・2019年5月初め、ヤフオクで格安ジャンク品のTX-910を入手しました。
・見るからにボロボロの状態でしたが、手持ちのTX-710と合体復活できるかも??
・以下、GWから夏休みまでの作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 PIONEER TX-910 ¥75,000(1973年頃)
・オーディオ懐古録 PIONEER TX-910 ¥70,000(発売時)、¥75,000(1941年)
・Hifi Engine Pioneer TX-9100 AM/FM Stereo Tuner (1973-75)
■動作確認------------------------------------------------------------
・全体にヤニ汚れ、ホコリを被ってかなり汚れた状態。
・スイッチツマミが1個欠損。背面パネルを固定するネジが茶色く錆びている。
・フロントパネルに目立つキズは無いが全体に茶色っぽいヤニ汚れ。
・ウッドケースはヤニがしみ込んで光沢感ある飴色状態、、これは気持ち悪い、、
・一般的には粗大ゴミと呼ばれるレベルかもしれません。、
・電源オン、照明窓の青色照明と指針やポジションランプが明滅する??
・それとボディ内部から異音(ジーーーという音)が聞こえる、、
・これはヤバい、、急いで電源オフ、電源プラグを抜く。
・まずは電源周りの調査から始めましょう。
■修理記録:電源スイッチ----------------------------------------------
・底板を外し、電源基板が見える状態で慎重に電源オン。
・青色照明が明滅、指針やポジションランプも明滅。
・ジーという異音の発生源を探ってみると、何と電源スイッチでした。
・スイッチ内部から異音が聞こえます。
・電源スイッチの内部接点が接触不良を起こしているようです。
・部品取り用TX-710の電源スイッチを移植しようとしたところ、何と形状が違って移植不可。
・スイッチを分解清掃しようと試みましたが、、分解が難しそうです。
・仕方ないのでON/OFF動作を100回くらい繰り返したところで通電してみると、、
・接点が復活したらしく照明電球の明滅現象が解消しました。
・異音も消えて動作しているので、とりあえずこのままとします。
■動作確認2----------------------------------------------------------
・動作確認再開。
・名古屋地区のFM局を受信OK。わずかに周波数ズレ。
・Tメーター中点とSメーター最大点が一致しない。
・Sメーター最大点から大きくズレた位置でSTEREOランプ点灯。
・MUTING動作OK。
・背面バーアンテナで名古屋地区のAM局を受信。
・AM受信は問題なさそう。
・固定/可変出力端子から音出しOK、しかしLchの音がちょっと小さめ。
・ヘッドホン端子の音出しOK。
・外観の酷さに比べれば動作状況は上出来な感じです。
■内部確認------------------------------------------------------------
・外観は酷いヤニ汚れですがシールドケースの効果で基板と部品はキレイな状態。
・フロントエンドのシールドケースはハンダ付けされておらず、簡単に外せました。
・CF×2 → TA7060P×2 → CF×2 → TA7060P → TA7061AP → レシオ検波
・IF BAND切替(Wide/Narrow)なし
・PA1310P(MC1310P):PLL-MPX IC
・HA1138:AM Tuner
■調整記録------------------------------------------------------------
【レシオ検波調整】
・アンテナ入力なし → T4上段コア調整 → Tメーター中点
・83MHz → → T4下段コア調整 → 歪率最小
【OSC調整】(フロントエンド底面から)
・IF基板17番端子 → DC電圧計セット(Sメーター電圧)
・76MHz → T5調整 → 電圧最大
・90MHz → TC5調整 → 電圧最大
【RF調整】(フロントエンド底面から)
・IF基板17番端子 → DC電圧計セット(Sメーター電圧)
・76MHz → T1,T2,T3,T4調整 → 電圧最大
・90MHz → TC1,TC2,TC3,TC4調整 → 電圧最大
・83MHz → T6調整 → 電圧最大
【ミューティング調整】
・83MHz 70dB → VR3調整 → MUTING作動点をTメーターで左右対称
・Muting スイッチ1
・83MHz 20dB → VR4調整 → MUTING作動位置
・Muting スイッチ2
・83MHz 35dB → VR6調整 → MUTING作動位置
【Sメーター調整】
・83MHz → VR5調整 → Sメーター最大振れ
【VCO調整】
・MPX基板 2番端子=(PA1310-10pin)→ 周波数カウンタ接続
・83MHz ST信号 → VR1調整 → 19kHz
【セパレーション調整】
・音声出力 → WaveSpectra接続
・83MHz ST信号 → VR2調整 → 反対chへの漏れ信号最小
【AM OSC調整】
・IF基板 14番端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
・ 600kHz受信 → T2調整 → 電圧最大
・1400kHz受信 → TC3調整 → 電圧最大
【AM RF調整】
・IF基板 14番端子 → 電圧計セット(Sメーター電圧)
・ 600kHz受信 → T1,バーアンテナ内コイル調整 → 電圧最大
・1400kHz受信 → TC1,TC2調整 → 電圧最大
※AM VR1:GAIN CONTROL
※AM VR2:OUTPUT LEVEL CONTROL
※AMのVR1、VR2の調整方法が相変わらず分かりません?
■修理記録:MPX基板LPF交換--------------------------------------------
・上記調整後もやはりLchの音量が小さい。
・音の経路に沿ってMPX基板を調べてみると、
・F2:LPF(赤い箱型の部品) 直前までは左右chとも正常。
・LPF直後からLch側の音量が小さくなります。
・これはLPFの故障が原因でしょう。
・部品取り機TX-710のMPX基板を見ると、TX-910とは全く異なる形式です。
・でも最終オーディオ回路には同じ型番のLPFが載っていました。
・これを外してTX-910に移植、これにて解決。
・適当なLPFを自作しようかとも思いましたが、オリジナル状態がキープできました。
■修理記録:外観の仕上げ----------------------------------------------
・フロントパネルとリアパネルのヤニ汚れを徹底的に洗浄。
・部品取り機TX-710の綺麗なパーツ、ネジ類をすべてTX-910に移植。
・フロントパネルの銀色フレーム、スイッチノブ
・背面パネルのアンテナ端子基板、マルチパス端子基板、音声出力端子基板
・ウッドケース、底板
・各部を留める黒色ネジ、銀色ネジなど
・使えるパーツはすべて移植してTX-710は廃棄処分
■試聴----------------------------------------------------------------
・ちょっと時間がかかりましたが、満足できる綺麗なTX-910に仕上がりました。
・この時期のパイオニア製チューナーは青色照明が絶品です。
・ウッドケースに包まれて優しく浮かび上がる青い照明窓、、
・橙色の輝く指針と赤いSTEREOランプが絶妙なアクセント。
・薄暗い部屋でボーっと眺めているだけで幸せな気分に浸れます。