Quantcast
Channel: BLUESS Laboratory
Viewing all articles
Browse latest Browse all 568

TRiO KT-2200 修理調整記録2

$
0
0

 ・2017年8月、KT-2200の故障品を寄付していただきました。
 ・外観は KT-1100 とソックリ、でも中身は KENWOOD L-03T と同じ。
 ・以下、作業記録です。

Kt220008

■製品情報------------------------------------------------------------

 ・オーディオ回顧録 TRiO KT-2200
 ・オーディオの足跡 TRiO KT-2200 ¥99,800円(1983年頃)
 ・KT-2200 取扱説明書 PDF形式

Kt220002Kt220010

■動作確認------------------------------------------------------------

<ご指摘の不具合状況>
 ・周波数ズレ大きい
 ・低い周波数の時にステレオランプが点灯したりしなかったり
 ・点灯してもステレオにならない

<確認事項>
 ・とてもキレイな個体で、フロント・ボディともキズはほぼ見当たらない。
 ・電源オン。二つのメーター照明点灯。赤い指針点灯。
 ・RF DISTANCEで名古屋地区のFM放送を受信OK。
 ・同調後にチューニングつまみから指を離すとサーボロックランプ点灯。
 ・+0.2MHzほどの周波数ズレ。IF BAND切替OK。
 ・ご指摘通りSTEREOランプが点灯しない。
 ・聴感上もステレオ感がない。
 ・RF DIRECTにするとSメーターの振れが弱くなるがFM局受信はOK。
 ・Sメーター最大点とTメーター中点が一致しない。
 ・REC CAL音OK。SメーターとDEVIATIONメーターの切替OK。
 ・MUTING動作OK。スライド式VRでMUTINGレベル可変OK。
 ・固定/可変出力OK。可変VRにガリなし。マルチパスH端子からも音声確認。
 ・インジケーター類すべて点灯。基本動作OK。
 ・問題はSTEREOランプが点灯しないこと。

Kt220003Kt220004Kt220005Kt220006Kt220007
Kt220001Kt220011Kt220012Kt220013Kt220014

■内部確認------------------------------------------------------------

 ・FM5連AM3連バリコン搭載。※AMバリコンは未使用
 ・IF段に多くのコイルが並んでいます。
 ・TR7040:MPX-IC KT-1100にも同じICが使われている。

Kt220020Kt220021Kt220022Kt220023Kt220024
Kt220025Kt220026Kt220027Kt220028Kt2200291

■調整記録------------------------------------------------------------

【機器の設定】
 ・RF=DISTANCE
 ・サーボロック OFF
【IF VCO6.2MHz調整】
 ・TP=IC2 JRC1496 8ピン(R16右側)周波数カウンタ接続
 ・83MHz 無変調 90dB Sメーター最大位置で受信 → L20調整 → 6.2MHz
【検波調整1】
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz 無変調 90dB Sメーター最大位置で受信 → L26調整 → Tメーター中点
【フロントエンドOSC調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz 無変調 90dB 受信 → OSCトリマ調整 → ダイヤル指針83MHz
  ※コイル調整は難度高いのでノータッチ
【フロントエンドRF調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz 無変調 50dB 受信 → RFトリマ3個調整 → Sメーター最大
 ・83MHz 無変調 50dB 受信 → T1調整 → Sメーター最大
  ※コイル調整は難度高いのでノータッチ
【検波調整2】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz 1kHz 60dB受信 → Tメーター中点確認
 ・83MHz 1kHz 60dB受信 → L25調整 → 高調波歪最小
 ・83MHz 1kHz 60dB受信 → VR2調整 → 高調波歪最小
【IF WIDE調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・オーディオ出力をWavespectraで観測
 ・83MHz MONO 1kHz 60dB 受信 → L4,L5,L6,L7,L8,L9,L10,L11,L12調整
    → Sメーター最大 かつ高調波歪最小
【IF WIDE調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・オーディオ出力をWavespectraで観測
 ・83MHz ST 1kHz 60dB 受信 → L16,L17,L18調整 → 高調波歪最小
【IF NARROW調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・オーディオ出力をWavespectraで観測
 ・83MHz 1kHz 60dB 受信 → L14,L15調整 → 高調波歪最小
【NARROW GAIN調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz 無変調 40dB 受信 → Sメーター目盛り記録
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz 無変調 40dB 受信 → VR1調整→ Sメーター目盛りWIDE時と同じ
【VCOフリーラン周波数調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・TP R163上側に周波数カウンタ接続
 ・無信号 → VR6調整 → 152kHz±100Hz
【パイロット信号キャンセル調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・オーディオ出力をWavespectraで観測
 ・83MHz パイロット信号 60dB 受信 → VR5調整 → 19kHz最小
 ・83MHz パイロット信号 60dB 受信 → L37調整 → 19kHz最小
 ・左右バランスに注意
【セパレーションWIDE調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz ST 1KHz 80dB 受信 → VR7調整 → Lch漏れ最小
 ・83MHz ST 1KHz 80dB 受信 → VR8調整 → Rch漏れ最小
【セパレーションNARROW調整】
 ・IF BAND=NARROW
 ・83MHz ST 1KHz 80dB 受信 → VR9調整 → L/Rch漏れ最小
【Sメーター調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz 無変調 60dB 受信 → VR3調整 → Sメーター目盛り4.25
【DEVIATION調整】
 ・IF BAND=WIDE
 ・83MHz MONO 1kHz 60dB 受信 → VR4調整 → Dメーター目盛り100%

Kt2200algn

<調整結果>
 ・部品の故障はなかったです。
 ・VCO調整によってSTEREOランプが点灯しステレオ受信できました。

■試聴----------------------------------------------------------------

 ・発売当時、このフロントマスクはずいぶん斬新なデザインだと思いました。
 ・美しい照明窓は無いけれど、バリコンチューナーの未来形という感じでした。
 ・ただ、残念ながらバリコンチューナーに未来は無かった、、

Kt220009


Viewing all articles
Browse latest Browse all 568

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>