・2021月5月、T-106の故障機が届きました。
・故障原因を調べてビックリ!!何と基板が割れていました。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 Accuphase T-106 ¥145,000(1984年1月発売)
・Hifi Engine Accuphase T-106 AM/FM Stereo Tuner
■動作確認------------------------------------------------------------
・シャンパンゴールドモデル、フロントパネルに目立つキズなし。
・FMアンテナを接続して電源オン。
・メーター照明点灯、周波数がくっきり表示される。
・選局つまみを回すと「ピッピッ」と音がして周波数が上下に変動する。
・SSG 83.0MHz 70dB → Sメーターが大きく振れて TUNED ランプ点灯する。
・しかし音声出力端子からは何も聞こえない。局間ノイズも聞こえない。
・数秒後にはSメーターの振れがみるみる弱まり、ついにはゼロを示す。
・Sメーターがゼロを指してもTUNEDランプは点灯したまま
・選局をやり直してももうSメーターは全く振れない
・一方AMも全く受信しない。局間ノイズも聞こえない。Sメーターは全く振れない。
・これは不思議な現象ですね??
・これは電源回路の不調でしょうか?
■内部確認------------------------------------------------------------
・電源回路 電圧チェック
・+15v →(実測 )〇
・-15v →(実測 )〇
・+5v →(実測 )〇
・+5.6v →(実測 )〇
・電源基板の測定ポイントで電圧異常なし
・続いてチューナー基板の点検、、と思ったら、何と!!
・音声出力端子付近で基板が割れていることに気付きました。
・基板に段差が生じるほどの割れ方です。
・基板の亀裂がプリント配線を何本も切断しています。
・こんな割れ方をするなんて、、たぶん落下事故があったのでしょうか?
・確認作業は直ちに中止し電源プラグを抜きました。
・基板を取り外して亀裂の段差を修正、再度クラック調査。
・亀裂の延長は約10cm、チューナー基板のプリント配線を20本ほど切断しています。
・これは参ったな、、
■修理記録:亀裂修理----------------------------------------------------
・基板上面の補強として薄い透明プラ板を亀裂に乗せ強力接着剤で固定。
・続いて亀裂を跨いでジュンフロン線でバイパス配線を製作。
・一度にこんなにたくさんのバイパス配線を作るのは初めてです。
・作業効率化のため、手持ちの電線に合わせて専用工具を買いました。
・HOZAN ワイヤーストリッパー極細専用 P-963
・接続箇所を間違えないよう慎重に、慎重に、、細かい作業は老眼には辛い、、
・工具のおかげで何とか接続を終えて電源再投入、、
・Sメータが大きく振れTUNEDとSTEREOインジケーター点灯
・奇麗なFM音声が流れてきました。FM受信は復旧しました。
・ところがAM受信に難あり、、
・なぜか高い周波数のAM局が受信不能??
■修理記録:AMトリマコンデンサ交換------------------------------------
・AM受信調整:VT電圧確認
・このときトリマコンデンサVC1の反応が過敏で設定値にうまく合わせられない
・VC1,VC2,VC3(20pF) → 新品交換
・VT電圧が規定値に調整でき、高い周波数のAM局も受信可能になりました。
■調整記録------------------------------------------------------------
・過去の調整記録に倣って各部再調整しました。
■試聴----------------------------------------------------------------
・基板が割れるほどの衝撃、、この個体にどんな不幸があったのでしょうか?
・でも何とか修理できて良かったです。
・辛い過去を乗り越えて、逞しく生きていくんだよ!