・2013年12月初め、LUXMAN T-110(後期型)の調整作業をお引き受けしました。
・1976年購入のワンオーナー品とのこと。
・初期型と後期型に関する当時の興味深いお話を教えていただきました。
■製品情報------------------------------------------------------------
・1975年発売、1976年改良型(後期型)発売だそうです。
・周波数パネルの腐食は発売直後から問題だったようです。
・オーディオの足跡 LUXMAN T-110 ¥96,000(1975年9月発売)
・初期型の記録:1号機(1)、(2)、(3)
・後期型の記録:2号機
・ウッドボディを外して内部確認。
・ダイヤル指針の電球が既に修理(交換)された痕跡あり。
・手持ちの12V球を仮設置すると赤色明滅~点灯。回路故障ではなく球切れでした。
・直前は正常に点灯していたそうなので、輸送中に壊れたようです。
・基板を見渡してみると、頭が飛び出しかけている電解コンデンサが7個。
・7個とも 2.2uF/50V
■部品交換------------------------------------------------------------
・ダイヤル指針電球は LEDへの交換も試みましたが、電球交換に落ち着きました。
・スリットを通して見る明滅状態は電球の方が見映えが良いです。
・電球電源:回路図では12V、実測値13.2V、基板側に47Ω抵抗を挟みました。
・目視で劣化顕著な電解コンデンサ7個(2.2uF/50V)交換。
・C251,C253,C259,C263,C264,C267,C268
・6個はオーディオ回路で音声信号が通る箇所ですが、交換前後で劇的な音質変化なし。
■受信調整------------------------------------------------------------
・フロントエンド調整
・VR201 背面 ATTENUATOR in/out 減衰レベル調整
・VR202 ミューティング調整
・VR203 シグナルメーター振れ調整
・VR204 VCO調整(TP30で19kHz確認)
・VR205 セパレーション調整
・T201 レシオ検波調整
・T202 シグナルメーターMAX調整
・フロントエンド内のIFTコア stereo歪調整
・サービスマニュアルに基づいて各部受信調整。
・レシオ検波調整、高調波歪調整、VCO調整、セパレーション調整実施。
■試聴----------------------------------------------------------------
・再調整してもさすがに性能や音質はシンセチューナーには敵いません。
・でも、いいんです。
・T-110は他のどのチューナーにも似ていない独特の存在感があります。
・FM放送を嗜むツールとして大切に使っていきたい一台ですね。