・2021年1月、Rchの音が出ないという故障機が届きました。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオ懐古録 YAMAHA T-2 \130,000
・オーディオの足跡 YAMAHA T-2 \130,000(1978年頃)
・Hifi Engine YAMAHA T-2 / Analogue FM Stereo Tuner (1978-83)
■動作確認------------------------------------------------------------
・外観に目立つキズは無く、状態はなかなか良いです。
・周波数窓の照明点灯、二つのメーター照明点灯、指針点灯
・僅かな周波数ズレがあるもの名古屋地区のFM局を受信OK
・残念なことにメーター指針の塗装がボロボロ。
・周波数デジタル表示、Tメーター動作OK、STEREOランプ点灯
・Sメーターの振れが小さい? でも受信音は悪くない。
・マルチパスH端子からの出力OK。
・IFバンド切替、MUTING動作、REC CALなど問題なさそう。
・問題はRchの音が出ないこと。
■修理記録:Rchの出力レベルが低い-------------------------------------
・基準音で確認するとRchの音量レベルがLchより約20dB低い状態でした。
・早速基板上の部品を確認。
・MPX回路の出口では左右の音量は正常です。
・最終AF基板(フロントエンド手前の小さめの基板)で音の流れをチェック
・調べてみると TR414(2SK68A) で音が出なくなっていました
・2SK68A の手持ち在庫が無いので代替品として特性が似ている 2SK117 に交換。
・これによって音量レベルがLchと同程度に上がりました。
・左右chの特性を揃えるためLch側の TR413 も予防交換しました。
・全体調整をやり直してセパレーション値もOKです。
■修理記録:Sメーターの振れ幅が小さい---------------------------------
・メーター調整用VR203を最大まで回しても振れ幅が小さい
・出てくる音は問題ないのでメーター回路の故障か?
・Sメーター回路の不具合を疑ってトランジスタや電解コンデンサ交換
・TR229,TR230(2SC1918) → 2SC1815
・C261(100uF/6.3v)
・C262(10uF/16v)
・C239(0.22uF/50v)
・C233(1uF/25v)
■修理記録:メーター指針再塗装----------------------------------------
・二つのメーター指針の塗装がボロボロでした。
・これはT-1やT-2で定番の劣化現象です。、
・メーターを分解して指針を再塗装しました。
・ボロボロ塗料片はカッターナイフの先端で軽く触れるだけで剥がれます。
・作業は慎重に! 誤って針を曲げたら、、一巻の終わりです。
■調整記録------------------------------------------------------------
【機能設定】
・フロントパネルスイッチ設定
・RF MODE=HI SENSITIVITY
・IF MODE=LOCAL
・AUTO BLEND=OFF
【同調点調整】
・SSGより10.7MHz注入 → T201上段コア調整 → Tメーター中点
【OSC調整】
・指針を83MHzにセット
・83MHz 変調オフ 70dB → フロントエンド OSCトリマ調整
【トラッキング調整】
・76MHz mono 1kHz 50dB → RFコイル調整 → Sメーター最大
・90MHz mono 1kHz 50dB → RFトリマ調整 → Sメーター最大
【検波歪調整】
・音声出力端子 → WaveSpectra
・83MHz mono 1kHz 60dB → T201下段コア調整 → 歪み最小
・83MHz mono 1kHz 60dB → VR203調整 → 歪み最小
【VCO調整】
・TP 19kHz に周波数カウンタ接続
・83MHz 無変調 60dB → VR204調整 → 19kHz±20Hz
【PLL調整】
・音声出力端子 → WaveSpectra
・83MHz stereo 1kHz L-R 60dB → T202調整 → Lch音声レベル最大
【ステレオ歪調整1】
・IF MODE=LOCAL
・音声出力端子 → WaveSpectra
・83MHz stereo 1kHz 60dB → VR201,CF201調整 → 歪み最小
・83MHz stereo 1kHz 60dB → VR202,CF204調整 → 歪み最小
【ステレオ歪調整2】
・IF MODE=DX
・音声出力端子 → WaveSpectra
・83MHz stereo 1kHz 60dB → CF202,CF203調整 → Sメーター最大、歪み最小
【パイロットキャンセル歪調整】
・音声出力端子 → WaveSpectra
・83MHz stereo 1kHz 60dB → VR205,T203調整 → 19kHz漏れ信号最小
【セパレーション調整】
・音声出力端子 → WaveSpectra
・83MHz stereo 1kHz 60dB → 別基板VR402調整 → セパレーション調整
・83MHz stereo 1kHz 60dB → 別基板VR401調整 → 左右同レベル
【Sメーター調整】
・83MHz 無変調 80dB → VR206調整 → Sメーター振れ調整
【REC CAL調整】
・REC CALスイッチオン → Tメーターが中点を示すことを確認
■試聴----------------------------------------------------------------
・Rchの音が出ない件は修理完了です。
・蛍光オレンジを塗ったメーター指針の視認性がとても良いです。
・見た目もイイ感じに仕上がったと思います。