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TRiO KT-1100 修理調整記録7

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 ・2020年10月、KT-1100の故障品が届きました。
 ・以下、作業記録です。

Kt100003

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 TRIO KT-1100 ¥73,800(1982年発売)
 ・オーディオ懐古録 TRIO KT-1100 AM-FM STEREO TUNER ¥73,800
 ・Hifi Engine Kenwood KT-1100 AM/FM Stereo Tuner (1983)

Kt100002Kt100013

■動作確認------------------------------------------------------------

 ・FMアンテナを接続して電源オン。
 ・二つのメーター照明点灯、赤い指針点灯。
 ・82.5MHz(NHK-FM名古屋)を80.6MHz付近で受信。他局も-2MHz程度のズレ。
 ・手を離すとSERVO LOCKランプ点灯、続いてSTEREOランプ点灯。
 ・RF切換OK、FM BAND切換OK、MUTING動作OK、REC CALトーンOK。
 ・TメーターとSメーターの振れ方は正常だが、出てくる音に酷いノイズあり
 ・マルチパスH端子からも同じノイズが聞こえる。
 ・AM放送は受信OK。

Kt100001Kt100005Kt100006Kt100007Kt100008

■修理記録:トリマコンデンサ追加--------------------------------------

 ・下記【FM OSC調整】でフロントエンド内TC8を回しても全く変化なし。
 ・トリマコンデンサTC8が完全に容量抜けしているようです。
 ・この故障はKT-1100で頻出事例です。
 ・バリコンユニット上に青色トリマ(10pF)を外付けして対処しました。
 ・下記再調整で2MHzの周波数ズレは解消しました。

Kt100030Kt100031Kt100032Kt100033Kt100034

■修理記録:LPF(L10)交換--------------------------------------------

 ・上記修理で周波数ズレは解消しましたが、酷いノイズは消えません。
 ・原因は KT-1100修理調整記録5 と同じでした。
 ・IC4(TR4011)-7pin → 正常な音が聞こえる → つまり検波回路までは正常
 ・パルスカウント検波回路とMPX回路の間にあるL10の故障です。
 ・L10(L79-0162-05)は上から見ると「黄・白・赤」コイルが並んだLCフィルター。
 ・パーツリストには「L.P.F」と記載あります。
 ・このLPFの内蔵コンデンサーの劣化が原因と思います。
 ・今回はKT-5020の基板にあった同型部品を移植しました。
 ・ノイズが消えて正常なFM音声が聞こえてきました。

Kt100042Kt100046Kt100043Kt100044Kt100048

■調整記録------------------------------------------------------------

【FM OSC調整】
 ・83MHz受信 → フロントエンドTC8調整 → Sメーター最大
 ※OSCコイルL5の調整が難しいため83MHzのみで調整
【FM RF部調整】
 ・IF BAND NARROW
 ・83MHz受信 → フロントエンドTC1,TC2,TC4,TC6調整 → Sメーター最大
 ・83MHz受信 → フロントエンドT1調整 → Sメーター最大
 ※L1~L4の調整が難しいため83MHzのみで調整
【IF調整】
 ・IF BAND NARROW
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz → L2,L3調整 → Sメーター最大
【Tメーター調整】
 ・IF BAND NARROW
 ・83MHz受信 → Sメーター最大かつ高調波歪最小位置にて受信
 ・L4調整 → Tメーター中点
【Wide Gain調整】
 ・83MHz受信 → VR1調整 → Wide/Narrow Sメーター振れ具合を同じ位置に
【2nd OSC調整】
 ・IC4(TR4011)-1pin → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz受信 → L6調整 → 1.965MHz
【VCO調整】
 ・IC7(TR7040)付近の二つのTPを直結
 ・TP(19kHz) → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz → VR4調整 → 19kHz±10Hz
【Pilot Cancel調整】
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → VR3,L19調整 → 19kHz漏れ信号最小
【セパレーション調整/wide】
 ・IF BAND WIDE
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → VR5調整 → Lch漏れ信号最小
 ・83MHz ST → VR9調整 → Rch漏れ信号最小
【セパレーション調整/narrow】
 ・IF BAND NARROW
 ・音声出力 → WaveSpectra接続
 ・83MHz ST → VR6調整 → 漏れ信号最小
【REC CAL調整】
 ・83MHz受信 → 出力レベル測定
 ・VR2調整 → 上記レベル-6dBに設定 ※422Hz
【タッチセンサー調整】
 ・Q13エミッタ(=R197) → 周波数カウンタ接続
 ・L18調整 → 400kHz
【AM OSC調整】
 ・ 600kHz受信 → L17調整 → シグナルメーター最大
 ・1400kHz受信 → TC7調整 → シグナルメーター最大
【AM RF調整】
 ・ 600kHz受信 → L14,L15調整 → シグナルメーター最大
 ・1400kHz受信 → TC3,TC5調整 → シグナルメーター最大
【AMメーター調整】
 ・VR12 Sメーター振れ具合調整
 ・VR11 Tメーター中点調整

Kt100050

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・作業のついでにフロントパネルを分解清掃しておきました。
 ・FM/AMとも良い音で受信しています。

Kt100004

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