・2019年11月に修理したKT-7500 の再修理記録です。
・「再び調子が悪くなった、、」と依頼者様から連絡いただきました。
・出てくる音がブツブツ途切れて聞くに堪えないそうです。
・さて、今度はどこが壊れたか?
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 TRIO KT-7500 ¥48,000(1975年発売)
・1976年5月発行 トリオ総合カタログ
・hi-fi engine KENWOOD KT-7300 輸出機サービスマニュアル
※型番注意
・国内機 KT-7500 → 輸出機 KT-7300
・国内機 KT-7700 → 輸出機 KT-8300
■動作確認------------------------------------------------------------
・FM受信時、TメーターとSメーターの振れ方は正常です。
・しかし音声出力端子から出てくる音がブツブツ途切れる
・STEREOランプ点灯しない
・VCO調整で19kHzに設定できない
・マルチパスH端子からは正常音声が聞こえる
・AM受信時は問題ない
・これは復調回路の故障か?
■修理記録------------------------------------------------------------
・復調回路の調査開始
・IC2:HA1156 → 取り外して足の裏側まで磨く → 効果なし
・IC2:HA1156 → 新品のHA1156Wに交換 → 効果なし
・C19(470pF) → 新品交換 → 効果なし
・Q2(2SC945) → 2SK1815交換 → 効果なし
・その他HA1156周辺の電解コンデンサー交換 → 効果なし
・これはおかしい??
・残るは正面パネルの機能切換スイッチ(AM-AUTO-MONO)しかない?
・フロントパネルを分解し基板からスイッチ本体を取り外す
・スイッチ自体をさらに分解してみると、
・スイッチ内部の接点が真っ黒に変色していました。
・接点端子をバラバラに分解して徹底洗浄、その後再度組み直したところ、
・STEREOランプが点灯し、正常音声が出てくるようになりました
・接点に付着した「暗黒物質」が悪さしていたようです。
・復旧後、もう一度調整をやり直して作業完了。
■調整記録------------------------------------------------------------
・VR1:FM Sメーター調整
・VR2:Tメーター オフセット調整
・VR3:VCO調整 → TP(19kHz)
・VR4:セパレーション調整
・VR5:AM Sメーター調整
【Tメーター オフセット調整】
・アンテナ入力なし → VR2調整 → Tメーター中点
【FM OSC調整】
・76MHz → L4調整 → Sメーター最大
・90MHz → CT4調整 → Sメーター最大
【FM RF調整】
・76MHz → CT1,CT2,CT3調整 → Sメーター最大
・90MHz → L1,L2,L3調整 → Sメーター最大
・83MHz → IFT調整 → Sメーター最大
【FM検波調整】
・83MHz → T1(下部コア)調整 → Tメーター中点
・83MHz → T1(上部コア)調整 → 高調波歪最小
【FM Sメーター調整】
・83MHz → VR1調整 → 振れ具合調整
【VCO調整】
・TP1 → 周波数カウンタ接続
・83MHz,無変調 → VR3調整 → 19kHz
【セパレーション調整】
・83MHz → VR4調整 → 反対ch漏れ信号最小
【AM調整】
・ 600kHz → バーアンテナ内コイル、T2調整 → Sメーター最大
・1400kHz → CT6,CT5調整 → Sメーター最大
【AM Sメーター調整】
・Sメーター調整 → VR5
■試聴----------------------------------------------------------------
・原因:機能切換スイッチ(AM-auto-mono)の接点不良
・FM専用で使っているとこの切換スイッチは使うことがないですね。
・でも、通常使わないスイッチも時には操作してやるといいです。
・ダイヤル指針も76~90MHz区間で何度も往復させてやってください。
・使わないと劣化するのはオジさんのアタマ、カラダと同じです。