・タイマー機能を内蔵したチューナーを寄付していただきました。
・初めて見る機種ですが、外観は同社製 ST-G6T と酷似しています。
・さて、内部はどうでしょう?
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 Technics ST-G80T ¥49,800(1987年頃)
・Hifi Engine Technics ST-G6T AM/FM Stereo Tuner (1985-89)
・グッドデザイン賞 1986年 Technics ST-G80T
■動作確認------------------------------------------------------------
・電源コードの印字「National 1988」
・片手でひょいと持ち上げられるほど軽量ボディ。
・FMアンテナ端子は同軸バラ線を横向きに接続するタイプで使い難い。
・電源オン、、でも表示部に何も表示されません??
・内部を見てみるとバックライト電球が切れていました。
・液晶背面をペンライトで照らしてみると周波数が読み取れました。
・まずは電球を交換してから動作確認を再開します。
■修理記録:バックライト電球交換--------------------------------------
・切れていたのはゴム製台座に収まった T10ウェッジ球。
・ちょうど同タイプのLED球を入手したので試しに交換してみました。
・電球色を使うと液晶がオレンジ色に表示されると思いますが、
・このLEDはほぼ白色なので液晶表示の色味が物足りないかも?
・とりあえず動作すれば良し、これでOKとします。
■動作確認(再)-------------------------------------------------------
・表示部が見えるようになったので動作確認を再開。
・電源プラグをコンセントに接続すると表示部に「E」の文字が点灯。
・時計のエラー」という意味ですね。
・この状態で電源スイッチON。
・液晶表示に「76.1」MHzが出現。
・電源スイッチOFFにすると時刻表示に切り換わる。
・[UP][DOWN]ボタンの長押しでオートチューニング開始。
・電波状況に応じてIF回路を自動選択(normal/narrow)。手動切換も可能。
・signal fidelityランプ、良好な受信状態にあるとき点灯。条件不明?
・FM受信時、signal-strengthボタンを押すと電波強度dB表示に切り換わる。
・scan levelボタンを長押しすると30dB,40dB,50dBと受信レベルを選択可能
・プリセットメモリーはFM/AMランダムに16局。
・メモリーボタンは1~8しかないが、長押し操作によって9~16に登録可能。
・機能面や操作性はST-G6Tと全く同じでした。
■内部確認------------------------------------------------------------
【海外機ST-G6T = 国内機ST-G80T】
・海外版ST-G6Tは日本版ST-G80Tと同じでした。
・海外機ST-G6Tの回路図を見ると、国内機ST-G6Tとは別物でした。
・大体の部品構成は似ているものの基板形状や配置が異なります。
■時刻設定------------------------------------------------------------
【時刻設定方法】
・[clock] → 時計表示状態にする
・[memory] → 長押し → 約5秒後に指を離す
・時計が点滅して時刻設定状態になる
・[down] → 「時」設定
・[up] → 「分」設定
・[memory] → 時報に合わせて押す
【タイマー機能】
・once :一度限りのON/OFF設定
・everyday:毎日同時刻にON/OFFを繰り返す
・sleep :電源オフ時刻設定
■修理記録:FMアンテナ端子改造----------------------------------------
・この時期のTechnics製チューナーによくある使い難いアンテナ端子です。
・そこでF型端子が使えるように改造しました。
・同軸ケーブルの芯線を接続する端子を取り外す
・端子後の穴をリーマーで拡幅する
・F型端子を取り付ける
・土台がプラ製なので穴あけ加工は容易です。
・配線を整えて完了
■調整記録------------------------------------------------------------
【基準周波数調整】
・TP901 → 周波数カウンタ接続
・バンド切換 → AM
・AM周波数 → 1629kHz
・CT901調整 → 2079kHz ※1629kHz+450kHz (2.079MHz)
※2079kHzまで上昇しない場合 → L203調整
【VT電圧調整】
・フロントエンド横 R2(手前の足)→DC電圧計セット
・76.1MHz → 2.9v ※確認のみ
・89.9MHz → 11.1v ※確認のみ
【RF調整】
・IC101(AN7274NS)-7ピン=(C212 +端子)→ DC電圧計セット ※Sメーター電圧
・83MHz受信 → L01~L03調整 → 電圧最大
・83MHz受信 → IF調整 → 電圧最大
【検波調整】
・音声出力 → Wavespectra接続
・TP101~TP102 → DC電圧計セット
・83MHz受信 → T101調整 → 電圧ゼロ
・83MHz受信 → T102調整 → 高調波歪最小
・上記作業を数回繰り返す
【SSL(Signal Strength Level)調整】
・83MHz,80dB受信 → VR101調整 → 液晶表示「68dB」
・確認:30dB受信 → 液晶表示「25dB」
・シビアな調整は無理、おまけ程度に。
・Signal fidelityランプは約45dB以上の電波強度で点灯
【MPX調整】
・音声出力 → Wavespectra接続
・83MHzST受信 → VR301調整 → 左右ch漏れ信号最小
【Rec level】
・333Hz、-4.7dB ※確認のみ
【AM調整】
・ 729kHz(NHK名古屋)受信 → L202調整 → Sメーター最大
・1332kHz(東海ラジオ)受信→ CT201調整 → Sメーター最大
・1053kHz(CBCラジオ)受信 → T201調整 → Sメーター最大
■試聴------------------------------------------------------------
・薄型ボディで精悍な外観は魅力的です。
・ただLED化する場合は色合いも考えないといけませんね。