 高調波歪最小
・上記作業を数回繰り返す
【マルチパス調整】★調整法?
・multipath → ON
・音声出力 → Wavespectra接続
・83MHz,1kHz,90dB受信 → VR104調整 → オーディオ出力最小
【Sメーター調整】
・83MHz,60dB受信 → VR110調整 → Sメーターフル点灯
【Outputレベル調整】
・音声出力端子 → AC電圧計セット
・83MHz,1kHz,60dB受信 → VR106調整 → AC_0.775v
【Test Tone調整】
・音声出力 → Wavespectra接続
・83MHz,1kHz,60dB受信 → 音声レベル記録
・test tone オン → VR109調整 → -6dBにセット ※実測378Hz
【VCO調整】
・TP28 → 周波数カウンタ接続
・83MHz無変調 → VR108調整 → 76kHz
【パイロットキャンセル調整】
・音声出力 → Wavespectra接続
・83MHz,1kHz,80dB,ST受信 → VR105調整 → 19kHz信号最小
【ステレオ歪調整】
・音声出力 → Wavespectra接続
・83MHz,1kHz,80dB,ST受信 → VR101調整 → 高調波歪最小
【セパレーション調整】
・音声出力 → Wavespectra接続
・83MHz,1kHz,80dB,ST受信 → VR105調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【Quartz lock基板】
・正常動作しているので今回はノータッチ、詳細な調整法は2号機で研究中
■試聴----------------------------------------------------------------
・周波数ズレなくアキュタッチが気持ちよく作動します。
・ただ選局ノブがいちいちロックされるのはちょっと鬱陶しいかも?
・2号機の修理は継続中。