・2020年6月、30Tの故障機が届きました。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 Technics ST-9030T ¥80,000(1977年頃)
・hifiengine Technics ST-9030 FM Stereo Tuner (1977-81)
■動作確認------------------------------------------------------------
・FMアンテナを接続して電源オン。
・周波数窓と二つのメーターがオレンジ照明点灯。
・周波数窓の左端がちょっと暗い、電球切れかも?
・選局するとTメーター中点とSメーター最大点がほぼ一致。
・STEREOランプ点灯、MUTING動作OK。
・メーター動作だけを見るとFM放送を正常に受信している模様。
・ただし、出てくる音が激しく歪んでいる。
・固定/可変出力とも同じ。マルチパスH端子も同じ。
・Wideモードのインジケーターが点灯しない。
・シリアルナンバー AD74200017 → 1977年4月20日製造
■内部確認-------------------------------------------------------------
・本機は TP302とTP303 を短絡すると切換スイッチに関わらず強制narrowとなります。
・早速短絡してみると、、激しい雑音状況は変わらない。
・WaveSpectraで出力端子の波形を見ても変化なし。
・つまり常時Narrow回路で受信し、激しい雑音を生じている状態です。
・IF BANDの切換回路が怪しそうです。
■修理記録:2SK30A交換-------------------------------------------------
・以前の 修理調整記録5 と似たような症状なので 今回も 2SK30A が怪しい?
・T307,308:2SK30A(IF Switch) → 2SK246 新品交換 ※当たり!ノイズ解消しました
・ついでに以下3個も交換。
・TR417 (AF Muting Switch)
・TR310,311 (Separation Switch)
・最後にIC501,701:NJM4558DS の真っ黒な足を磨いておきました。
■修理記録:電球交換----------------------------------------------------
・窓照明用電球5個(6.3v/0.25A)のうち左端の1個が切れていました。
・Stereoインジケーター電球(6.3v/40mA)が切れていました。
・手持ちの中古部品の中から適合品を探して交換。
・明るさを合わせるためにWide電球も交換。
■調整記録------------------------------------------------------------
【本体設定】
・MPX hi-blend=off
・Servo tuning=off
・IF selector=auto
・TP302とTP303を短絡するとスイッチ状態に関わらず強制narrowとなる
【レシオ検波調整1】
・入力信号なし
・TP201~GND DC電圧計セット → T201(narrow緑)調整 → 電圧ゼロ
・TP101~GND DC電圧計セット → T102(wide緑)調整 → 電圧ゼロ
【OSC調整】
・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
・SSG76MHz → L8調整 → Sメーター最大
・SSG90MHz → CT8調整 → Sメーター最大
【RF調整】
・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
・SSG76MHz → L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7調整 → Sメーター最大
・SSG90MHz → CT1,CT2,CT3,CT4,CT5,CT6,CT7調整 → Sメーター最大
・SSG83MHz → T1調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整2】
・入力信号なし
・TP101~GND DC電圧計セット → T102(wide緑)調整 → 電圧ゼロ
・TP201~GND DC電圧計セット → T201(narrow緑)調整 → 電圧ゼロ
【出力レベル調整】wide
・IF selector=wide
・音声出力端子にAC電圧計セット
・SSG83MHz 400Hz 100% → VR504調整 → 1.4v
【モノラル歪調整】
・音声出力をWaveSpectraで観測
・IF selector=wide
・SSG83MHz 1kHz 100% → T102(wide赤)調整 → 歪最小
・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
・SSG83MHz 1kHz 100%変調 → T201(wide赤)調整 → 歪最小
【出力レベル調整】narrow
・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
・音声出力端子にAC電圧計セット
・SSG83MHz 400Hz 100% → VR503調整 → 1.4v
【ミューティング調整】
・Servo tuning=auto
・TP102~GND DC電圧計セット
・SSG83MHz 1kHz → T202,T203調整 → 電圧最大
・SSG83MHz 1kHz 60dB → VR402調整 → 同調を外したとき局間ノイズが消える位置へ
・SSG83MHz 1kHz 20dB → VR401調整 → ミューティング作動位置へ
【Sメーター調整】
・SSG83MHz 1kHz 100% → VR501調整 → Sメーター指針
【VCO調整】
・TP601 周波数カウンタ接続
・SSG83MHz無変調 → VR602調整 → 19kHz±30Hz
【左右レベル調整】
・SSG83MHz 1kHz ST変調 → VR702調整 → 左右chのレベルを同じ
【パイロットキャンセル調整】
・音声出力をWaveSpectraで観測
・SSG83MHz 1kHz ST変調 → VR601,L601,L602調整 → パイロット信号(19kHz)最小
【サブキャリアキャンセル調整】
・SSG83MHz 1kHz ST変調 → CT701調整 → サブキャリア信号(38kHz)最小
【セパレーション調整】
・音声出力をWaveSpectraで観測
・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR701調整 → 漏れ信号最小
・TP302~TP303短絡(強制narrowモード)
・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR703調整 → 漏れ信号最小
【ハイブレンド調整】
・音声出力端子にAC電圧計セット
・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR502調整 → 左右レベルを確認
・MPX high-blend=on
・SSG83MHz 1kHz L/R信号 → VR502調整 → 左右レベル同一
【Auto IF セレクター調整】
・TP101 200kHz正弦波注入
・TP301 オシロスコープ接続 → T302調整 → 200kHz波形最大
・TP101 300kHz正弦波注入
・TP301 オシロスコープ接続 → T301調整 → 300kHz波形最大
・上記作業を数回繰り返す
■試聴----------------------------------------------------------------
・30Tで使われている 2SK30A はいよいよ寿命です。
・今回は 2SK246 に交換しましたが 2SK170 でも良さそうです。