・2021年1月、タイマー機能を内蔵したチューナーが届きました。
・初めて見る機種です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 Technics ST-G6T ¥49,800(1986年頃)
・オーディオ懐古録 Technics FM/AM STEREO TUNER ST-G6T ¥49,800
・Hifi Engine Technics ST-G6T AM/FM Stereo Tuner (1985-89)
■動作確認------------------------------------------------------------
・電源コードの印字「1985」
・薄型ボディと木目調サイドウッドの組み合わせが高級感を醸し出している。
・でも片手でひょいと持ち上げられるほど軽量ボディ。
・FMアンテナ端子は同軸バラ線を横向きに接続するタイプで使い難い。
・電源プラグをコンセントに接続すると表示部に「E」の文字が点灯。
・たぶん「エラー」という意味ですね。
・この状態で電源スイッチON。
・バックライトに照らされたオレンジ色の液晶表示で「76.1」MHzが出現。
・電源スイッチOFFにすると時刻表示に切り換わる。
・[UP][DOWN]ボタンの長押しでオートチューニング開始。
・電波状況に応じてIF回路を自動選択(normal/narrow)。手動切換も可能。
・signal fidelityランプ、良好な受信状態にあるとき点灯。条件不明?
・FM受信時、signal-strengthボタンを押すと電波強度dB表示に切り換わる。
・scan levelボタンを長押しすると30dB,40dB,50dBと受信レベルを選択可能
・プリセットメモリーはFM/AMランダムに16局。
・メモリーボタンは1~8しかないが、長押し操作によって9~16に登録可能。
■内部確認------------------------------------------------------------
・小さなボディの中にさらに小さな基板が2枚。電源基板とチューナー基板。
・MITSUMI製の小さなフロントエンドパック(FM4連バリキャップ)
・IF normal CF101 → IC102(AN278) → T103 → CF102 IC101(AN7274)
・IF narrow CF101 → CF103 → CF104 → IC102(AN278) → CF102 → T103 → IC101(AN7274)
・主要なICはハンダ面に実装(★印の4個)
・IC101(AN7274NS)FM IF&DET/AM CONV★
・IC102(AN278)FM-IF AMP
・IC301(AN7472S)FM MPX★
・IC302(MN4066BS)REC SELECTOR★
・IC901(uPD1714G511) PLL CONTROLLER★
・IC902(MN1219)MEMORY CONTROLLER
・調整用VRは2個だけ
・VR101 SSL(Signal Strength Level)電波強度(dB)調整
・VR301 SEPARATION
・T101 Det.
・T102 Dist.
・当時のカタログには「ツインクォーツ搭載」とあります。
・説明図を見ると10.7MHzと19kHzを制御するクォーツが2個あるように見えますが、、
・実際には X901(4.5MHz) 1個だけでした。
【ST-G4との比較】
・ひろくん様のサイト で兄弟機 ST-G4 の内部写真を確認できます。
・載っている部品が多少違うもの ST-G4とST-G6T のチューナー基板は同じようです。
・両者の違いは、、
・フロントエンドパック、IF段narrow回路の有無、キャパシタの有無、タイマー回路
・メモリ保持用のキャパシタが省略されています。
・でもオーディオ回顧録様のサイトに「停電補償:約1週間」と記載があります。
・代わりにC904(1000uF/6.3v)がバックアップしているようです。
【海外機ST-G6T = 国内機ST-G80T】
・海外機STG6Tの回路図を見ると、国内機ST-G6Tとは別物でした。
・大体の部品構成は似ているものの基板形状や配置が異なります。
・海外版ST-G6Tは日本版ST-G80Tと同じでした。
・ST-G80Tの詳細は後日報告します。
■時刻設定------------------------------------------------------------
【時刻設定方法】
・[clock] → 時計表示状態にする
・[memory] → 長押し → 約5秒後に指を離す
・時計が点滅して時刻設定状態になる
・[down] → 「時」設定
・[up] → 「分」設定
・[memory] → 時報に合わせて押す
【タイマー機能】
・once :一度限りのON/OFF設定
・everyday:毎日同時刻にON/OFFを繰り返す
・sleep :電源オフ時刻設定
■修理記録:FMアンテナ端子改造----------------------------------------
・この時期のTechnics製チューナーによくある使い難いアンテナ端子です。
・そこでF型端子が使えるように改造しました。
・同軸ケーブルの芯線を接続する端子を取り外す
・端子後の穴をリーマーで拡幅する
・F型端子を取り付ける
・土台がプラ製なので穴あけ加工は容易です。
・配線を整えて完了
■調整記録------------------------------------------------------------
【基準周波数調整】
・TP901 → 周波数カウンタ接続
・バンド切換 → AM
・AM周波数 → 1629kHz
・CT901調整 → 2079kHz ※1629kHz+450kHz (2.079MHz)
※2079kHzまで上昇しない場合 → L203調整
【VT電圧調整】
・フロントエンド横 R2(手前の足)→DC電圧計セット
・76.1MHz → 3.0v ※確認のみ
・89.9MHz → 11.0v ※確認のみ
【RF調整】
・IC101(AN7274NS)-7ピン=(TH101左足)→ DC電圧計セット ※Sメーター電圧
・83MHz受信 → L01~L03調整 → 電圧最大
・83MHz受信 → IF調整 → 電圧最大
【検波調整】
・音声出力 → Wavespectra接続
・TP101~TP102 → DC電圧計セット
・83MHz受信 → T101調整 → 電圧ゼロ
・83MHz受信 → T102調整 → 高調波歪最小
・上記作業を数回繰り返す
【SSL(Signal Strength Level)調整】
・83MHz,60dB受信 → VR101調整 → 液晶表示「54dB」
・確認:30dB受信 → 液晶表示「25dB」
・最大表示値=56dB ※おまけ程度の機能です
・Signal fidelityランプは約45dB以上の電波強度で点灯
【MPX調整】
・音声出力 → Wavespectra接続
・83MHzST受信 → VR301調整 → 左右ch漏れ信号最小
【Rec level】
・334Hz、-4.5dB ※確認のみ
【AM調整】
・ 729kHz(NHK名古屋)受信 → L202調整 → Sメーター最大
・1332kHz(東海ラジオ)受信→ CT201調整 → Sメーター最大
・1053kHz(CBCラジオ)受信 → T201調整 → Sメーター最大
■試聴------------------------------------------------------------
・薄型ボディにサイドウッド、精悍な外観は魅力的です。
・オレンジ色の液晶表示部、赤・橙のインジケーターの配置も素敵。
・BGM的な使い方なら不満はないです。