・2016年11月末、KT-5500の調整作業をお引受しました。
・発売当時に購入したワンオーナー品とのこと。
・今後も長く使うためのメンテナンスを、というご依頼でした。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 TRIO KT-5500 ¥38,000(1975年発売)
・Hifi Engine Kenwood KT-5500 AM/FM Stereo Tuner (1978-79)
・KT-5500 取扱説明書 PDF形式
・フロントマスクは KT-7700 と同じ。
・電源スイッチ、切替スイッチ、チューニングノブも同じ部品です。
・ただし本体サイズだけが全幅380mmとコンパクトサイズ。
■内部確認------------------------------------------------------------
・FM専用5連バリコン
・IC:HA1137 FM-IFシステム用IC(クアドラチュア検波、ミューティング回路内蔵)
・IC:HA1196 PLL-MPX用IC
・T6:クアドラチュア検波調整 上段:歪調整、下段:検波調整
・VR1:Sメーター振れ調整
・VR2:Tメーターオフセット調整
・VR3:ミューティングレベル調整
・VR4:セパレーション調整
・VR5:VCO調整
・TP1:IF周波数確認(10.7MHz)
・TP2:IF周波数確認(GND)
・TP3:VCO調整確認
・固定出力以外に可変出力端子とマルチパス端子装備。基本性能も良好。
■調整記録----------------------------------------------------------
【Tメーターオフセット調整】
・放送局がない位置でVR2調整 → Tメーター指針を中点へ
・TP1 周波数カウンタ接続 → Tメーター中点のときの周波数確認・10.68MHz
【OSC調整】
・SSG76MHz To調整 → Sメーター最大
・SSG90MHz TCo調整 → Sメーター最大
【RF調整】
・SSG76MHz T1,T2,T3,T4調整 → Sメーター最大
・SSG90MHz TC1,TC2,TC3,TC4調整 → Sメーター最大
・この調整作業を数回繰り返す。
【IFTコア調整】
・SSG83MHz T5調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整】
・音声出力をWaveSpectraに接続
・TP1 周波数カウンタ接続
・83MHz受信 → 周波数カウンタ10.68MHz確認 → T6下段コア調整 → Tメーター中点
・83MHz受信 → T6コア上段調整 → 高調波歪最小
【Sメーター振れ調整】
・SSG83MHz80dB VR1調整 → Sメーター振れ
【ミューティング調整】
・SSG83MHz20dB VR3調整 → MUTING作動
【VCO調整】
・TP3に周波数カウンタ接続
・SSG83MHz無変調 → VR5調整 → 76kHz
※上手く測定できないので以下の方法で代用
※83MHzSUB信号送信 → VR5調整 → Lchレベル最大位置へ
【セパレーション調整】
・音声出力端子をWaveSpectraに接続
・83MHz L/R信号 → VR4調整 → 反対ch漏れ最小
■試聴----------------------------------------------------------------
・薄暗い部屋に浮かび上がるオレンジ色の照明はイイ感じです。
・定価38,000円の入門機ですが安っぽさは無く、むしろ高級感が漂います。
・別売ウッドケースがあればさらに高級感が増幅しますね。
・固定出力と可変出力、マルチパス出力もあるなど基本性能も良好。
・今後も長くお使いください。