・2016年2月、KT-1010Fの故障品が届きました。
・電源を入れても全く動作しないそうです。
・さて、直せるか??
■製品情報------------------------------------------------------------
・オーディオの足跡 KENWOOD KT-1010F \59,800(1985年発売)
■修理記録------------------------------------------------------------
・電源を入れると 表示部に周波数「1888」と表示されます。
・それだけです。どのスイッチを押しても全く反応ありません。
・電源部電圧を確認すると、電源は生きているようです。
・コントロールIC TC9147BP 42ピンVDD電圧=10mV。これはおかしい。
・TC9147BP周辺回路を調べた結果、C243 2200uF/6.3v が短絡していることを発見。
・C243はメモリ保持用のコンデンサです。
・手持ち品からボディの高さに収まる代替品を探して 1000uF/25vに交換。
・電源オン、表示部が正常に点灯してFM/AMとも受信できました。
・ネット検索したところ、ひろくん様のサイトでも全く同じ故障事例が紹介されていました。
・もしかしたらこの機種共通の弱点かもしれません。
■動作確認------------------------------------------------------------
・ようやく動作するようになったので動作チェックしました。
・電源コードの印字「1986」。
・表示部は明るく点灯し、文字欠けや文字痩せはない。
・オートサーチで地元FM局を受信。STEREOランプ点灯。
・FM/AMともこれ以上の不具合はなさそうです。
■調整記録------------------------------------------------------------
【本体設定】
・RF SELECTOR=DISTANCE
・IF BAND=WIDE
・QUIETING CONTROL=NORMAL(右端)
【VT電圧】
・TP3~TP4 DC電圧計セット
・アンテナ入力なし
・76MHz → L8調整 → 実測 2.9V ※確認のみ
・90MHz → TC6調整 → 実測24.9V ※確認のみ
【FM同調点調整】
・TP10~TP11 DC電圧計セット
・83MHz(無変調 80dB)受信 → T2調整 → 0.0V
【RF調整】
・R73右足(Sメーター代用)DC電圧計セット
・83MHz(無変調 40dB)→ L1,L2,L4調整 → 電圧最大
・83MHz(無変調 40dB)→ T1 → 電圧最大
※L1,L2の調整は難しいのでノータッチ
【PLL検波調整】
・TP12~TP13 DC電圧計セット
・83MHz(無変調 80dB)受信 → L14調整 → 0.0V
・83MHz(1kHz 100% 80dB)受信 → T3調整 → 歪最小
【MPX VCO調整】
・TP15に周波数カウンタ接続
・83MHz(無変調,80dB) → VR8調整 → 19.000kHz
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
・音声出力をWavespectraで観察
・83MHz(SUB信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ L20調整 → Lchレベル最大
【歪調整1 DET】IF=WIDE
・83MHz(MONO信号,400Hz,100%変調,80dB)→ VR2調整 → 歪調整
【歪調整2 MONO2】IF=WIDE
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR3調整 → 二次歪調整
【歪調整3 MONO3】IF=WIDE
・83MHz(MONO信号,1kHz,100%変調,80dB)→ VR6調整 → 三次歪調整
【歪調整4 L/R2】IF=WIDE
・83MHz(L信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR4調整 → 二次歪調整
【歪調整5 STEREO/SUB3】IF=WIDE
・83MHz(SUB信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR5調整 → 三次歪調整
【歪調整6 STEREO/Narrow】IF=NARROW
・83MHz(MAIN信号,1kHz90%変調+19kHz10%変調,80dB)→ VR7調整 → 歪調整
【セパレーション調整】
・IF=WIDE
・83MHz(STEREO信号,80dB)→ VR10調整 → Rch漏れ最小
・83MHz(STEREO信号,80dB)→ VR11調整 → Lch漏れ最小
・IF=NARROW
・83MHz(STEREO信号,80dB)→ VR9調整 → 両ch漏れ最小
【REC CAL】
・392Hz ※確認のみ
AM
【VT電圧】
・TP3~TP4 DC電圧計セット
・アンテナ入力なし
・522kHz → L16調整 → 実測 1.8V ※確認のみ
・1629kHz(東海ラジオ) → TC2調整 → 実測 8.3V ※確認のみ
【RF調整】
・729kHz(NHK)受信 → L18調整 → 最大
・1332kHz(東海ラジオ)受信 → TC3調整 → 最大
■試聴----------------------------------------------------------------
・QUIETING CONTROL 通常はNORMAL(右端)※ステレオ受信時のブレンド量を調整
・QUIETING CONTROL DISTANCE(左端)にするとブレンド量100%,つまりMONO受信となる
・RF SELECTOR 通常はDISTANCE ※電波が強すぎる場合はDIRECT
・SENS.LEVEL High/Low ※ミューティングレベル切替
・再調整によって良い性能を取り戻したと思います。