・2017年1月、サンスイ製TU-5900の故障機が届きました。
・照明は綺麗に点灯しますが音声端子から音が出ない状態です。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 SANSUI TU-5900 ¥46,500(1976年頃)
・Hifi Engine Sansui TU-5900 Stereo AM/FM Tuner (1975-77)※サービスマニュアル
■動作確認------------------------------------------------------------
・TU-5900は初めて触れる機種です。
・正面から見ると普通のコンポサイズ、でも奥行きが約25cmでとてもコンパクト。
・小型ボディながら重量6.4kg、持ち上げるとズッシリ感あり。
・FMアンテナを接続して電源オン。周波数窓がオレンジ色の照明に浮かび上がります。
・照明の感じはTU-707に似た雰囲気ですね。
・選局ツマミを回すと名古屋地区のFM局周波数辺りでSメーターとTメーターが大きく振れる。
・STEREOランプ点灯が赤く点灯。これはFM放送を受信しているようです。
・でも、OUTPUT端子からは音が出ない。RECOUT端子からも音が出ない。局間ノイズも出ない。
・MUTINGスイッチをオフにしても音が出ない。局間ノイズも出ない。
・モード切替でSTEREO/MONOに切り替えても音が出ない。
・試しにDISCRIMINATOR OUTPUT端子を確認するとここからは音が出ている。
・DISCRIMINATOR OUTPUT端子からはFM検波出力が出ているので検波回路までは正常。
・さらにステレオランプも点灯するのでMPX回路も大丈夫そう。
・ということは、怪しいのはミューティング回路か?
・引き出し式の背面バーアンテナで名古屋地区のAM放送を受信。
・AMは特に問題なさそう。
■内部確認------------------------------------------------------------
・FM3連、AM2連バリコン搭載フロントエンド ※トリマ、コイルとも調整可
・IF BAND切替なし セラミックフィルタ×3段
・HA1137 クアドラチュア検波
・HA1196 PLL MPX IC
・HA1151 AM TUNER
・VR01:実装なし
・VR02:FM Sメーター調整
・VR03:Mutingレベル調整
・VR04:セパレーション調整
・VR05:VCO調整
・VR06:AM Sメーター調整
【備忘録】特殊形状の照明電球発見!
・TRIO KT-9007、KT-7007、SANSUI TU-717
■修理記録------------------------------------------------------------
・海外版回路図でミューティング回路の各部電圧確認。
・TR08:2SC711 が死んでいました。
・ミューティング回路のTR06、07、C56もついでに交換しました。
・2SC711:TR06,TR07,TR08 → 2SC1815 交換 ※足配列注意 BCE→ECB
・2SA726:TR09 → 2SA1015 交換 ※足配列注意 BCE→ECB
・C56:1uF/50V → 1uF/50V 交換
・ミューティングが解除されて音が出てきました。
■調整記録------------------------------------------------------------
・海外版サービスマニュアルを参考にしました。
・FM Antenna Attenuator : out
・MPX Noise Canceller : out
・FM Muting : off
・Output Level : max
・Output出力をWaveSpectraで観察
【Tメーター中点】
・放送局が何もない位置 → T02調整 → Tメーター中点
【FM OSC調整】
・HA1137-13pin 電圧計セット(Sメーター電圧)
・指針76MHz位置にセット
・SSG76MHz送信 → L03調整 → Sメーター電圧最大
・指針90MHz位置にセット
・SSG90MHz送信 → TC03調整 → Sメーター電圧最大
※Tメーター中点が多少ズレても気にしない。
【FM RF調整】
・HA1137-13pin 電圧計セット(Sメーター電圧)
・SSG76MHz送信 → L01,L02調整 → Sメーター電圧最大
・SSG90MHz送信 → TC01,TC02調整 → Sメーター電圧最大
【FM IFT調整】
・SSG83MHz送信 → T01調整 → Sメーター電圧最大
【クアドラチュア検波調整】
・SSG83MHz送信 → T02調整 → Tメーター中点
・SSG83MHz送信 → T03調整 → 高調波歪最小
【ミューティング調整】
・SSG83MHz 20dB → VR03調整 → ミューティング作動位置へ
【Sメーター調整】
・SSG83MHz 80dB → VR02調整 → Sメーター振れ調整
【VCO調整】
・TP05 周波数カウンタ接続
・SSG 83MHz 無変調 → VR05調整 → 76kHz
【セパレーション調整】
・SSG83MHz ST信号送信 → VR04調整 → Lch/Rch 漏れ信号最小
【STEREO歪調整】
・WaveSpedtraで観察
・SSG83MHz送信 → T01調整 → 歪率最小
【AM OSC調整】
・729kHz TC05調整
・1332kHz T04調整
【AM RF調整】
・729kHzTC04
・1332kHzアンテナバー調整
【Sメーター調整】
・VR05調整 → Sメーター振れ調整
■修理記録------------------------------------------------------------
・HA1196周辺の電解コンデンサー劣化が気になったので交換しました。
・C33,CX39,C52,C53:10uF/16v → 10uF/25v
・C35,C37:0.47uF/50v → 0.47uF/50v
・C40:0.22uF/35v → 0.22uF/50v
・C41:100uF/.16v → 100uF/35v ※回路図では220uF/16v
・C88:1uF/50v → 1uF/50v
■試聴----------------------------------------------------------------
・TU-707によく似た照明窓で、なかなかイイ感じです。
・通常はFM Antenna Attenuator : out、MPX Noise Canceller : out、
・FM Antenna Attenuator : 電波が強くて歪む場合のみin
・MPX Noise Canceller : 微弱FM局をSTEREO受信時のみin
・特殊形状の電球も発見できて満足。