・2017年7月初め、D-3300Tの実験機が届きました。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオ懐古録 KENWOOD D-3300T ¥140,000円(1986年)
・オーディオの足跡 KENWOOD D-3300T ¥140,000円(1986年発売)
・Tuner Information Center (T.I.C) KT-3300D(1987年 $525)※回路図あり
・取扱説明書 (国内版)PDF
■動作確認------------------------------------------------------------
・フロントパネル、ボディ、サイドウッドとも目立つキズはない。
・ただ、ボディの継ぎ目やボタン周囲に白い粉状の付着物が多数あってかなり目立つ。
・この白い物は多分ボディを磨いたコンパウンドの残骸でしょう。
・背面パネルに印字された文字も一部消えている。
・アンテナ端子A に同軸ケーブルを接続して電源オン。
・表示部が明るく点灯。照度の劣化や文字痩せは感じない。
・名古屋の地元FM局を受信しながら点検スタート。
・上り方向のオートチューニングでは-0.1MHzの周波数で放送局を受信。
・下り方向のオートチューニングでは本来の周波数で放送局を受信。
・受信した状態でSTEREOランプ点灯、実際のステレオ感あり。
・RF(LOCAL/DISTANCE)切換OK。IF BAND(WIDE/NARROW)切換OK。
・Modulationバーグラフ点灯OK。REC CAL信号OK。
・問題はFM同調点のズレ。他は特に異常無さそうです。
■内部確認------------------------------------------------------------
■調整記録------------------------------------------------------------
【本体設定】
・IF BAND:WIDE
・RF SELECTOR:DISTANCE
・QUIETING CONTROL:NORMAL
※(X86),(X05),(X13):基板番号
【VT電圧】
・TP6~TP7 DC電圧計セット
・アンテナ入力なし
・76MHz → L5(X05-)調整 → 3.0V±0.1V ※実測 3.2V
・90MHz → TC5(X05-)調整 →25.0V±0.1V ※実測25.8V
【検波調整】
・TP10~TP11 DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dBu)受信 → L12(X86-)調整 → 0.0V±10mV ※実測-0.51V
・TP16~TP17 DC電圧計セット
・83MHz(無変調,80dBu)受信 → L9 (X86-)調整 → 0.0V±10mV ※実測+0.48V
【RF調整】
・Multipath V端子 DC電圧計セット
・76MHz(1kHz,100%変調,40dBu)→ L1~4 (X05-)調整 → 電圧最大
・90MHz(1kHz,100%変調,40dBu)→ TC1~4(X05-)調整 → 電圧最大
【IFT調整】
・Multipath V端子 DC電圧計セット
・83MHz(1kHz,100%変調,30dBu)→ L10,L11,L22(X05-)調整 → 電圧最大
・83MHz(1kHz,100%変調,30dBu)→ L11(X86-)調整 → 電圧最大
【AUTO STOP調整】
・83MHz(19kHz信号,10%変調,14dBu)→ VR1(X86-)調整 → STEREOインジケータ点灯
【SIGNAL METER調整】
・(X13-)電源スイッチ後方の小さな基板
・83MHz(無変調,43dBu)→ VR3(X13)調整 → 7番目のドット(最上段)点灯
【TUNING METER調整】
・SELECTOR:MONO
・83MHz(10Hz,100%変調,80dBf) → VR2(X13)調整 → ※
※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【MPX VCO調整】
・TP15に周波数カウンタ接続
・83MHz(無変調,80dBf) → VR5(X05-)調整 → 76.00kHz±50Hz
【PILOT CANCEL調整1】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dBu)→ VR1(X05-)調整 → 19kHz信号最小
・左右chのバランス確認
【PILOT CANCEL調整2】
・83MHz(19kHz信号,10%変調,80dBu)→ L20(X05-)調整 → 19kHz信号最小
・左右chのバランス確認
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz(SUB信号,1kHz,90%変調+19kHz信号,10%変調,80dBu)→
→ L19(X05-)調整 → Lchレベル最大
【歪調整1 DLLD】
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dBu)→ VR3(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整2 MONO】
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dBu)→ VR4(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整3 MONO】
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dBu)→ VR6(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整4 STEREO】
・83MHz(L信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR5(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整5 STEREO】
・83MHz(SUB信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR7(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整6】
・83MHz(MAIN信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR8(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整7】
・83MHz(L信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR9(X86-)調整 → 歪率最小
【歪調整8 NARROW】
・83MHz(MAIN信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR2(X86-)調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整1 L】
・83MHz(R信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR4(X05-)調整 → Lchもれ最小
【SEPARATION調整2 R】
・83MHz(L信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR3(X05-)調整 → Rchもれ最小
【SEPARATION調整3 NARROW】
・IF BAND:NARROW
・83MHz(R信号,1kHz,90%変調+19kHz信号10%変調,80dBu)→ VR2(X05-)調整 → もれ最小
【DEVIATION調整】
・REC CAL オン → VR4(X13)調整 → 左から4番目のドットが点灯する位置
■試聴----------------------------------------------------------------
・FM同調点が大幅にズレていましたが、再調整によって解消しました。
・気持ちよく動作しています。
・コンパウンドの白い残骸は丁寧に除去しました。
・外観も随分よくなったと思います。
■AN7418S-------------------------------------------------------------
・今回のD-3300Tは再調整によって無事に復活しました。
・実はD-3300Tの故障機があと2台手元にあります。
・2台共通の故障箇所は基板裏面に実装された AN7418S です。
・D-3300TのMPX回路はDDP(ダイレクト・ピュア・デコーダー)方式を採用しています。
・AN7418Sはこの方式の要となる38kHz方形波を生成しています。
・後段のステレオ分離回路によって高品位な音声出力を得ています。
・AN7418SはKT-3030でも使われています。
・交換用のAN7418S新品または代用品を探していますが見つからない状況です。