・2021年8月、30Tの故障機が届きました。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 Technics ST-9030T ¥80,000(1977年頃)
・hifiengine Technics ST-9030 FM Stereo Tuner (1977-81)
■動作確認------------------------------------------------------------
<提供者様からお聞きした不具合症状>
・周波数の指針にズレがある
・メーターは振れるが音は出ない
・ネット画像と比較して照明が暗いような気がする
・機能選択ボタンのストロークに粘りが強いものがある
<実機確認>
・電源オフ時、Tメーター指針が中点やや左側にズレている。
・FMアンテナを接続して電源オン。
・周波数窓と二つのメーターのオレンジ照明点灯。
・照明は確かにちょっと暗い、、でも電球切れではなさそう?
・名古屋地区のFM局を受信してみると
・Tメーター中点とSメーター最大点が大きくズレる。
・Tメーター中点では-0.3MHzの周波数ズレ、受信不可
・Sメーター最大位置を慎重に探るとSTEREOインジケータ点灯
・WIDEインジケータも点灯して受信音が出てくる
・これはFM同調点調整などがズレているようです。
・「ストロークの粘り」、実際にボタン操作してご指摘の意味が分かりました。
・3つ並んだプッシュボタンの中央、servo tuning切換に違和感あります。
・押し込むときは「油圧」が効いているかのような「抵抗感」がある。
・戻すときはスローモーションでゆっくり戻ってくる。
・他のボタンと比較して明らかに操作時の感触が異なります。
・何とも不思議な感覚です??
■内部確認------------------------------------------------------------
・周波数窓の照明電球を確認したところ、、ビックリ!!
・本来はヒューズ型のガラス電球が5個並んでいるはずですが、、
・代わりに小さな麦球が電球台座に直接ハンダ付けされていました
・5個とも点灯していますが、これでは照明窓が暗いわけです。
・隣のwide/stereo電球も同じ麦球で交換済みでした。
・続いて違和感のあったプッシュスイッチ周辺を確認
・プッシュ操作に伴ってスイッチ内部から透明な液体が滲み出ます。
・他の2個のプッシュボタンも同様の状態でした。
・フロントパネル側のボタン根元にも液体が染み出ています。
・これはスイッチを分解して徹底洗浄するしかないですね
・接点復活剤か何かを大量注入したのかも?
■修理記録:電球交換-----------------------------------------------
・オリジナル電球 6.3v/0.25A → 交換品 8v/0.3A
・オリジナルより微妙に暗いかもしれませんが雰囲気は上々です。
・wide/stereo電球(6.3v/40mA)→ 保管品の中から適合品を探して交換
■修理記録:スイッチ洗浄-------------------------------------------
・フロントパネルを分解してスイッチを取り外す。
・プッシュ型のスイッチは分解すると元に戻す自信がないので、、
・そこでスイッチ自体を無水エタノール漬けにしてしばらく放置。
・その後無水エタノールに浸した状態で何度もプッシュ操作を繰り返す
・無水エタノールがみるみる濃い茶色に変色してきました
・スイッチ内部のグリスが劣化固化していたのでしょうか?
・洗浄後、充分に乾燥させてから再取り付け。
・操作感が本来の軽やかなタッチに戻りました。
■調整記録------------------------------------------------------------
・過去の調整事例に倣って各部再調整しました。
・名古屋地区のFM局を良い音で受信できています。
・幸いにも受信性能には問題なさそうです
・同調時のTメーター指針が中点から少し左側にズレます。
■試聴----------------------------------------------------------------
・照明窓の電球を交換したことで雰囲気が格段に良くなりました。
・良い音で受信できています