・2016年4月、YAMAHA T-9のメンテナンスを承りました。
・モータードライブによるプリセットチューニングが特徴の機種です。
・以下、作業記録です。
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 YAMAHA T-9 ¥98,000(1979年頃)
・オーディオ懐古録 YAMAHA T-9
・Hifi Engine YAMAHA T-7 ※T-7回路図が参考になります。
・過去記事 T-9/T-7 比較一覧表
■動作確認------------------------------------------------------------
・フロントパネル、ボディともに目立つキズはありません。
・PAL形式のFMアンテナ端子は無事です。潰れていません。
※F端子と間違えて無理やり挿入すると端子が壊れます。
・電源スイッチオン。各インジケーター点灯。
・-0.2MHzほどの目盛り位置で名古屋地区のFM放送を受信。
・STEREOランプ点灯。REC CALトーンOK。
・ダイヤル指針が88MHz以上の位置に移動しない。何か引っ掛かっている?
・Tメータ代わりの緑色インジケータ点灯。左右の光量の違いで中点を判断。
・プリセットチューニングが思い通りに動かない。
■修理記録:ダイヤル指針が88MHz以上の位置に移動しない-----------------
・指針に繋がる配線ケーブルが2階基板の水晶発振子に引っ掛かっていました。
・引っ掛かりを外してOK。
■内部記録写真-------------------------------------------------------
■調整記録-----------------------------------------------------------
【本体切替ボタンの設定】
・RX MODE : AUTO DX
・MUTE/OTS : OFF
・BLEND : OFF
・REC CAL : OFF
【検波コイル調整】
・入力なし状態
・IC110[IG03210] 20PinにDC電圧計セット(Tメーター電圧測定)
※20pinの代わりにすぐ右側22k抵抗足が最適ポイント
・T105調整 → 電圧ゼロ付近(Tメーター中点)
・指針を76MHz~90MHzまで移動し中点がほぼズレない事を確認
【OSC調整】
・ダイヤル指針を目盛り83.0MHz位置にセット
・SSG 83.0MHz,無変調,70dB → TCo調整 → Sメーター最大
※Loは調整不可のためトリマーのみで調整。
※83MHz付近では指針と目盛りがピッタリ合いますが、両端ではややズレます。
【RF調整】
・SSG 83.0MHz,70dB,無変調
・TC1,TC2,TC3,TC4調整 → Sメーター最大
・T102調整 → Sメーター最大
※L1,L2,L3,L4 調整が難しいのでノータッチ
【IF歪調整】
・SSG 83.0MHz,70dB,1KHz,100%変調 → TC101調整 → 高調波歪最小
・T102,T103,T104,TC101,VR102,VR103調整 → 高調波歪み最小
【VCO調整】
・TP19kHz に周波数カウンターを接続
・SSG 83.0MHz,70dB,無変調 → VR108調整 → 76KHz±10Hz
【38kHz SUB調整】
・SSG 83.0MHz,70dB,1KHz,100%変調,L-R → T113調整 → Lchレベル最大
【パイロット信号キャンセル調整】
・SSG 83.0MHz,70dB,PILOT信号 → T114調整 → 19KHz漏れ最小
【セパレーション調整】
・SSG 83.0MHz,70dB,1KHz,100%変調,STEREO → VR105,VR106調整 → 漏れ信号最小
【Sメーター調整:最大値】
・SSG 83.0MHz,100dB → VR110調整 → LED全点灯
【Sメーター調整:最小値(ゼロ)】
・SSG 83.0MHz,0dBu → VR109調整 → LED全消灯
【デジタル周波数調整】
・2階基板 VR103横のTPを10kΩ抵抗を介してGND接続
・VR103を調整して周波数表示(小数点第一位)を微調整
■半固定抵抗が壊れた!-----------------------------------------------
・本体右端、縦置き基板に載っている半固定抵抗を壊してしまいました。
・少し回しただけで可動部がバラバラに分解してしまいました。
・このせいでフロントパネルの周波数表示が消失しました。
・在庫で持っていた半固定抵抗に交換しました。
・周波数表示が復活しました。良かった~
■音が出なくなった!--------------------------------------------------
・調整完了して試聴後、電源コードを抜いて1週間放置。
・動作確認のため再び通電したところ何と音が出ません?
・メーター動作は正常に機能しています。STEREOランプも点灯。
・しかし固定端子、可変端子どちらも音が出ません?
・検波回路やMPX回路から直接音を引き出すとちゃんと聞こえます。
・同調を外しても局間ノイズが聞こえません。
・これはミューティングが解除されない症状のようです。
・そういえば T-9/T-7 の過去記事で同じ経験がありました。
・当時の記録に倣って LC7200-23(MUTE)端子をGNDに落とすと、、
・正解!ミューティングが解除されて音が出てきました。
・でも短絡を解除すると再び音が出なくなります。
・さて、困った、、
■試しにバッテリーを外してみたら--------------------------------------
・役に立っていないバッテリーを基板から外してみました。
・この状態で電源オン、、すると、、
・何と言うことでしょう、、MUTINGが解除され綺麗なFM音声が流れてきました。
・この後、電源ON/OFFを繰り返してもMUTING動作に問題ありません。
・技術的な因果関係は説明できませんが、とりあえず結果オーライでした。
・LC7200 23pin電圧 POWER OFF時 3.9V
・LC7200 23pin電圧 POWER ON 時 8.2V Muting ON 状態
・LC7200 23pin電圧 POWER ON 時 0.0V Muting OFF状態
■試聴----------------------------------------------------------------
・プリセットチューニング不動ですが、チューナーとしては動作しています。
・再調整結果は良好です。各数値が良好な値を示しています。
・今回はここまで。プリセットチューニングの研究は3号機、4号機で継続中。