・2017年8月、KT-2200の故障品を寄付していただきました。
・外観は KT-1100 とソックリ、でも中身は KENWOOD L-03T と同じ。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオ回顧録 TRiO KT-2200
・オーディオの足跡 TRiO KT-2200 ¥99,800円(1983年頃)
・KT-2200 取扱説明書 PDF形式
■動作確認------------------------------------------------------------
<ご指摘の不具合状況>
・周波数ズレ大きい
・低い周波数の時にステレオランプが点灯したりしなかったり
・点灯してもステレオにならない
<確認事項>
・とてもキレイな個体で、フロント・ボディともキズはほぼ見当たらない。
・電源オン。二つのメーター照明点灯。赤い指針点灯。
・RF DISTANCEで名古屋地区のFM放送を受信OK。
・同調後にチューニングつまみから指を離すとサーボロックランプ点灯。
・+0.2MHzほどの周波数ズレ。IF BAND切替OK。
・ご指摘通りSTEREOランプが点灯しない。
・聴感上もステレオ感がない。
・RF DIRECTにするとSメーターの振れが弱くなるがFM局受信はOK。
・Sメーター最大点とTメーター中点が一致しない。
・REC CAL音OK。SメーターとDEVIATIONメーターの切替OK。
・MUTING動作OK。スライド式VRでMUTINGレベル可変OK。
・固定/可変出力OK。可変VRにガリなし。マルチパスH端子からも音声確認。
・インジケーター類すべて点灯。基本動作OK。
・問題はSTEREOランプが点灯しないこと。
■内部確認------------------------------------------------------------
・FM5連AM3連バリコン搭載。※AMバリコンは未使用
・IF段に多くのコイルが並んでいます。
・TR7040:MPX-IC KT-1100にも同じICが使われている。
■調整記録------------------------------------------------------------
【機器の設定】
・RF=DISTANCE
・サーボロック OFF
【IF VCO6.2MHz調整】
・TP=IC2 JRC1496 8ピン(R16右側)周波数カウンタ接続
・83MHz 無変調 90dB Sメーター最大位置で受信 → L20調整 → 6.2MHz
【検波調整1】
・IF BAND=NARROW
・83MHz 無変調 90dB Sメーター最大位置で受信 → L26調整 → Tメーター中点
【フロントエンドOSC調整】
・IF BAND=NARROW
・83MHz 無変調 90dB 受信 → OSCトリマ調整 → ダイヤル指針83MHz
※コイル調整は難度高いのでノータッチ
【フロントエンドRF調整】
・IF BAND=NARROW
・83MHz 無変調 50dB 受信 → RFトリマ3個調整 → Sメーター最大
・83MHz 無変調 50dB 受信 → T1調整 → Sメーター最大
※コイル調整は難度高いのでノータッチ
【検波調整2】
・IF BAND=WIDE
・83MHz 1kHz 60dB受信 → Tメーター中点確認
・83MHz 1kHz 60dB受信 → L25調整 → 高調波歪最小
・83MHz 1kHz 60dB受信 → VR2調整 → 高調波歪最小
【IF WIDE調整】
・IF BAND=WIDE
・オーディオ出力をWavespectraで観測
・83MHz MONO 1kHz 60dB 受信 → L4,L5,L6,L7,L8,L9,L10,L11,L12調整
→ Sメーター最大 かつ高調波歪最小
【IF WIDE調整】
・IF BAND=WIDE
・オーディオ出力をWavespectraで観測
・83MHz ST 1kHz 60dB 受信 → L16,L17,L18調整 → 高調波歪最小
【IF NARROW調整】
・IF BAND=NARROW
・オーディオ出力をWavespectraで観測
・83MHz 1kHz 60dB 受信 → L14,L15調整 → 高調波歪最小
【NARROW GAIN調整】
・IF BAND=WIDE
・83MHz 無変調 40dB 受信 → Sメーター目盛り記録
・IF BAND=NARROW
・83MHz 無変調 40dB 受信 → VR1調整→ Sメーター目盛りWIDE時と同じ
【VCOフリーラン周波数調整】
・IF BAND=WIDE
・TP R163上側に周波数カウンタ接続
・無信号 → VR6調整 → 152kHz±100Hz
【パイロット信号キャンセル調整】
・IF BAND=WIDE
・オーディオ出力をWavespectraで観測
・83MHz パイロット信号 60dB 受信 → VR5調整 → 19kHz最小
・83MHz パイロット信号 60dB 受信 → L37調整 → 19kHz最小
・左右バランスに注意
【セパレーションWIDE調整】
・IF BAND=WIDE
・83MHz ST 1KHz 80dB 受信 → VR7調整 → Lch漏れ最小
・83MHz ST 1KHz 80dB 受信 → VR8調整 → Rch漏れ最小
【セパレーションNARROW調整】
・IF BAND=NARROW
・83MHz ST 1KHz 80dB 受信 → VR9調整 → L/Rch漏れ最小
【Sメーター調整】
・IF BAND=WIDE
・83MHz 無変調 60dB 受信 → VR3調整 → Sメーター目盛り4.25
【DEVIATION調整】
・IF BAND=WIDE
・83MHz MONO 1kHz 60dB 受信 → VR4調整 → Dメーター目盛り100%
<調整結果>
・部品の故障はなかったです。
・VCO調整によってSTEREOランプが点灯しステレオ受信できました。
■試聴----------------------------------------------------------------
・発売当時、このフロントマスクはずいぶん斬新なデザインだと思いました。
・美しい照明窓は無いけれど、バリコンチューナーの未来形という感じでした。
・ただ、残念ながらバリコンチューナーに未来は無かった、、