・2020年2月初め、シャンパンゴールドのST-S5ESが届きました。
・今となっては貴重なAM-STEREO対応機です。
・さて、どこが悪いのか、、
■製品情報-------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 SONY ST-SA5ES ¥55,000(1995年発売)
■動作確認-------------------------------------------------------------
・持ち上げると意外に重い印象(重量6kg)
・外観はとても綺麗です。
・表示部は333シリーズと共通部品ですね。明るくて劣化は無さそう。
・アンテナA端子で名古屋地区のFM局を受信。
・オート選局で主な放送局を受信しました。
・STEREOランプ点灯、実際のステレオ感もあり。
・RF切換、IF BAND切換、REC CALトーン OK。
・PURE CIRCUITインジケーターは正常に点灯します。
・ただ受信感度があまり良くないです。
・微弱電波の放送局を受信しているような音がします。
・付属のAMループアンテナで名古屋地区のAM局を受信。
・中部日本放送(CBCラジオ)を受信するとSTEREOランプが点灯します。
・AMは問題なさそうです。
・問題点はFMの受信感度低下。
■内部確認-------------------------------------------------------------
・電源コードの印字 1996
・天板はゴールド塗装の鉄板、左右の側板はアルミ製。
・選局つまみを外してみるとアルミ無垢材でずっしり重い。
・内部を見るとグレードの高そうな電解コンデンサーが目立ちます。
・これはST-S333ESJの回路と同じです。
・部品の配置と部品番号も全く同じです。
・内部配線の結束バンドがすべて外れていました。
・本機の底面には点検口が無いので、ハンダ面を見るには基板を分解する必要あり。
・たぶん基板を外した先人がいたようです。
・分解してIC601(uPD75116H)とIC401(MC13022DW)を確認しました。
・メモリ保持用キャパシタが交換されているような?
■調整記録-------------------------------------------------------------
【FM同調点調整】
・IF BAND = WIDE
・IC251(LA1235)7pin~10pin間電圧計セット
・83MHz受信 → IFT251調整 → 電圧ゼロ ※調整前実測-420mV
【VT電圧調整】
・フロントエンド内JW8 電圧計セット
・アンテナ入力なし
・90MHz → L104調整 → 21.0V±0.2V ※調整前実測20.8V
・76MHz → 確認のみ → 8.0V±1.0V ※調整前実測 7.8V
【トラッキング調整】
・IF BAND = NARROW
・IC251(LA1235) 13pin(又はR261右足)電圧計セット
・90MHz受信 → CT101,CT102,CT103 → 電圧最大
・76MHz受信 → L101,L102,L103 → 電圧最大
【PLL検波調整】
・IF BAND = WIDE
・TP201を短絡 ※これによってIF回路をバイパス
・TP271 電圧計セット
・IFT272調整 → 電圧ゼロ ※調整前実測-242mV
・CT271調整 → 歪最小 ※WaveSpectraにて波形確認
・TP201を開放
【Narrow Gain調整】
・IF BAND = WIDE
・IC251(LA1235) 13pin(又はR261右足)電圧計セット
・83MHz,60dB受信 → 電圧記録
・IF BAND = NARROW
・83MHz,60dB受信 → RV203調整 → 同じ電圧に
【IF歪調整】
・IF BAND = WIDE
・MUTING = OFF
・IC251(LA1235) 13pin(又はR261右足)電圧計セット
・RV201、RV202 時計回り一杯に回す
・SSG出力40dBモノラル信号送信
・IFT201調整 → 電圧最大
・SSG出力40dBステレオ信号送信
・IFT202調整 → 電圧最大
・IFT101調整 → 電圧最大 ※IFT101フロントエンド内
・RV201、RV202 回転範囲の中央位置に回す
・SSG出力80dBモノラル信号送信
・IFT203調整 → 歪最小へ
・SSG出力80dBステレオ信号送信
・IFT204調整 → 歪最小へ
【STEREOインジケータ調整】
・IF BAND = WIDE
・MUTING = OFF
・SSG83MHz 出力20dB
・RV251調整 → ステレオインジケータ点灯
【MUTINGレベル調整】
・IF BAND = WIDE
・MUTING = ON
・SSG83MHz 出力25dB
・RV252調整 → MUTING調整
・IF BAND = NARROW
・RV203調整 → MUTING調整
【Sメーター調整】
・RV241調整
【パイロットキャンセル】
・RV303、L301 19kHz信号漏れ最小 左右バランス確認
【セパレーション調整】
・RV301 R→L ※調整後実測56dB
・RV302 L→R ※調整後実測58dB
【CAL TONE】
・Peak Level-4.6dB 439Hzの波形が出ていました。
【AM調整】
・RV401 Sメーター調整
・RV402 AUTOSTOP調整
・CBCラジオ(1053kHz)受信でSTEREOランプ点灯確認
■調査記録:PURE CURCUIT インジケーター--------------------------------
・PURE CURCUITインジケーターは選局ツマミ左上にある小さな橙色LEDです。
・仕様では電源投入後、または何らかのボタンを操作後約2秒で点灯することになっています。
・これはデジタル回路が停止し、アナログ回路だけに切り換わったことを示します。
・取扱説明書には「インバーター式蛍光灯の近くでは点滅することがある」と記載あります。
・333ESG,ESA,ESJにも同じインジケーターがありますが、取付位置が変わっています。
・IC601(uPD75116H)-37pin → Q701(2SC3399) → D701(LED)
・IC601-37pin出力がインジケーターLEDに繋がっているだけです。
・IC601内部でどのような処理が行われているか?仕組みは分かりません。
■試聴-----------------------------------------------------------------
・故障箇所は無く、再調整によって復活しました。
・特にRF調整によって受信感度が大幅に改善しました。
・中身はST-S333ESJと同じでも外観の印象がかなり違いますね。
・シャンパンゴールドに輝くフロントマスクが精悍な印象です。
・1995年製、25年も前の製品とは思えないです。